飯豊連峰 北股岳 洗濯沢〜北股沢右斜面 2006.05
5月21日 北股沢の右斜面を下降する
山 域 |
飯豊連峰 北股岳 |
山行日時 |
2006年5月21日(日) |
天 候 |
晴れ |
メンバー |
単独 |
行 程 |
梅花皮荘〜飯豊山荘〜温見平〜石転び沢〜北股岳〜洗濯沢〜梅花皮小屋〜北股岳〜北股沢右斜面〜石転び沢〜温見平〜飯豊山荘〜梅花皮荘 |
そろそろ板納めとなりそうな今回は、昨年に訪れることのできなかった飯豊連峰の石転び沢を選んだ。最近は朝日連峰にばかり入れ込んでしまったが、飯豊特有の雄大な山並みと豊富な雪の量、そして山頂から1500m程を一気に滑り込める豪快さはたまらない魅力だ。東北では鳥海山に次ぐ高度差を誇るコースだが、長大なルンゼ滑降はまったく違った魅力に溢れ、また急峻な斜面はテクニカルで好みのコースだ。
この辺はもう殆ど未知の部分は無くなった様だが、今回はあまり記録を見ない北股沢の右斜面を狙ってみた。オマケのコースとして北股岳南面の洗濯沢を付け加え、少し欲張ったロングコースの計画を立ててみたが、流石に北股岳の登り返しではヘロヘロ状態という有様だった。しかし中々実行できなかった飯豊南面の1本を滑り、予想以上に快適な北股沢を滑ることが出来て満足だった。
【5月21日】 梅花皮荘3:12〜温見平5:25〜石転び沢出合6:14〜梅花皮小屋9:20 10:10〜北股岳直下よりスタート10:30〜洗濯沢1330M地点〜北股岳13:31〜北股沢右斜面スタート13:54〜石転び沢14:00〜梅花皮沢雪渓終点14:20〜梅花皮荘16:35 |
石転び沢を訪れたのは2年ぶりだが、今年の沢筋には多くの雪が残っていていつもとちょっと違った光景だった。出発点の梅花皮荘から飯豊山荘に至る4.5kmも林道は、もう既に除雪されているもののゲートは締まっており歩きとなる。まだガードレールの取り付けもまだで、飯豊山荘手前の路肩は30mほど一部崩落している。小国役場の回答によれば開通は6月初め頃になる見込み。温見平から石転び沢を目指すと標高500m辺りの下つぶて石付近から雪渓歩きとなり、雪崩で引きちぎられたブナの残骸を見ながら上部を目指す。
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梅花皮沢のブナの倒木 梅花皮沢から梅花皮岳方面とブナの倒木 |
過去何度かこの時期に訪れているが、いつもは上部の竹地原から雪渓に乗るが、今回は温見平から40分ほど歩いて雪渓歩きとなり、何時に無く快調なペースで高度を上げて行く。あちらこちらに散乱する倒木は川の流れと直角に倒れており、本流の雪崩ではなく左岸からの雪崩れだったことが想像できる。木の折れた高さも高くちぎれたような状況で、昨年末の豪雪による表層雪崩によるものか?滝沢出会いの雪渓は意外と切れて滝壺が露出しており、梅花皮滝を写真に収めようとしたが無理だった。
梅花皮沢全体の雪の量は多くて傾斜は緩く見え、両岸の高い位置まで雪に覆われている様子。石転び沢の出合に到着するとようやく北股岳の山頂が顔を覗かせ、今日の素晴らしい晴天が約束された様だ。今回は軽量化の為アイゼン、ピッケルは持参せず、今回もスキーアイゼンで梅花皮小屋を目指す。
北股沢を遠望する 滝沢出合は以外に露出している
石転び沢全体の雪面が高い 石転び沢出合から滝沢方面を見下ろす
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本石転び沢の出合で休憩して上部を見ると、梅花皮岳の山頂までの長大な雪渓が続く。このコースは山頂から石転び沢に至り、そのまま梅花皮沢まで下降すると標高差1500mを一気に滑り込むことが出来る。雪の豊富さ、高度差、コースの長さ共に北アルプスの有名どころのコースに匹敵するのではないだろうか。この時期はフラットで均一な斜面が末端まで連続し、石ころもあまり無い快適斜面の滑りを満喫できる。
北股沢は過去左俣、右俣の2本を滑っているが、今回目指す斜面は最も右よりのやや広い斜面。下から見る限りクラックなども無く、ブロックの崩壊跡も無い快適斜面に見える。予定しているコースは北股岳から80mほど下がった地点で少し損したような気にもなるが、斜面は石転び沢まで標高差およそ500m。期待出来そうだ。
梅花皮小屋直下の急斜面はスキーアイゼンのまま取り付き、クライミングサポートを外して体重を前に掛けてスキーアイゼンを有効に利かせる。この時期飯豊ではアイスバーンなど殆ど出て来ないので、慣れれば結構な急斜面でも登りきる事が出来る。はるか下の門内沢出合を見ると、温見平付近で追い越してきた7人パーティーが門内沢方面に入って行った。この長大な石転び沢には誰の人影も見られない。
