月山  志津〜姥沢〜月山 2008.11



月山山頂直下のクラストした斜面




 山 域  月山 (1979.5m)
 山行日時  2008年11月24日(月)   
 天 候  晴れ   -5℃ (山頂) 
 メンバー  単独
 行 程  志津7:02〜姥沢8:43〜牛首10:50〜月山12:00〜姥ヶ岳13:04〜姥沢13:10〜志津13:40 GPS積算距離 21.1km 標高差 1236.0m  


 今頃の東北南部の初滑りとなるとあまり満足出来る所は無いが、ここ豪雪で知られる月山だけは例外だろう。昨年の同時期には好天,に恵まれて月山の山頂に立ち、念願の東斜面の大雪上のパウダーを蹴散らす事が出来た。その思いを引きずっての今シーズンだったが、連休の最終日にようやくチャンスが訪れ、2匹目のどじょうを求めて久しぶりの早朝出発で志津を目指した。何時もより30分ほど遅れて志津の駐車場についてみると、テレマーカー1名、山スキーヤー1名がすでに到着しており、自分もあわただしく準備を整えて駐車場を出発した。
 
【概要】

 駐車場から300mほど先の国道の分岐は土木工事中で、姥沢方面の道路はその先が除雪されていない。昨日あたりは雨が降ったのか雪は締まっており、すでにラッセル済みの道は汗をかく事も無くペースもはかどる。しかし、橋を渡る手前で見当違いのチョンボルートに取り付いてしまい、結局15分ほどのロスをしてしまって元のコースに戻る。最初から調子が外れて先行の二人には離されてしまい、電柱下のショートカットコースをジグを切って登るが、やはり1ヶ月ぶりの山行となると息が上がってしまう。

 何度も小休止を取りながら進んで行くと姥沢に到着し、前方には白く眩しい月山の雄姿が飛び込んで来る。空には高層雲が見られるものの何とかなりそうな空模様で、月山の山頂を目にすると登高意欲は増してきて、そのままノンストップで姥沢を通過してリフト下駅に到着する。

 
 
電柱下のショートカットコースを行く 姥沢からの月山山頂 頂リフト下駅で小休止

 月山山頂は豊富な積雪で厳冬期を思わせる雰囲気があり、めったに見せない微笑のように感じるのは自分だけか。姥沢から見上げる姥ヶ岳南面もノントラックの大斜面で、山スキーを志すものだったら誰でもが夢中になりそうな世界が広がる。先行するテレマーカーは南の尾根に取り付いて直登コースに入り、もう一人の山スキーヤーは自分と同じリフト下駅の斜面経由のコースを進む。

 リフト下駅で小休止中の先行者と言葉を交わしてラッセルを交代し、パウダー調子になってきた快適斜面にジグを切る。やはり先頭に立った時の雪の感触は嬉しいもので、シールを効かせてもさほど汗ばむことは無く、上駅を目指して黙々と高度を上げて行く。だが、調子が良かったのは最初だけで、普段の不摂生がたたって直ぐに息が上がって呼吸を整える。幸いにも風は有るものの天候は落ち着いた様子。上駅で小休止を取っていると後続の山スキーヤーが先を行き、姥ヶ岳方面に向かって大斜面を登って行った。

 東には朝日連峰の主稜線もくっきり見えて青空が広がり、ここまで来たら迷う事無く方向を月山に向けて姥ヶ岳の東斜面をトラバースして行く。トラバース斜面の下はやや固いが適度に雪が載り、快適にシールを効かせて牛首を目指す。姥ヶ岳と金姥のコルに立つと左手に品倉尾根が姿を現し、遠くは赤見堂・以東岳方面の山々を望む事が出来る。既に月山の全ての尾根筋斜面は白い雪壁で覆われ、何時での山スキーヤー・テレマーカーの訪れを待っているかの様だった。

リフトの上駅から先は厳冬期の雰囲気 先行する山スキーヤーは姥ヶ岳を目指す
牛首付近から月山の山頂方面へ 姥ヶ岳方面を振り返ると後続者はなし。

 金姥を超えて牛首に差し掛かるころに後方を伺ってみるが、その後リフト上駅から上がってくる人は無く、ここから先は月山の貸切状態となって何か心が躍ってくる。尾根上はいくらかクラストして来るがアイスバーンは無く、意外と発達した雪庇を右に左に交しながら進んで行く。今日はファットのポケロケにするかレギュラーのシンテシするか悩んだが、上部はクラスト気味のコースが続いてシンテシで正解だった。牛首から先の急斜面では次第にシュカブラも出てくるが、フラットな斜面を繋ぎながらシールを効かせ、中盤に差し掛かってから念の為スキーアイゼンをセットする。

 斜面を登り切った辺りで何時もの様に少しアイスバーンが出てくるが、これを超えると月山の山頂が姿を現してゴールはもうすぐとなる。確かに最後のシュカブラは鬱陶しいものの、山頂を見ると思わず突進したくなるのは今でも山屋の証か?山頂から見下ろす月山山頂の東斜面は素晴らしいパウダーの様で、今頃は限られた人しか味わう事の出来ない素晴らしい世界だ。さすがに昨年と違って体力的にも余裕などは無く東斜面は見送り、今回は写真を撮ってからは直ちに下降に取り掛かる。

山頂方面は雪庇が出てきて厳しい雰囲気 積雪量の豊富さは月山の宝
品倉尾根方面を振り返る 山頂から見下ろす東斜面のパウダー斜面

 山頂はでは5時間も掛かってしまって調子は今ひとつだが、山頂を後にしてからは速やかに下降するのみ。シールも剥がさずにガタガタの斜面を降りて行き、次第に出てくるフラット斜面にターンを刻んでどんどん下降して行く。牛首から先はシール走行交じりの滑りで降りて行き、一気に下ってから姥ヶ岳の登り返しに取り掛かる。姥ヶ岳の山頂では単独の山スキーヤーが下降の準備中で、ここで初めてシールを剥がして先行者の後を追って滑り出す。

 山頂付近の南斜面はややクラストしてシュカブラ交じりだが、フラットな斜面に飛び出してからはロングターンを楽しみ、時々ショートターンを交えて降りて行く。こんな好天に恵まれた日にもかかわらず、昨年と違って少ないスキーヤーには意外だったが、斜面も荒らされる事が無いだけ幸運とも言える。下部斜面ではややモナカ気味でエッジが引っかり不快だが、後は何時もの様な雑な滑りでごまかして姥沢に到着した。その先はすっかり高速道路のような車道のトレースを飛ばし、山頂から1時間40分で志津の駐車場にたどり着いた。

月山山頂に立ってからは即下降開始 赤見堂方面の稜線も雪はたっぷり
姥ヶ岳の山頂でスタンバイオーケー 姥ヶ岳の南斜面を降りて行く

 姥ヶ岳から先では貸し切り状態で幸運だったし、昨年に続いて初滑りとしては出来すぎた位の満足感を得る事が出来た。今頃標高の低い東北の山では極上のパウダーとはいかないが、全国でも有数の積雪量を誇る月山はスキーヤーにとっては宝の山で、最近は厳冬期でも多くのスキーヤーが訪れる有名どころとなっている。山スキーヤー・テレマーカー・スノーボーダー・ブナ林散策のスノーシュートレッカーなど、思い思いのスタイルで活動できる場として、何度通い詰めても飽きる事の無いフィールドでもある。山スキーヤーにとっては多くのクラッシックロングコースが魅力で、今後の暖冬傾向によっては意欲的な試みも可能かも知れない。


  


月山 志津〜姥沢〜月山 ルートMAP