飯豊連峰横断 蒜場山〜大日岳〜長者が原 2005.05





蒜場山付近から見る大日岳。




 山 域  飯豊連峰 大日岳(2128)m 
 山行日時  2005年 4月30日〜5月3日  
 メンバー  荒井 (単独)
 行 程  東赤谷〜蒜場山〜大日岳〜梅花皮小屋〜石転び沢〜長者ヶ原

 今回は何時も山行を共にしている荒井さんから特別寄稿をしてもらった。内容は5月の山歩きの記録だが、飯豊連峰の西面の長大な尾根を辿り、大日岳に登頂してから石転び沢を下降して東面の長者が原に至るという、スケールの大きな飯豊連峰横断の記録である。このコースはもちろん登山道は無く、積雪期にのみトレースの可能なコースで、年間でもほんの数パーティーほどしか訪れない模様。

 彼はこの時期の4年間ほどは毎年飯豊西面を訪れ、奥胎内から門内岳に至る胎内尾根、日出谷から水晶尾根を経て大日岳に至るコース等を走破し、単独で長者が原に至る横断を行っている。私は長い林道歩きは苦手で、まとまった休みも取れないので一度もお付き合いした事は無いが、飯豊連峰の奥深い懐内部を辿る山行は地味ではあるが、静かだが山歩きの奥深さを感じさせる記録と思う。 (sakano)

4月30日 東赤谷BS 8:40〜加治川ダム10:10〜岩岳12:35〜烏帽子岩13:05〜蒜場山15:10〜1065mのコル16:00 
5月1日  1065mコル6:25〜960mコル7:25〜稲葉の平8:30〜烏帽子山11:35〜1420mのコル(キンカ穴コル)13:25〜実川手前BP15:30
5月2日  実川手前BP9:00〜薬師岳10:46〜大日岳11:45〜御西小屋12:10〜梅花皮小屋16:35
5月3日  梅花皮小屋5:35〜石転び沢出合6:30〜温身平7:55〜天狗平8:35〜飯豊梅花皮荘10:00

 4月30日
 前夜、小国駅に車をデポして始発バスにて新発田駅より東赤谷に入る。天候は晴天、しかし荷の重さと寝不足で足取りが弱い。加治川ダム手前で桜を見なら今日越える予定の蒜場山を見上げる。
ダムを渡りすぐ岩岳への急登。残雪の中とにかく高度を上げる。800m付近より雪面となり、岩岳へ一度下ってから痩せ気味の尾根を上り、鎖場の有る烏帽子岩、さらに小さなギャップの有る肩をいくつも越しながらやっと山伏峰のピークへ。

 ようやく西大日岳がはるか遠くに見える蒜場山のピークは、少し上り下りをして到着。予定より進まないので先を急ぐ。縦走路は右側(西大日岳側)にほぼ直角に曲がり大雪庇の方向になるので、視界が悪いときには苦労するだろう。下方が見える弱点をまっすぐ下降する。左側の尾根を利用して更に右の沢に入り、その後本来の右の主稜に戻るように下降する。やがて尾根は広くなり、次のピークの登りを確認して今日の泊まりとする。

 5月1日
 小ピークの雪稜を登り、拾い尾根を最低コルに向いゆるい下りとなる途中、雪稜が切れ気味となり薄い藪を歩く。最低コル960m付近から高立山の急登となり、獣道を利用して左側から雪稜に出る。広い雪稜をP1351mを目標に進むが、尾根が大きく蛇行しているのでなかなか目的地に着かない。大きなピークをいくつか越えるとやがて、烏帽子岳が正面に見えてきた。様子を覗うと手強い様子だ。
緩く下り、コルより右に大きな雪庇を気にしながら登りにかかる。上部で藪尾根が大きく切れ込んできているのでうまく雪面を結んで行き、一気に高度を上げる。主峰と北峰のコルに少々の藪を漕いで登りコルに達する。

 天気は下り坂となり、烏帽子沢は急なルンゼとなって落ち込み、北峰側は急な岩場が見える。先をを急ぎ北峰への登りとなる。雪面と岩稜、そして藪を利用して足元に見えるコルを目指すとマグソ穴のコルだ。マグソ穴の峰への登りは雪稜が消え、激しい藪の連続した尾根となる。

 西大日岳は頭上に近くなって来たが、雪稜と藪尾根のギャップが連続してバテバテとなってしまう。この山行の中では一番苦しい所に感じられる。風が強まってきたので泊まり場を考えながら雪稜を登り、実川の手前で今日の泊まりと決める。今日は風雨対策をして泊まる。

 5月2日
 前夜は風雨となり、まだガスの中に雨が有ったが、予報では回復模様なので少し遅いが出発とする。8:30頃にガスが上がり赤津山が見える。雪稜を登り実川山を越えると、西大日岳に向かっての大雪稜となる。一気に西大日岳を目指して登って行き、風の中、アイゼンを効かして頑張る。

 待望の薬師岳、そして西大日岳の山頂に達する。振り返ると遥か遠くに蒜場山、真ん中に烏帽子山の鋭い峰が良く見えるが実に長くそして遠い。牛首尾根が近づいてくると4年前の5月が思いだされるが、あれもとても長い尾根だった。

 大日岳から一気に雪面を下降して御西小屋を目指すと、天候はかなり回復してきて最高の気分。飯豊連峰の主稜線に到着すると、東面の山形県側の斜面には雪がたっぷりと付いている。この見事な斜面ではスキーが欲しい。烏帽子岳への途中で3日ぶりに登山者と会い会話をする。彼ら2人は本山小屋へ、そして私は梅花皮小屋を目指して歩きつづける。足に疲れが出てきた頃に梅花皮小屋に到着すると、夕刻に登山者が一人やって来て今日は都合2人のみの泊まり客となる。

 5月3日
 天候は快晴で飯豊を下るのは実に惜しいが、明日やらなければならない予定も有り、一気に石転び沢を下降する。両足にかなり疲労が来ているが、11:35のバスが梅花皮荘発なので辛くても下山を急ぐ。飯豊山荘でも積雪が1m程も有り、長い林道の雪面をトラバースしながらようやく梅花皮荘に到着する。そして、温泉とビールで疲れを癒す。



加治川対岸の赤津山方面                       岩岳より望む蒜場山


山伏峰から蒜場山山頂、遠くは大日岳                蒜場山より大日岳、左側は梅花皮方面


実川山と西大日岳、手前は烏帽子山                                   ?


960m付近 カタクリ                          丸子カル付近より烏帽子山


烏帽子山の主峰                              烏帽子山の東面


実川山より烏帽子山方面                          北股岳と烏帽子山


御西小屋より大日岳                              御西小屋


御西方面                                 烏帽子岳から大日岳北面


北股岳                         石転び沢上部より北股沢


石転び沢出合から門内沢                         梅花皮荘公園より桜と梶川峰




飯豊連峰 西面 MAP