飯豊連峰 石転び沢〜北股岳(2024.9m)〜梶川尾根下降  




北股岳から烏帽子岳〜御西岳〜飯豊本山方面




 山 域  飯豊連峰 北股岳 (2024.9m)
 コース  5:15飯豊山荘〜7:18石転び沢出合〜9:55 10:46〜11:09北股岳〜12:00門内岳〜1:30扇の地紙〜13:08梶川峰〜14:31湯沢峰〜15:40飯豊山荘
 山行日時  2010年 10月24日(日)  
 天 候  曇り
 メンバー  単独

 主稜線の紅葉も終わって初雪も間近いこの頃、なぜか飯豊連峰をのんびり歩きたくなる習性が自分にはある。ひどい汗かきで夏は沢に逃げるパターンなので、山歩きのシーズンとなると6月と10月に自ずと限定される。

 残雪期の石転び沢は何度か歩いているが、積雪のない時期は余り歩いた事はなく、今回は初めての登りコースで梶川尾根周遊を目論んだ。もっとも人気のあるコースの為紅葉の時期は外し、いくらか落ち着いた10月末頃がのんびり歩け、鈍った体にムチを入れるのにはちょうど良い。あと一週間もすれば稜線には初雪が降り、これがシーズン最後のチャンスで、この好天に期待を膨らませてやって来た。

コースタイム= 飯豊山荘5:15〜7:18石転び沢出合〜9:55 10:35梅花皮小屋〜12:00門内岳〜12:29扇の地紙〜14:31湯沢峰〜15:40飯豊山荘

【概要】 

 最飯豊山荘先のゲート前にに到着してみると車は4台ほどで、先行者はいない模様で自分が一番乗りの様だった。サンドイッチと牛乳で手短に朝食を済ませると、一台の車がやって来て隣に止まったが、予定より15分ほど遅れて先行して飯豊山荘を出発する。

 ヘッドランプを照らしながらの出発は久しぶりだが、朝の気温の低下で息は白く冬の訪れを予感させる。温見平から先は歩き慣れた道で、下つぶて石手前のコースも沢沿いに進み、登山道に戻って進んでしばらく行くとまもなく石転び沢出合に到着する。ここから見上げると石転び沢は殆ど雪渓が消え、春先の低温にもかかわらず酷暑の影響が色濃い事を物語っていた。

 出合から先はまるで広大なヒマラヤのサイドモレーンを歩いている様で、所々大きな岩を巻きながら上を目指して行くが、空身同然といいながらも疲れを感じる。山スキーの場合だったら足の上下運動が無く直線コースの為、無駄な体力を消費しないので快適でスピードが出る。決まったコースもないのでルーファイには気を遣い、なるべくガレ場を避けながら沢筋付近を進んで行く。

 途中で下を振り返るが後続の姿は見られず、どうやら落石を嫌ってか石転び沢は敬遠されている様だった。視界が効いていれば問題ないが、視界不良の中では正しいコースをとるのが難しいだろう。上部の北股沢出合付近ではルートミスし易く、思わぬ落石が有ると逃げ場は少ない。

 今日は期待した秋の深い青空とはならないが、ひどい汗っかきでも程良い気温で汗ばむ事もなく、黒滝上部付近で1本採った後梅花皮小屋に到着した。小屋には昨日ダイグラ尾根を登って来た3人パーティーが休んでいるだけだった。

雪渓がわずかに残る石転び沢 滝の辺りでは落石に注意
 
 梅花皮小屋で小休止の後、先行する男女3人パーティーの後を追ったが、北股岳の山頂に立つと既に門内岳に向かっており、かなり健脚揃いのパーティに思えた。思いの外主稜線には人の姿はなく、紅葉時期を過ぎた景観はやや寂しい感じもするが、静かな世界が好みの自分としては願ったりだ。

 門内岳手前のギルダ原を通過すると、登山道沿いには真っ赤になったナナカマドが際立ち、バックの胎内尾根の一の峰・二の峰などは絵になる光景だ。今日は薄曇りで今一つの空模様だが、それでも雄大な主稜線や胎内尾根などをデジカメに納め、ノンビリ山行をやってみるのも心地良い。

 門内小屋のトイレには板が打ち付けられ、すっかり冬の準備が出来上がって夏山シーズンの終焉を迎える。今年の厳冬期に北股岳の山頂に立てるのは誰か?実力と経験とやる気ばかりではなく、幸運を味方に付けないと成功は難しく、残念ながらまぐれで成功したなどという話は聞いた事はない。それだけ厳冬期の北股岳は敷居が高い。
 
北股岳より梅花皮岳〜飯豊本山方面 美しい山並み
 
 扇の地紙で後続に二人の姿を見かけたのが最後だったが、下降コースの梶川尾根を下ると様子は一変し、日帰りで主稜線を目指す登山者が次々に登って来る。紅葉シーズンは過ぎているとはいえ、標高1000m未満ではコナラ・ミズナラ・紅葉・楓の紅葉は最盛期で、冬直前の好天の日となっても人気は集中する様だ。

 梶川尾根の上部登山道には登山道補修の跡があり、多くのボランティアの皆様によって維持されている事に頭が下がります。自分は社会的貢献度ゼロなので肩身は狭い。

 梶川峰から湯沢峰までは距離もあるが、下降は風化した花崗岩質の登山道のフリクション抜群で歩き易く、軽快な地下足袋の足裏感覚を楽しみながら降りて行く。下部のコースでは落ち葉に覆われた登山道となり、膝への負担も軽減されそうで快調なペースで降りて行く。

 流石に湯沢峰から下の急な尾根には難儀してしまい、スピードが落ちてしまって中々飯豊山荘に到着しない。ようやく到着した駐車場にはブナ林散策目的のお客さんが多く、何となく観光地の上高地から横尾に至る梓川沿いのコースを思い出した。


北股岳から門内岳方面 胎内尾根の一の峰 二の峰

門内小屋を通過する 北股岳かから烏帽子岳方面
梶川尾根を下降する 梅花皮大滝
石転び沢の上部 温見平から泡ノ湯へ通じる鞍部