月山 志津〜姥沢〜月山〜東斜面 2007.11
月山山頂を目指してクラストした斜面をシールで登る
山 域 |
月山 (1979.5m) |
山行日時 |
2007年11月25日(日) |
天 候 |
快晴 |
メンバー |
千田 坂野 |
行 程 |
ネイチャーセンター分岐6:40〜姥沢7:44〜紫灯森〜月山10:48〜月山東斜面登り返し11:30〜月山12:00〜紫灯森〜姥ヶ岳13:12〜姥沢14:00〜分岐14:30 |
3年ほど前から初滑りは月山と相場が決まっていたが、11月でこれ程雪に恵まれた年は記憶には無い。この地でも11月の積雪としては20年ぶり位になると言う話も有る様で、高気圧に覆われる25日には見事な晴天が予想された。この時期、北アルプスの3000mクラスの山と異なり、薮がらみの東北でもう存分滑る事が出来る山は少なく、月山は例外的な初滑り天国とも言える山だ。
しかし、この豪雪の月山は反面天候に恵まれる事は少なく、何時行っても吹雪かれて帰って来るというパターンが多い。無理やりGPSだよりで姥ヶ岳まで上がった事も有るが、視界の無い斜面を滑っても良い思いでは殆ど無い。視界が利かなければツリーランで遊ぶ手も有るが、山スキーヤーとしてはやはり山頂を目指さない山行は味気なく、何処か消化不良ですっきりしない。今回はあいにく同行者は少なかったが、きっと山頂に立ってやると決めて早朝に仙台を立った。
【概要】
志津を通過してネイチャーセンターとの分岐点で相方と合流すると、もう既に先行者が5:30AM頃に姥沢方面を目指して通過して行ったらしい。山スキーヤーと言う事で何となく誰かとは想像も付いたが、積雪80cm程の車道には立派なトレースが続いていた。途中のショートカットコースは適度に雪で埋まり、モンキーラッセルを強いられる事も無くペースははかどり、1時間強ですっかり厳冬期模様となった姥沢に辿り着いた。姥沢では風がやや強まり、上空を流れる風は確かに真冬の到来を告げているが、肌を刺すような寒気などは無縁で、春スキーにでも出かけている様な柔らかい雰囲気が漂う。
姥沢から見上げる月山の雄姿は雪煙をまとった様な姿で、緊張感のあるその光景は山スキーヤーの心をくすぐる。姥ヶ岳の南斜面にはノントラックの眩い大斜面が広がり、まるで我々を手招きしている様にも思える。姥沢で小休止を取っていると後続する4人パーティーに追い抜かれたが、後で聞いて見ると新潟から3時間半掛けてやって来若い方々で、この時間帯ではきっと山頂を目指している様子と思われた。
リフトの下駅を過ぎてリフト下の斜面に取り付くと雪質も変わり、パウダー調子になってきて期待が膨らむ。先行者のトレースを追いながらジグを切って斜面に取り付くと、久しぶりのスキー操作でやがて息が上がってしまい、小休止を入れながら呼吸を整えて上駅を目指して登って行く。ここまで4人パーティーとは抜きつ抜かれずを言う調子だが、この先は殆ど同一行動で山頂を目指して行く。リフト脇の樹木は霧氷が張り付いて朝日に輝いて美しく、左手の姥ヶ岳東面はボリュームの有る白の斜面が眩しい。山頂付近では先行者一人が登高中で、この勢いでは当然月山方面を目指すと思われた。
何時もの年ならリフト上駅で悪天候に捕まってしまい、気晴らしの缶ビール等を一本あけて往路を戻るパターンだが、月山山頂を目にしたからには前進有るのみで、心地よいパウダー斜面をトラバースして紫灯森を目指す。この時間帯なら最高のパウダー斜面を思う存分食う事が出来るが、その誘惑を振り切る様にして月山を目指す。まもなく硬くパックされた斜面が続くが、まだまだシールは良く効いているのでどんどん先を行く。トップは同行する新潟R会のパワー溢れる人で、パワーでは誰にも負けることの無いchida君もすぐその後を追う。今ひとつ調子の上がらない私はすっかり諦め、デジカメを取り出してのんびりと後を追って行く。金姥直下をトラバースして尾根に上がると、西に伸びる真っ白な品倉尾根がめに飛び込んでくる。遠くには青空にくっきりと地平線が浮かび上がり、青い空と品倉尾根ののコントラストが素晴らしい。
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姥ヶ岳東斜面下を大きくトラバース |
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3月に下降した品倉尾根 |
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美しくコントラストを描く品倉尾根 |
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鍛冶小屋跡下部のクラスト斜面を下降する。 |
