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東尾根の斜面は北予想以上の積雪 |
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テレマーク犬「パウダー」が行く |
大場さんのテレマーク犬「パウダー号」は実に元気だが、急峻な深雪に自慢の四駆もタジタジの様子で、先回りしてトレースを踏んでやると後からついて来た。トップをドンドン交代出来るのが多人数のメリットで、トップは膝上から腰下にも思えるラッセルも快調だ。途中でトップに立った鈴木さんも、女性とは思えない様なラッセルで深い塹壕を進んで行く。
927m地点で後ろの一人から声が掛かり、この斜面で一本決めようという事になり、少し登ったショルダーピークで準備を整え、東斜面のトレース沿いの斜面に飛び込んで行く。斜度は比較的あって深い雪でもスピードに乗り、嬉しい浮遊感を右に左に味わいながら飛ばして行く。先週の石見堂岳の様な頭から被るようなパウダーランで、200m程の高度差をドンドン降りて行く。今年村山葉山通い慣れた阿部さんと鈴木さんだが、2人ともスピード感・バランス・リズム感は流石。山スキーヤーの森田さんも低い姿勢からショートターンを見事に決めてゆく。テレマーカーの大場さんはトップを浮かせて快適クルージングで降りて行く。
927mのピークに登り返すと下から単独の山スキーヤーが追い着き、小休止して言葉を交わした後はそのまま単独ラッセルで先行して行く。仙台のS山岳会現役バリバリのアルパインクライマーは流石で、後から塹壕のような跡を追っても追いつく事は出来ず、暫く見事なブナ林の雪原にトレースを追って行く。次第に薄曇から次第に青空も出てきて視界も広り、スキーには絶好のコンデションとなる。
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東斜面を一本決めて登り返し |
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烏帽子岩コースを1217m地点まで進む |
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馬力の有る先頭スキーヤーの後を追う |
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ファットの板でも膝上のラッセルを強いられる |
最後の斜面を上り詰めるとそこは広い1217mのショルダーピークで、先頭のスキーヤーが小休止していたのでお礼を言う。今日はこの先の1316mピークを目指していたが、次第に視界不良となって一旦立ち止まって後続を待つ。到着したメンバーの一人は途中から下降していったが、結果6人でここから南面の急斜面を下る事になる。
烏帽子岩コースの南面は火山の外輪山跡になっており、比較的急な斜面の下は崖の様な地形になっている。コースは尾根筋の斜面を辿り、標高差200m余りのパウダー斜面を降りて行く。トップは先行した山スキーヤーが務め、意気盛んな阿部さん・ボーダーの鈴木さんが直ぐ後に続く。深い新雪でやや重くなった雪だが、傾斜が有るのでスピードに乗ってどんどん下降して行く。パウダー号も後に続いて飛び込んで行く。
南面を200mほど下った斜面は尾根筋で、このまま忠実に下降すれ富並川に降りられそうな気もするが、左右は崖の様になっているのでここから登り返す。雪質によっては雪崩れそうな斜面にも思え、慎重にジグを切って1217m地点まで登り返す。それにしてもこの豊富な積雪は思いもよらぬご褒美で、これほど本格的な激パウツリーランが出来るとは思ってもみなかった。
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南面の一本を決めて200mの登り返し |
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30〜40度の急斜面を登り返す |
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南面2本目の斜面は荒れた斜面でいまいちの感じ |
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登り帰しの斜面は次回のお楽しみ |
1217mのショルダーピークからは北東尾根の下降に取り掛かり、少し下った1081m地点から再び南斜面の沢筋斜面に飛び込んでみる。沢筋の斜面は吹き溜まりの様で雪が深く、やや藪がらみの深雪の斜面を降りて行くが、凹凸がある斜面は余り快適ではなかった。150mほど下って対岸の斜面を登り返すが、そこは意外と広い見事なブナ林のパウダーコースだった。今度訪れた時には忘れず一本を決めてみたい。
この後はトレースを戻って東斜面を一気に滑る予定だったが、ここで黙っていられない人がもう一人いた。もうすっかり心は帰路に向かっていたところどうやら本人は本気らしい。ところが、すっかり日の翳った北斜面は南面とは違ってサラサラパウダーの様子で、板は良く走って軽く勢いの良いスプレーが飛んで行く。滑ってみればこれが本日最高のコンデションで、途中で登り返す筈が結局沢床付近まで飛ばして降りて行く。
このまま沢筋を更に下降する話になったが、下は狭くゴルジュや滝になっている恐れがあり、右岸のルンゼのトラバース斜面も傾斜が強そうで、結局諦めて200m程を登り返して尾根上に戻る。こんなにパウダー斜面を繋ぐスキーは初めてだったが、実に手ごたえのある充実したツリーランだった。最後は東斜面の左側をもう一度一気に滑り込み、伐採跡から杉の植林地を抜けて三枚平を経由し、スノーモービルの堅いトラックをガンガン飛ばして大鳥居の駐車場に帰着した。
今日は皆さんにとことんお付き合いしてしまったが、流石に10時間行動となると半端ではない。疲れます。でもそれ位夢中になりそうな気持ちも良く分かる。地元のスキーヤーにとってはアプローチも容易で、パウダーランの腕を磨く為には最適の山だ。まあ、「村山葉山パウダー道場」といった所でしょうか。
但し、斜面の全般に渡って傾斜が強く、ルンゼの中や急峻な沢筋のトラバース斜面などは言うまでも無く、降雪時又は直後には雪崩れの可能性が有る。また、南面は下部が崖か狭いルンゼ状になっていており、末端まで降りられるコースは少ないと思います。1217mピークまでの北斜面は沢筋までの下降は出来るが、沢の下部はゴルジュや滝が出て来る可能性も有り、素直に登り返した方が無難でしょう。
また、標高が低いので適期は1月初〜2月末頃と思うが、3月頃に寒気が入ればチャンスは有るでしょう。
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豊富な積雪と見事なブナ林が素晴らしい |
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南面から富並川方面を望む |
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もう一本北面を決める事に話はまとまる |
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北面の雪質は本日最高のパウダー |
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北面を滑って沢床付近から登り返し |
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杉の伐採跡地を下降して三枚平に至る |