湯殿山 南面コース (1500m) 2009.02





西面は意外と深いパウダーに恵まれる




 山 域  湯殿山 (1500m)
 山行日時  2009年2月22日(日)   
 天 候  風雪〜曇り  -2℃ (山頂付近)〜 9℃(石跳川)
 メンバー  木村 坂野
 行 程  志津7:17〜石跳川から尾根取り付き8:23〜湯殿山9:55〜南面〜ブシ沼10:20〜1385m11:40〜尾根コース〜石跳川〜志津12:25

 南岸から高気圧が東進し、稚内付近には猛スピードで低気圧が接近するという、あまり見た事の無い天気図は意外で、低気圧の移動スピードが55km/1時間というのも信じられなかった。高層天気図で見ると強い寒気の流入は収まっている様だが、なんとなく午前中に決めない事には楽しめそうに無い。何時の時間に志津駐車場に到着して準備を整えたが、月山山頂を諦めるとなると目標は湯殿山の南面コースとなり、あわ良くば東面との2本立てでパウダーを頂こうという魂胆で出発した。
 
【概要】

 志津の駐車場に到着してみると既にお客さんの車が6台程有り、珍しく遅れをとってしまったかと思ったが、意外にもネイチャーセンターを通過して石跳川を遡ると、先行のトレースは姥ヶ岳方面に向かっていた。青空が顔を出して晴天模様の雰囲気では有るが、石跳川から尾根に取り付いた頃から曇りがちとなる。意外にも途中から先行者のトレースが現れ、風雪でかき消されたような跡を辿ってジグを切って行く。しかし1200mの森林限界を超えるとやはり風雪が強まり、尾根上では次第に視界も悪くなる。

 尾根上ではようやく月山山頂方面が確認できるが、時々視界が奪われて天候悪化の雰囲気が強まる。間もなくすると山頂から下って来たスノーシュー2人の男女と会ったが、どうやら風が強まったので山頂は
諦めて下降して来た様だった。湯殿山の東斜面も見下ろすとモノトーンの世界が広がり、足元の遠近感の無い夢遊病者のようなスキーを連想させる。

南面はパウダーが期待できそうな予感 森林限界から先は何時もの風雪模様
テレマーカーに見えない人? やはりバランスが難しい様子

 山頂に立つ頃には幸い南面の疎林帯まで視界が利いており、スタートするなら今がチャンスとばかりに準備を整え、手早くシールを剥がして下降に取り掛かる。南面コースは山頂付近だけがクラストしているものの、30mも下ると先日に降った雪の吹き溜まり斜面が連続し、後はボトムまで続くパウダー斜面が広がっている。舞い上がるようなパウダーとはいかないものの、30cm位のパウダーの浮遊感は久しぶりの快感で、適度な斜度でのショートターンは実に楽しく、トップを浮かしながらの斜面を切って行く感触は実に心地よい。

 相方の元エクストリーマー氏は今年から華麗なテレマーカーに鞍替えした筈だが、慣れないバランスに躊躇したのかいざとなるとアルペンターンが復活し、どうしてもテレマーカーにはなり切れない性が伺える。苦節40年?の山スキーヤーの歴史はやはり拭い切れないご様子。

スネークターン(クネクネターン)も技の一つ? 春を象徴するスノーボール
 
 終点のブシ沼辺りで小休止した後に更なる1本を目指し、元来た尾根コースを再び登り返して山頂方面を目指す。すると前方に単独の山スキーやーが現れ挨拶を交わし、消えたトレースを辿りラッセルを替わって前に出る。しかし次第に視界が奪われて風雪が強まり、目的の東面も更にモノトーンの世界が広がって魅力が薄れ、なんとなく先日に吹き溜まった深い新雪も安定している様には見えなかった。

 標高1385m地点で視界は殆どなくなって風雪も強まり、ここが終点と判断して東面も諦めて下降を決める。やはりスキーは視界が無ければ楽しみは殆ど無く、無理して滑ってもつまらないし目的でもない。シールを剥がして速やかに下降に取り掛かり、ややシュカブラが発達した斜面をやり過ごし、ブナの疎林帯に入ってからはやや重いパウダーながらショートターンで降りて行き、あっという間に石跳川に降り立って志津の駐車場に帰着した。

 今日は温度が午前中に10℃も急上昇してしまい、斜面にはスノーボールが発生する春の陽気に激変する日となり、下手に東面に入らなくて良かった様だ。この調子で行くと今シーズンのパウダー日和はこれが最後なのか、なんとなく寂しく物足りなさを感じる日でもあった。しかし志津に戻ってみると湯殿山山頂が姿を現し、急激な気温の上昇と気まぐれな天気に翻弄させられた日々だった。