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先行の2人はどんどん先を行ってしまい、瞬く間に鍛冶小屋跡下の斜面に取り掛かっている。この先は流石に斜面がクラストし、次第に傾斜がきつくなってくると板が流され、スキーアイゼンの無いポケロケではやや苦戦。しかし、ゆっくり体重を乗せれば問題は無く、少し余裕のジグを切ってこの斜面を登り切る。後ろを振り返ると雄大な品倉尾根と、その遥か向こうに連なる朝日連峰の山並みが美しく、デジカメを取り出してパチパチ取りまくる。遠くに聳え立つ鳥海山は真っ白で、湯ノ台コースなら既にスキーも可能のように思えた。
しかし、今季初登場の防水デジカメの操作不慣れがたたってしまい、いつの間にか露出の設定が狂ってしまい、後で気が付いた頃には露出オーバーで失敗作の連続だった。
山頂に到着してみると先行者はプラブーツにジルベレッタ仕様で、細めの板はいかにも快適な登高向きに思えた。沢登り&アルパインをバリバリやっている方らしいが、流石に体力とスピードは抜群で、かなりスキー慣れもしている方の様だった。頂上で一休みをした後、このチャンスを逃す手は無いので東斜面を一本試みる。トップはお先したchida君が勤めるが、意外と硬い斜面にトップを引っ掛けてしまって苦戦の様子。期待したようなフカフカのパウダーでは無かったが、それでも山頂からの一本は感動物で一気に200m近くを滑り込む。フラットな大斜面はスピードに乗ったロングターンが似合うが、シーズンしょっぱなの私はショートターンを刻んで慎重を期す。続いて残り3人も相次いで降りてきて、シールを貼り直して再び月山山頂に登り返した。
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200mほどはアイゼンが無いと苦労する |
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山頂から月山西面を俯瞰する |
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月山東面は以外にも底が硬い斜面 |
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山頂まで200m程の上り返し |
山頂からはガタガタのシュカブラを降りてゆき、鍛冶小屋跡から先の急斜面を慎重に下降して行く。あまり快適とは言えないが、この多様な雪の斜面を滑り切るのも山スキーの醍醐味で、続くクラスト斜面、パウダー斜面、重い雪でも思えば楽しいスキーと言える。幸いスキーの回し難い不快なモナカ雪は無く、紫灯森にはあっという間に到着して姥ヶ岳の上り返しに取り掛かる。姥ヶ岳方面は多くのスキーヤー・スノーボーダーの姿が見られ、まるで4月の様な賑わいを見せており、とても11月頃の月山とは思えない。東面のパウダー斜面には数多くのトラックが刻まれ、今から山頂を目指すひとも何人か見られた。
シールを貼り付けて姥ヶ岳への上り返し始めると、背後にプラブーツを履いたさっきの山スキーヤーの姿が有り、ぴったりと自分のあとを追ってくる。しかし、シールを貼った様子は無く、きっとウロコの付いた板と思っていたらそうではない。話を聞いてみると登り方とストックの使い方にコツが有るようで、スキー沓を捻る様にすればシール無しでも登れると言う。結局殆ど同時に姥ヶ岳に辿りついてしまい、なんだか信じられないような感じだった。後でそのコツを教えてもらったが、プラブーツには特に有効という事だが、兼用靴でも一度試してみようと思っている。
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シュカブラをクリアーして紫灯森を目指す |
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パワフル&テクニカルなテレマーカーは飛ばして行く |
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姥ヶ岳の南斜面はまだパウダー気分 |
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湯殿山の東斜面を見なが流して行く |
姥ヶ岳では美しい朝日連峰・赤見堂岳方面の山並みを堪能し、最後の姥ヶ岳南斜面の滑りに取り掛かる。既に縦横無尽のトラックだらけで食傷気味だが、まだパウダー気味の斜面はスピードにも乗って快適。下部は若干薮っぽいが、おおむね快適なクルージングで姥沢に到着する。志津へ向かう林道にはしっかり刻まれたトレースを流し、最後は膝に疲れが溜まりながらもネイチャーセンター分岐に到着した。
今日はめったにない晴天に恵まれ、初滑りとしては今までにない幸運な一日だった。今日は月山のいい所取りで、こんな日は後5年間程はやって来ないかも知れない。でも最近は厳冬期でも姥沢周辺は結構賑わっており、この時期の初滑りも少し定着して来た様にも思えた。
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月山 志津〜姥沢〜月山 ルートMAP
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