朝日連峰 ユーフン山 2006.03




2006.03.21 清太岩山からユーフン山へ。




 山 域  朝日連峰 ユーフン山 1565m 
 山行日時  2006年3月21日(日)  
  天 候  曇りにち風雪  
 メンバー  荒井 坂野
 行 程  根子〜日暮沢小屋〜清太岩山〜ユーフン山〜清太岩山〜ゴロビツ沢   〜暮沢小屋〜根子

 今年の春スキーはまとまった休みが取れず、日帰り山行で可能なコースをあれこれ考えたが、結局は今年も朝日連邦として半ば無理やり相方に付き合ってもらった。正月の大朝日岳山行に気をよくして竜門山まで足を伸ばし、あわよくばおいしそうな斜面を一本などと欲張ってみた。しかし肝心の天候はここ最近安定せず、ましてや休日の晴天に恵まれることが稀な話。1日の好天を期待して山に入ったが、北海道沖で大きく発達した低気圧はすっかり定着してしまい、稜線付近は強風が吹き荒れて思わぬ苦戦を強いられた。

 しかしこんな所に今頃入る人などいないだろうと思っていったら、清太岩山付近にはスキーで下った様なトレースが有り以外だった。こんな天候が不安定な時期に入る方はかなり山慣れしている方か?

3月21日 根子3:35〜日暮沢小屋5:35〜ゴロビツ上部8:00〜清太岩山9:08 9:35〜ユーフン山10:10〜清太岩山10:40 11:20〜ゴロビツ沢下降〜日暮沢小屋12:08〜根子13:50

 天気予報ではほぼ晴天が約束されていたようだが、根子を出発する頃は予想に反して曇り空で若干風が強い。昨日は夜になってみぞれ模様でどうなるかと思ったが、出発してみると5cm程の積雪で歩きは快調。いつもうんざりするような長い林道をヘッデンをつけて進んでゆくが、スノーモービルの跡のようで歩き易い。3kmほど進んだ砂防ダムの斜面は2ヶ所ほどブロックが崩壊していたが、問題なく通過してやがて日暮沢小屋の裏に到着する。

 夏道はここからいきなり狭い尾根の急登になるが、小沢を越して日暮沢の右岸を300mほど進むと杉の植林地となり、ちょうど良い斜面が上部の登山道方向に続いている。昨日の雨で斜面がクラストして雪が載っているので、早速スキーアイゼンを付けてジグを切って登ってゆく。どうりで登り易いと思ったら、何時、誰が付けたのか青いビニールテープがついており、ちょうど良い冬のコースになっている様だ。

 
杉の植林地よりアプローチ 日暮沢小屋方面を見下ろす やがて登山道に合流
  
 850m地点で登山道に合流すると急に傾斜は緩くなり、尾根も広くなってスキーにはちょうど良いブナ林の斜面が続く。さらに2ヶ所のちょっとしたアップダウンを経てからは次第に傾斜が増し、途中からアイスバーンになってスキーアイゼンの爪便りの登行となる。歩行用のアイゼンを出すべき場所だが、クライムサポートを外してしっかりアイゼンを効かせ、特にキックターンには特に慎重になってジグを切ってゆく。このコースではもっとも緊張する場所だった。

 ここから先はゴロビツのテント場辺りだが、しばらく進むと登山道をさえぎるような大きな雪庇が目に入ってくる。5月頃は雪庇に張り出しの小さい箇所をまっすぐ乗り越えて行くが、弱点はなさそうなので今回は雪庇下の斜面を右にトラバースし、下の尾根から容易に乗り越して右のブナ林から上部を目指す。乗り越した地点には赤布をくくり付けた木の枝を立てる。2年前の5月にここを下ったとき、調子に乗って飛ばし過ぎて200mを登り返した記憶が有る。
 
適度な斜面で快適 ゴロビツ付近から日暮沢小屋方面
ゴロビツ源頭部の雪庇 右から廻り込んで雪庇の切れ目を登る
 雪庇を乗り越えて尾根に上がると風が強まり、ようやく見えてきた主稜線付近もガスに覆われて見えない。どうやら稜線付近は風が強く吹き荒れている様子で、強風で特に有名な清太岩山付近もただではすまないだろう。ここから先はしばらく傾斜の無い広い斜面で、晴れていれば大朝日岳、以東岳方面の素晴らしい景観を楽しむことが出来たはずだ。1350mピークを過ぎると三角形にとがった雪稜が出てくるが、特に問題は無くこの辺までは順調に進んで行く。しかしこの先清太岩山手前のピークを過ぎた辺りから突然風が強まり、時々吹雪交じりで前を向けないような状態になる。正月頃にこのコースを取ったパーティーはこの辺での敗退が多いものと思われる。

 ようやく到着した清太岩山だが、この先フーフン山を越して竜門山まではまだ先が長い。風の無い晴天の日を期待してやってきたが、この状態ではスキーで前進するのは危険が伴う。スキーを背負ってアイゼン歩行をいう手も有るが、この強風では風にあおられると左手の赤倉沢に飛ばされてしまう。ここまで来てスキーを諦めるのは残念だったが、やむなくスキーはここにデポしてアイゼン歩行で上部を目指すことに変更する。

雪庇を乗り越え先を目指す 清太岩山方面に続く尾根 清太岩山に近くなると風が出てくる

 清太岩山から50m程高度を下げ、強風にたたかれたアイスバーンの硬い斜面をストックでバランスを取りながら登る。時々やって来る突風は少しでも気を許すとバランスを崩し、ストックをで思いっきり体を支えながらこらえる。ピッケルは無いので滑ったら止めようが無いが、以外にストックでも耐風姿勢をとれば何とかなる。何度か突風に煽られそうになりながらもようやくユーフン山に到着。次第に主稜線の雲が無くなって竜門山も姿を現したが、強風は一向に収まる気配を見せず、今日は仕方なくここから退却とする。

 清太岩山に戻ってからは強風の中シールを外し、さっさと下降に取り掛かる。まだ時間的には余裕が有るのでここから北面の檜沢でも滑り、尾根を越えて日暮沢でも下ろうとも思ったがやめた。下部で滝が出てくると上り返しを覚悟しなければならない。余計なことは考えずに元来たコースを下ってゆくと、誰が滑ったのか何日か前にスキーで尾根を下った様な跡が有る。まさかこんな時期に人が入っているなどとは考えなかったので以外だった。滑ったのは3日前の18日(土)辺りでしょうか?

 尾根上は殆どがアイスバーンで快適なパウダーなど望むべきも無いが、下りとなればあっという間に下降する。雪庇の乗り越し箇所から下はゴロビツ沢になって下で日暮沢に合流している。ちょっとした気晴らし、お遊びでと思い下降してみる。しかし結果は沢幅が狭くて滑りにくく、オマケに下部はスキーがまったく走らない状態となる。日暮沢手前には20mの滝が有り左岸をトラバースできたが、あと10日もすれば尾根上からのブロックが崩壊して下降不能になり、右岸の急な高巻を強いられそうで悪そうだ。その後はまったく問題となる所は無く日暮沢小屋にたどり着く。流石に10時間以上動いているとくたびれ、根子までの林道歩きは嫌気がさして来た。

雪清太岩山からフーフン山へ 雪庇の上?
ユーフンに近づくにつれ風が強まる 以東岳方面
古寺山(中央) 小朝日岳(右) ゴロビツまでは一瞬
気晴らしに下降したゴロビツ沢 20m滝左岸のブロック
 
  
 根子〜ユーフン山コース