中央蔵王 ロバの耳コース
ロバの耳から熊野岳避難小屋へ
【期日】 平成16年10月16日(土)
【メンバー】 坂野 深津
【コースタイム】 賽の河原〜かもしか温泉跡〜ロバの耳コース〜熊野岳〜刈田岳〜賽の河原
【天候】 曇り
【概要】
ようやく紅葉シーズン最盛期に差し掛かった中央蔵王のロバの耳コース。このコースは東北地方の山にしては珍しい火山地形の岩稜コースで、アルペン的なその雰囲気は多くの登山者を迎え、蔵王を代表するクラッシックコースとして親しまれてきた。しかし現在は尾根の末端付近の崩壊が進み登山は禁止とされている。禁止とはある程度の強制力があるものか、または登山者の自己責任に任されているのかは不明だが、今回は状況を見ながらという事で足を向けてみる。
賽の河原からヒヨドリ越え経由でかもしか温泉の跡地にたどり着くと、かつての建物の面影を残す石垣や、コンクリート基礎などが生い茂った草地のあちこちに見られる。コンクリートと石で出来た浴槽の底には古びた板が敷かれており、当時の面影をとどめている。東北の山小屋で温泉付きでしかも食事まで出る所は大変に珍しく、この素晴らしいロケーションに位置するかもしか温泉は、地元の登山者はもとより、全国各地から多くの方が訪れる人気のスポットだったに違いない。自分も当時在籍していた山岳会のメンバーが管理人をやっていたのをいい事に、何度も楽しく利用されて頂いた。当然素泊まりは何時も無料で宴会やり放題のVIP待遇。当時は他にお客さんがいようがお構いなしで明け方まで盛り上がっていたが、これが無くなってみると実に寂しい気分。今考えるととんでもない迷惑者でしたが、それでも実に素晴らしい天国のような暮しでした。
ここから丸山沢方面に進むと上部左手に墳気孔があり、そのガレ場の踏跡に導かれて登ってゆく。後で知った事だがそばにはブルーシートでで作った露天風呂があった様だが、我々はそのまま急な斜面を左にトラバースして尾根の末端に取り付く。途中にはロープが張られており、下から見るよりは容易く尾根の末端にたどり着き、ガレ場を登り詰めると視界は開け不動滝とエコーラインが良く見える。ここから先は快適な岩稜コースが続き、一箇所10m程の容易な壁を乗り越してロバの耳を通過し、後は心地よい高度感を味わいながら熊野岳避難小屋を目指す。このコースでは誰一人として登山者と遭遇する事も無く、実に静かな山行が出来て満足。
しかし熊野岳避難小屋に到着すると状況は一変し、多くの登山者と観光客風の人があちこちに見られ、やはり「観光地」のど真ん中に突然突入した様に感じてしまう。天候も崩れてきて稜線もガスに覆われてきた為、熊野岳山頂を往復した後避難小屋で昼食とし、馬の背から刈田岳の山頂を踏んで大黒天に下り、出発点の賽の河原に戻る。
今回初めてこのコースを歩いてみたが、短いながら変化に飛んだ快適で楽しいコースだと実感する。不幸にも尾根の下部が一部崩壊し登山禁止になっている様だが、もっと多くの登山者が訪れて欲しい所だと思う。もう少しコースの整備をするとか、一部下部のコースを変更するなどして何とかならないもんでしょうかね。
【温泉編】
今回は何時になく温泉宿泊のおまけつき山行だったが、選んだ先は「鎌倉温泉」。「え〜鎌先温泉じゃないの?」いいえ違います。遠刈田温泉から南東方向に車で15分程の蔵王町平沢地区方面へ。蔵王山系の山あいにぽつんと一軒だけの湯治場がある。源平時代の源氏方の武将・鎌倉権五郎景政が傷を治したという伝説からこの名がついた。 今の宿は明治時代の開業で100年以上は経っているという。昔ながらの湯治場の面影を残す建物で、今時珍しい薪で沸かす温泉らしくお湯が柔らかいという。切り傷、皮膚病に薬効があり、特に水虫のひどい症状の人が治ったという。自分も最近5万円を投資して専門医に6ヶ月間通い詰めたが、もっと早く知っていればと深く後悔。宿のご主人は米、野菜作りはもちろん、山林管理など、宿の燃料から殆どの食材にをまかなういわば「スローライフの達人」。奥さんも桜、梅、つつじの木の手入れと庭、畑の管理などに余念が無い。
宿には目新しい設備は見当たらく年代を感じさせるたたずまいだが、きちんと清掃が行き届いていて清潔感があり、畳も新しくて所々一厘の花が何気なく飾ってある。全てを家族だけで運営しアットホーム的な雰囲気。食事は部屋めしで、特に高級な食材という訳でもないがその殆どは自家栽培の新鮮な野菜を使っている。自然のうまみを生かした素朴な料理は何か癒されるような嬉しさを感じる。以前は自炊専門の宿だったらしいが、お客さんの要望で食事を出す事になったそうで、宿泊代は2食付きでなんと¥5000也。冬はコタツ使用で1部屋¥500のプラス。今や常識の露天風呂など無く、小さな内風呂だけだが特に不満も無い。
今回はさらに悪友2人(一人はわざわざ川口市から)が加わり、つい調子に乗って大宴会になってしまい、一部屋離れたお客さんには迷惑を掛けてしまった。御免なさい、深く反省しております。