本石転び沢も雪が多い 石転び沢の中間部より出合方面
北股沢に走る3本のルンゼ 今回のコースは右側のライン
誰も居ない梅花皮小屋に到着して中に入り、小休止して居るとなんとなく眠くなってしまい、マットを取り出して昼寝を決め込む。小屋の扉を閉めると中は暖かく、静かで快適なひと時が過ぎる。その後水場で水を汲んでから北股岳へスキーを担いで登りはじめ、途中で雪の切れた斜面から雪渓にトラバースし、目指す洗濯沢の滑降に取り掛かる。石転び沢上部と違って傾斜は緩く、やや狭い雪の斜面が飯豊川の本流まで続いている。
のんびりムードでスタートしてショートターンで雪の感触を楽しみ、柔らかな快適ザラメ雪を次第にスピードアップしながら下降して行く。板は良く走って雪の抵抗も無く、殆ど疲労感も無くどんどん下降する。いつの間にか梅花皮小屋は小さくなり、一部滝の露出した小さなノドの部分を通過しすると次第にブロックが散乱してくる。沢も狭くなってブロックがうるさくなった所でGPSを確認し、1330mで今日の終了点として登り返す。飯豊川本流からはブロックが崩壊する鈍い音がこだまする。南面に位置するこの斜面は気温がどんどん上昇しする。あんまり沢床までこだわる必要も無いのでこの辺が妥当な所か。
主稜線上の雪が少ない 北股岳直下より大日岳
梅花皮岳(左)と烏帽子岳(中間) 奥は御西岳 洗濯沢へドロップイン
梅花皮小屋が小さくなる 緩やかな斜面をのんびり下る
中間部で滝が一部露出 次第にブロックが散乱
北股岳山頂まで標高差700mの登り返しはやはり厳しく、着いた頃にはヘロヘロ状態で大休止。登ってくる途中で山頂から3人のスキーヤー、山頂では梅花皮小屋から上がってくる登山者とスキーヤー合計2名と会う。この時期は石転び沢を滑る方が殆どだが、若い方が多いのは意外だった。最近のバックカントリースキーブームの為か、テレ派がやはり多くを占めているようだ。最近までは私と同年代の中高年山スキーヤーが席巻していたが、最近の若返りは何か嬉しいような楽しいような。何時までも私ら中高年ばかりが徘徊している様では、この先山スキー業界は先細りになってしまうので・・・。
北股岳山頂から門内岳方面に200mほど登山道を下り、雪庇の弱点から北股沢の下部を覗き込む。都合の良い事に右斜面には緩やかな尾根から斜面が連続しており、石転び沢までの意外と広い斜面全体が確認できる。右俣と比べて傾斜はやや緩く斜面はフラットで、これなら快適に下れそうだ。ドロップインして尾根上を50m程トラバース気味に下り、後は斜面の真ん中を目指してショートターンで刻んでゆく。ジャンプターンをするまでも無く、ミドルターンで谷足にしっかり加重すれば安定してスピードもでる。左俣の様に舞い降りるような感触ではないが、広い斜面を自由自在に下降する快感もまた良い。
北股岳から本山、ダイグラ尾根方面 同じく本山、御西岳方面
北股岳から北股岳左俣を覗くと 北股岳山頂の東面
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梅花皮岳と直下の本石転び沢 門内沢の上部斜面
石転び沢まではあっという間の滑りだった。石転び沢の上部斜面には7〜8本のトラックが残されており、上がって来た大半のスキーヤーは既に下降して行った様だ。石転び沢に入っても板は良く走って足腰の疲れは感じなく、ロングターンでスピードに乗ってどんどん下降して行く。北股岳山頂で出会った仙台のスキーヤーを追い抜き、そのまま梅花皮沢を下降し続けて下つぶて石の終了点に到着する。
すっかり熱くなって来たのでTシャツ1枚となり、スキーをザックに背負って登山道を下り、約30分で温見平に到着する。例年になく雪渓が長くてまったく楽な歩きだった。ジョギングシューズに履き替え、梅花皮荘までの林道を1時間30分歩いて到着した。13時間20分の行動時間はかかり過ぎだったが、何時にない充実感を感じる山スキーだった。
北股沢左俣の上部斜面 意外と広い右の斜面
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快適ザラメ斜面で楽しいばかり あっという間に石転び沢出合
飯豊連峰 北股岳周辺のMAP
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