山 域 |
飯豊連峰 頼母木山 (1740m) |
山行日時 |
2013年3月30日(日) |
天 候 |
曇りのち風雪 気温 三匹穴 +5℃ |
メンバー |
単独 |
行 程 |
長者原 梅花皮荘4:50〜大曲分岐5:55〜西俣ノ峰8:30〜枯松峰鞍部11:30〜頼母木山直下(1700m付近)12:20 11:15〜三匹穴11:45(1410m)〜三匹穴下7:51〜枯松峰鞍部12:58〜西俣ノ峰14:22〜梅花皮荘16:10
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この尾根を訪れるのは今度で4回目だが、毎回スキーの板を担いで訪れている。はっきり言ってこのコースは山スキー向きではなく、月山や鳥海山などのように板を履き続けて山頂に立つ事は出来ない。
厳冬の大朝日岳でも板を履き続けて登頂できたが、飯豊連峰の稜線に立つ為には途中で板を担ぎ、キックステップ又は歩行アイゼンに切り替えなければ山頂は踏めない。
末端の尾根は急峻で狭く、雪の付き方によっては難儀な登りを強いられ、西俣ノ峰から先の尾根は雪庇の崩壊で登路が寸断され、右に左に巻いて通過するため板を背負ったスキーヤーにとっては苦労が多い。
やっとの思いで三匹穴を通過して稜線を目指すとブルーアイスのような斜面が続き、今にも曲がりそうなスキーアイゼンを効かせながらの登高を続け、最後は視界不良と強風の斜面を進んでゆくとそこが終点だった。
毎回こんな事を繰り返している訳だが、頼母木山から先は中々歓迎してもらえる様な優しさなど無く、何時もその先は未知の世界のようにも思える。まあ、お天気次第の一発勝負なら当たり前なので納得しているが。何時行っても山頂が踏める山より、手痛いしっぺ返しを喰らう位のほうが印象深く、懲りずにまた訪れたくなるのは自分だけか?
取り付きの急峻な尾根は不安定な雪が・・・ ブロックの崩壊で登路は所々難儀なコース
気温が上昇したら一気に崩れそうな斜面 西俣ノ峰の直下から見る雪庇
【概要】
早朝に梅花皮荘に到着して準備を整え、ヘッデンを照らして出発したのは4:50頃だった。今日は気圧の谷が通過して高気圧が張り出し、晴天を確信してやって来たのだがどうも様子がおかしい。空は雲が掛かって少し雪がちらついて青空は見えない。
尾根の取り付き点の雪の付きは悪くて歩きにくいが、早朝は雪が硬いのでスッテップキックを効かせて超えてゆき、大曲の分岐で最初の休憩を取る。その先の尾根はすっかり雪が消えて登山道が露出しているが、間もなく雪庇が出てくるとキックステップも怪しくなり、歩行アイゼンに切り替えて高度を上げて行く。
西俣ノ峰に至る尾根は程よくクラストした斜面となり、快適にアイゼンを効かせて上部を目指す。何時もはスキーアイゼンで通過するが、今回は大事を取って歩行アイゼンとした。天候は曇り空で回復の兆しは見られ、意外と気温も下がっていないので期待を持った。
雪庇上の登路を阻まれてツボ足で超える 枯松峰まではスキー向きの緩斜面が続く
三匹穴の上部斜面から見下ろす枯松峰 寒気が残っているのは霧氷が美しい
板に履き替えて西俣ノ峰を通過すると左手には崩壊した雪庇が連続し、登路を塞がれて板を担いで越えて行く。今年は2月に集中した降雪があって大雪となったが、3月になると一転して気温の高い日が続き、特に尾根上の雪庇の崩壊が酷いという印象を受ける。
大きく開いて崩壊が続く光景はヒマラヤのアイスフォールを連想させ、何か緊張感があってスキーではなくて登山。飯豊でこそ味わえる光景でクリアーしてゆくのも楽しい。
