鳥海山 千蛇谷コース 2005.05
5月22日 千蛇谷、七五三掛下の斜面。 。
山 域 |
鳥海山 2236m |
山行日時 |
2005年 5月22日 |
天 候 |
晴れ |
メンバー |
木村 柴田 坂野 |
行 程 |
獅子ヶ鼻〜鳥越川〜七五三掛〜獅子ヶ鼻 |
この時期は毎年飯豊連峰の石転び沢詣でを繰り返していたが、今回は同行者の強い希望で鳥海山へと決まった。案内役の木村氏は20年前から鳥海山に通いつめ、ここ5年程前からは毎年4〜5コース滑り込んでいるという強者。この人に付いて行けばもう安心と信じて疑わなかったはずだがしかし・・・。
獅子ヶ鼻 7:00〜850m地点(スキー使用)9:00〜七五三12:40 13:20〜850m地点14:00〜獅子ヶ鼻15:30 |
獅子ヶ鼻の駐車場に着いてみると山菜取りの車が数台で、山スキーヤーらしき車は1台のみで、流石に秋田、山形の地元勢の姿は見られず実に物静かな雰囲気。最初の木道を通り過ぎるとすぐにブナ林の迷路となり、途切れ途切れの踏跡を辿って先を進む。やはり火山地形の山らしく、雪が付いていないと至る所に岩が露出して歩きにくく、時間が掛かる割には中々距離が稼げない。
特に途中で出くわす広大なブナの倒木の数々には驚かされる。局所的に100本以上はありそうな見事なブナの木が周り一面なぎ倒されており、鳥海山にふさわしくない異様な光景となっている。2年前の朝日連峰の角楢沢で大規模な山抜けの跡に遭遇し、多くのブナの倒木を目撃した事はあるが、雪崩れの可能性も無いこのような尾根上での光景は他に見た記憶が無い。もしこれが2年前の暴風によるものならば、すさまじい自然の猛威というしかない。
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新緑が眩しいブナ林を行く すさまじいばかりの倒木の状況 |
標高850m地点でスキーが使えるようになると、残雪が残る新緑の眩しいブナ林の中は冷気が心地良く、少しづつペースは上がってきて快適に距離は伸びる。森林限界地点を越えると左岸の壁が大きく近づき、やがて稲倉岳下の斜面が頭上に迫ってきる。稲倉岳東面の斜面は急峻なルンゼが2本ほど食い込んでおり、まだ雪の付きは良く滑降コースとしては魅力的な斜面に見える。同行の木村氏はかなりお気に入りの様子で、急な斜面に登下降のコースを描いる様だった。
初めて訪れた鳥越川は東北の山らしからぬ山容で、見事なU字谷が新山まで見事に続いていおり印象的だった。まるでヒマラヤの氷河地形を思い出させる光景で、北アルプスにもあまり見られない特異の世界のようにも思える。七五三掛の下から滑り降りてきた先行の山スキーと挨拶を交わし、後は誰もいない広大な斜面を黙々と山頂方面を目指す。 |
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稲倉岳東面のルンゼ 雄大で開放的な世界が広がる |
千蛇谷下部の斜面は緩い傾斜で次第に高度をあげ、1800m地点の七五三掛で頂上に至る登山道と合流する。ここから先が千蛇谷という事なのだが、残念ながらペースは少しづつ落ちて時間ばかりが過ぎ去り、天候が恵まれているにもかかわらず何時の間にか諦めムードなる。「来年また来るから」告げて缶ビールを飲み干し、お待ちかねの下降に取り掛かる。下を振り返ると縦走コースから5人ほどのテレマーカーが上がって来て、更に千蛇谷コースからは4人ほどのスキーヤーが姿を現し、なんだか急に賑わいを見せる様子となった。
さすがは今や全国に名の知れた鳥海山だけあって、山スキー好きの中高年、若い世代のテレマーカーの人気は実に高く、日曜日の午後にもかかわらず山頂の小屋泊まりの予定で次々に上がって来る。このようなゆとりを持ったスキーヤーは実に羨ましい限りだが、暇なし貧乏中年山スキーヤーには無縁の世界に写る。
七五三掛下の斜面 稲倉岳山頂も眼下となる
千蛇谷下の鳥越川の斜面 そろそろ期間切れとなる
気持ちよく缶ビールを飲み干した後はお待ちかねの時間。早速滑り込むと最初は良かったがすぐスキーは走らなくなる。どうやら1週間前の雪がザラメになりきらず、湿った重い雪がまだら模様に残って滑らず足が疲れる。途中の斜面は積もった雪が表層雪崩れを起こし、デブリが広範囲に広がって滑りにくく、右の斜面にコースを取ってどんどん高度を下げてゆく。雄大で見事な景観の割には滑りが悪く、どうやら今年の山スキーも終盤かなという雰囲気がする。
ようやく雪の繋がった斜面を拾いながら樹林帯に入り、850m地点でスキーを担いで再びうっとうしいブナ林に入って獅子ヶ鼻を目指す。今日は全く山頂に届かなくて心残りの1日だったが、しかし来シーズンに向けての興味も深まりそれなりに楽しい山行でもあった。
七五三掛直下の斜面 フラットな斜面が続く
稲倉岳を見ながら下降 稲倉岳直下の下り
鳥海山北面 1250m付近 横岡第一発電所付近から (標高320m)
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