吾妻連峰 家形山
【期日】 平成16年1月12日(月)
【メンバー】 坂野 荒井
【天候】 晴れ
【行動】 吾妻スキー場 9:10〜慶応小屋分岐10:40〜家形山のコル12:10〜家形山12:45
家形山1:10〜吾妻スキー場14:1
今回のツアーは正月休み企画のお流れ山行で、予定も日帰りに変更した短縮バージョンである。予定では11日(日)の予定だったが、西東東低の気圧配置が長引いて太平洋低気圧が発達してしまい、仙台市内でも強風が吹き荒れる程で、予定を1日繰り下げてのスキーとなった。
仙台を5:45AMに出発し、遠刈田の相方と合流して吾妻スキー場に到着したのは8:30AM。スキー場の最終地点まで車を乗り入れるとそこは第2リフトの中間地点で、リフトに乗るのも中途半端なので、身支度を整えるとシールを効かせてゲレンデを登りはじめる。次第に青空が出てきて風もなくなり、額に汗が滲んできて暑くなったのでジャケットを脱ぎ、ただ黙々とスキーを進める。リフトの終了点からはなだらかなカラ松の林が続き、次第に深い林の中に導かれるようにしっかりしたペナントを追って行く。先行者が1人いたが、ラッセルに疲れた様子なので交代する。雪は深くスキーでも潜ってしまいそうな状態だが雪質は軽く、滑るには又とないパウダースノーの様で、下りのスキーが楽しめそうだ。
やがて視界が効いて来るころになると慶応小屋への分岐に差し掛かり、コースを右にとってこの先から家形山へのコルを目指して細い尾根の登りに取り掛かる。今年はまだ雪が少なくてブッシュがうるさく、また深い雪に思うように高度が稼げず、ジグザグ登高を交えながら登高を続ける。視界が効いた尾根上に出ると、対岸にようやく家形山の全体が姿を現す。頂上直下から広がる東斜面はいかにもスキーヤーの挑戦を待っているような、素敵なスロープに見えるのは私一人だけではあるまい。
尾根上は風が強く身体が冷えてきたので、小休止の後ジャケットを着込んでフードをかぶり、あと少しの稜線を目指して登りはじめる。途中から雪も少なくなり、石ころを避けながら傾斜の緩くなった斜面を上り詰めるとそこが目指す五色沼の外輪山だった。突然南側に一切経が姿を現し、眼下には氷結して雪が積もった五色沼が広がり、前大巓、東吾妻山の山並みが続いている。ここまだ来れば一切経までは足を伸ばしたいところだが、今日は余裕を持って仙台に戻りたい為あきらめるしかなく、家形山のピストンで終了とする。
家形山への稜線は今年雪が少ない為なのか石がゴロゴロしていて、スキーを脱いで最低コルまで歩いてゆく。家形山への登りで再びスキーをつけ、南斜面に張り出すようにしてジグザグ登高を交えながら頂上を目指す。あまり南斜面に寄りすぎてトラバースすると雪崩の心配もあり、再び稜線に戻って最後はブッシュ交じりの所を越すと頂上に続くなだらかな斜面にでて、間もなく行くと山頂のケルンに辿り着く。山頂では風も弱まり体も充分に温まってきたので、缶ビールを取り出し何時ものごとく気持ちよく喉を潤す。途中で追い越した一人のスキーヤーが後から登って来たが、頂上は我々を含め3人だけという静かな山行だ。山頂からの北の方面は視界が効いて良く見えるが、どうやら蔵王連邦だけは山頂付近が雲に覆われて確認が出来ない。
ここでシールを外し下降の準備に取り掛かる。今年、勢いで買い込んだトラブのシンテシの板は今日が3度目のトライであるが、実質的なパウダースノーは初めてで、自分でもまだ滑りの感触が掴めていないので少し不安もあるが、今日は雪が軽くコンデションとしては最高と思われる。もう少し斜面に雪が着いていれば頂上からの滑走も可能のようだが、ブッシュがうるさく傾斜も急なので今日は割愛して20m程下がった所から南側の斜面に飛び込んでみる。このまま沢筋に向けて一気に滑り込みたいところだが、帰りは辛い登り返しになり、しかも雪崩の危険性があるのでここはぐっと堪えて8回ほどのショートターンで我慢する。出来るだけ前傾姿勢を保つように、ストックを大きく前に突き出してフォールラインをめがけて深雪にターンを描いてゆく。最初一度だけバランスを崩しかけたがすぐ持ち直し、その後は感覚を掴んでターンを繰り返す。どちらかと言えば深雪には向かないと思われる板だが、雪が軽く状態が良かったのか思いのほか快適なすべりが出来、パウダースノーでは始めてのいい感触を味わった。
最低コルまで滑り降りてここでスキーを一旦脱ぎ、200mほど稜線を登り返すと後は一気に吾妻スキー場まで滑り降りるのみ。慶応小屋の分岐までの尾根は、雪が少なく藪がうるさくてあまり快適とはいえないが、雪の状態が良いので藪の処理に慣れてしまえばあまり苦にもならない。途中のなだらかで深いカラ松林を抜け、すこし行くともうリフトの終了点だが、途中の小休止なしで一気に今日の出発点の駐車場にたどり着いた。