飯豊連峰  入門内沢

石転沢と門内沢の出会いから滑降ルートを振り返る。


【期日】  平成5年5月4日 
【メンバー】 坂野
【天候】   晴れ
【タイム】  梅花皮山荘730〜温見平900〜石転沢1145~北股岳1410温見平430〜梅花皮山荘1800

 GWに会山行の穂高山行が不参加となってしまい、今回は久しぶりにスキーを担いで飯豊に入る。13年前に石転沢をスキーで滑ったので、今回は隣の門内沢を試みる。宇都宮を前日の1:00PMに出発し、カイラギ山荘に到着したのは830PM。予想に反して一般車両は梅花皮山荘のそばで通行止めとなり、その先の温見平までは往復3時間のアルバイトを強いられてしまう。昨日までの雨はようやく上り、曇りのち晴れとなる。

 立派に舗装された広い道路、大きな砂防ダム、以前の面影などとどめない立派になった飯豊山荘など、時代の変化を感じさせる物も多い。生かし雄大な山並み、大きなブナの林、そして豊富な残雪、やはり飯豊はいつまでも変わらない。温見平から石転沢の出会いまで沢のへつりがあり、スキーを脱いだり履いたりの繰り返し。滝沢との合流点からは沢全体を覆い尽くした巨大なデブリで埋まっていおり、まるでヒマラヤのアイスフォールの中を歩いているような気分になる。この時期に過去3回石転沢にきているが、今回が最も雪が多いと思われる。                                                                          
 石転沢出会いで一旦小休止し、上部の門内沢を偵察に出かける。残念ながら門内沢の上部は尾根に隠れて見ることができなく、稜線には大きな雪庇が張り出して下降点の確認ができない。石転沢にはすでに
4~5人の先行パーティーいて、頂上稜線を目指してもくもくと進む姿が見える。おそらく温見平か檜山沢出会い付近でテントを張ったと思われる。

                 

                  石転沢の上部は実にスケールが大きい。北股岳付近からの
                  巨大な雪庇が見える。

石転沢の中間部には50cm以上はあるブロックが中間部に散乱して歩きにくいが、ジグザグ登高で高度を稼ぐ。上部の雪壁になったところでスキーをザックにつけ、キックステップを効かせながら梅花皮小屋を目指す。途中テレマークスキーを履いて下降してくる8人ほどの一団とすれ違ったが、荷物が重いせいかスキーのテールが流されて滑りずらそうだった。石転沢上部で1回小休止をした後は一気に雪壁を上り切り、梅花皮小屋を経て北俣岳を目指すがピークの手前になるとかなりこたえる。

 北股岳よりスキーをつけて早速滑降の開始。ピークからも門内沢は雪庇に隠れて見えなくて状況がつかめないが、ともかく稜線を門内沢側に降りて巨大な雪庇の切れ目を求め下降点を目指す。北股岳より門内岳側に3400m程アイスバーンの斜面を降りると、門内沢がようやく確認できる。どうやら門内沢左俣よりで最も北股岳に近い支流の上部斜面のようだ。下部は急斜面となっていてルートは確認できないが、門内沢に出ることは間違いない。

 先が見えないだけに少し緊張するがここまで来たらやるしかない。意を決してクラウトした急なスロープを緩いターンでゆっくり下降を開始。快適なターンで降りるが次第に傾斜がきつくなり、しっかり谷足過重でバランスを崩さないようにスキーを操作する。1度でもつまずいて転んだら最後下まで止まりそうに無く思えて、いつに無く緊張したスキーだ。

                       

                  北股岳から飯豊本山を望む。右手の北股沢側の斜面も快適
                    なスロープが続く

 斜面は急だが広い1枚バーンの為、傾斜に慣れてくるとなかなか快適に滑る事ができる。斜面を左にトラバース気味にすべり、門内沢の本流沿いに滑り込む。本流筋は一部ブロックが散乱しているので、それを避けるようにして下降してゆくと、門内岳から一直線に流れる入り門内沢と合流する。ここでやっと急傾斜から開放されてほっとする。入り門内沢には誰が滑ったのか唯一の美しいシュプールが残されており、実に快適そうに思われる。門内沢の広大な雪崩跡を滑り、石転沢との合流点より少し下がったところでスキー滑降は終点になる。

 長者原から北股岳山頂往復合計10時間。長者ヶ原から温身平までの林道の歩きもあり、高度差1700mもあると流石に体力の消耗が激しいが、豪快なダウンヒルはそれに増して余りあると言える。下山後は梅花皮山荘で温泉につかり、ゆっくりと体の疲れを癒すのも楽しい。

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