枯松峰は板を履いたまま通過して鞍部で1本取り、遅い朝食取ってから稜線に向かって登り始める。三匹穴への斜面はクラスとしてスキーアイゼンを効かせながら通過し、外し尾根の斜面を右にトラバースして通過し、広い緩斜面を進んでゆくと斜面は硬くなる。
以外にも突然後ろから男女2人が追いついて来て挨拶をしたら、出発時間は自分より2時間遅い7:00頃で、しかも末端尾根の悪さを嫌って西俣ノ峰手前の尾根を経由したという。殆ど休みなく行動しているようで、先行して頼母木山に至る氷化した斜面を登っていった。
後からやってきた男女のペアに追い抜かれて後を追う 風が強いのか飯豊連峰らしい巨大な風紋
上部になるに伴ってアイスバーンは更に硬くなり、アイゼンの爪が曲がりそうな斜面を誤魔化す様にして進み、強風で視界がなくなると時々GPSを見ながら上部を目指す。間も無くすると頼母木山を後にした先ほどの2人が降りて行き、言葉を交わすとすぐに視界から消えた。
稜線近くになると風雪は更に強まり、稜線歩きなど甘かった事を実感させられてしまい、予想時間より1時間半程オーバーしていたので山頂直下だが終点とする。すぐさま今日の山頂を後にして、50m程戻ってシールを外して滑降の準備を整える。
頼母木山の直下で今日はギブアップ 氷化して洗濯板のような斜面を下る
三匹穴から枯松峰までは豪快に飛ばしてゆく 無木立の尾根上は豪快な斜面が続く
枯松峰から三匹穴・頼母木山方面を振り返る 対岸には雄大な杁差岳の東面が迫る
下降は洗濯板のようなガタガタの斜面を我慢の滑りでクリアーし、三匹穴上部になってようやくフラットな斜面となってロングターンで降りてゆく。クラスと斜面と新雪が混じって板は良く走り、ダケカンバの中を通過すると広大なオープンバーンになり、視界も良好になっていよいよ山スキーらしい滑りが続く。
最も気に入っているのが旭又沢源頭の大斜面で、大きな空間に飛び込むようなダイナミックな滑りが楽しめる。飯豊連峰の尾根上で山スキーが楽しめるコースは少なく、片斜面だがこの様な尾根上の連続したフラットバーンは余り無いだろう。
枯松峰での鞍部で休憩を取り、板を担いで登り返してからは緩斜面の下りとなり、広いザラメ混じりの尾根をゆったりと降りて行く。先行して下った登山者の姿は既になく、かなり通い慣れた方のように思えた。
ダイグラ尾根〜飯豊本山方面 吹き付け斜面は厳しい様子
西俣ノ峰から枯松山(1119.5m)方面 クラス地斜面に載っ新雪は快適クルージング
西俣ノ峰の間で一旦板を担いでツボ足で通過し、西俣ノ峰からはブナの疎林帯の尾根上の滑りが待っている。急峻で狭い尾根だが雪の付きは良く、硬い斜面にはザラメ質の雪が乗ってショートターンが心地良い。余り調子に乗るとスピードに乗って尾根を外してしまい、スピードをコントロールして忠実に降りて行く。
途中から板を脱いで下降してゆくが、末端の急峻な尾根では雪がやや緩んで兼用靴では歩き難く、予想外の時間が掛かって梅花皮荘に到着したのは16:00を廻っていた。10時間を超える行動となると流石に堪える。今度トライする時には覚悟を決め、最初から頼母木山山頂までアイゼン歩行で通したほうが利口かもしれない。
山スキーコースとしては結構体力のいるコースで疲れるが、飯豊連峰で日帰りスキーを楽しめる唯一のコースでも有り、懲りなくまた訪れたくなります。余りお勧めはしませんが・・・。
西俣ノ峰直下の尾根は山スキー向けのコース クラスと斜面にザラメが混じっ板は走るて
尾根上はフラット斜面で快適 飯豊連峰にもようやく春の使者がやって来た
梅花皮荘〜西俣ノ峰〜三匹穴〜頼母木山 MAP |
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