飯豊連峰 栂峰 北面コース 山スキー 2010.04


    

      飯豊連峰 栂峰北面コース 

     

 山 域  飯豊連峰 栂峰 (1541.8m)
 山行日時  2010.年4月4日(日)  アルバム (フォト蔵)
 天 候  快晴    
 メンバー  単独   GPS計測距離 20.8km 
 行 程  7:47小屋〜9:03林道終点〜10:17 1102mP〜12:231神社?〜13:30栂峰〜14:02 1402mP〜16:55 1102mP〜林道終点〜16:25小屋

 
【概要】

今日の目的は飯豊連峰のはずだったが、当日の朝になってアイゼンを忘れた事に気が付いた。最近新調したピッケルだけは忘れなかったが、もっと重要な装備を忘れてはすっかり予定が狂ってしまった。4月とはいえ主稜線歩きはもちろんの事、途中までの尾根上でもアイゼンが無ければ見通しは暗い。

すっかり諦めた時に思いついたのが飯豊連峰前衛峰の栂峰で、何時かは登ろうとして後まわしになっていた山だった。この山は南陽市辺りから見るとどっしりとした立派な独立峰で、飯豊連峰の付録の様な存在は理不尽な気もする山だ。しかし、地図も持ち合せなければ殆ど予備知識もなく、いきなり山頂を目指すのも気になるが、この好天が1日さえもてばなんとかなるだろう。




何時もより3時間ほども遅れて行動を開始して、小屋集落の除雪終了点で身支度を整えて出発したのはAM7:47だった。出発点から見ると山頂方面は良く見えず、とにかく行き当たりばったりの山行だがこれも良し。

林道沿いに進んで行くと釣人が戻って来たが、今日はまったく魚に相手にされず諦めた様だった。その先には最近誰も訪れた痕跡はなく、適度に締まった硬雪上を気持ちよく進んで林道の終点に辿り着く。谷の中の終点からは栂峰山頂方面の稜線が何とか確認できるが、尾根の取り付き点が良く解らず悩んでしまう。

地図とコンパスがあれば何の事は無いが、限られた視界から前進ルートを見つけるのは結構辛いものがある。GPSはあるがレジェンドのマップソースは50m事の等高線の為に荒く、地図としての機能は殆ど無く使い物にならなかった。つまり、地図の様に全体の中から位置を把握する事が難しいのだ。
 

小屋川の左岸を進んで行く 林道終点から右の杉の植林地にコースを取る

ようやく栂峰のピークが姿を現す 周りは飯豊連峰らしい雰囲気が・・・

林道の終点で右岸に渡るスノーブリッジが1ヶ所あるが、その先の尾根の様子が良く解らず、左岸から廻り込んで稜線に立ったら良いのか迷ってしまう。地図さえあれば明確で一目瞭然なのだが、さんざん迷った挙句左岸の急な杉の植林地をコースに選ぶ。結局これが余計なアルバイトで遠回りとなり、往復1時間くらいの時間の浪費となる。

薄暗い杉林の急斜面を縫う様にして登って行くとやがて開けた尾根となり、ブナの2次林の尾根斜面を辿って高度を上げる。尾根上手前から再び杉の植林地を通過し、少し下ってから雪壁を登り返すと1001mピークに到着する。普通、杉の植林地は標高700m辺りまでだが、1000mラインを超えるのは珍しい。こんな高さじゃ手入れも行き届かず、当然何の手入れもされず荒れ放題で育ちも悪い。おそらく昔の補助金乱発時代の遺物だろう。
 

天候は恵まれて申し分の無い快晴の1日で、ピークに立つと初めて飯豊連峰が姿を現す。思ったよりは遠かったが主稜線も春模様で、今頃主稜線に立っていたらと思うと悔しい。右奥には遠く朝日連峰が鎮座し、大朝日岳から以東岳方面の主稜線もクッキリ見える。

1101mピークから遠い栂峰の『コースを確認 小さなアップダウンを繰り返しながら1402mピークへ
快適なブナの疎林帯の尾根が続く シールにダンゴがついてスピードはダウン

ピークからいったん下るとその先は小さなアップダウンが続き、最初は近くに見えた栂峰の山頂方面は中々近づかない。対岸を良く見ると先ほど見送った尾根が良く見え、上部はやや広い疎林帯の尾根斜面で下りは快適そうに思えた。栂峰の山頂方面は平で何処が本峰か判然としないが、ここから先は眺望を楽しみながらのツアーコースで、ノンビリ歩いて行けばそのうち山頂に届くだろうと思った。

しかし、薄すら積もった新雪がシールにへばり付いて下駄となり、ジグを切るにもいきなりスピードが落ちて結構くたびれる。シールワックスをもう一度塗って来るべきだったと思っても後の祭りで、悪態をつきながら仕方なくノロモロと尾根を進んで行く。持ってきた筈の固形シールワックスも見当たらず、なんと準備の悪い事かと自分であきれる。

1402mピーク下の斜面は快適なスロープとなっており、その先は蔵王神社が有るらしいがまったく気づかずに通過する。その先はやや解り難い平坦な尾根を通過し、1497mピークに立つと初めて栂峰の山頂が姿を現した。でも、その先にはギャップがある様で、本当にそこが栂峰の山頂なのかも自信が無い。

飯豊連峰も最高のコンデションだった 1001mピークを振り返る (右は遠く朝日連峰)
蔵王神社?への斜面でがゲタが重い。 神社を通過して1497mピークを越えてから2つのギャップが登場

広い雪の斜面に導かれる様にして進んで行くと、その先には予想以上のギャップが現れる。元気ならどうと言う事は無い落差だが、ここで80mも下るとなると考えてしまう。どうやらこのコースの記録では1497mP止まりが多い様で、後から調べるとここから更に本峰を目指す人は篤志家らしい。くたびれて戻る気にもなったが、ここで諦め切れないのが山屋の意地。

だが、自宅に戻って地図を見ると、蔵王神社から左の平らな県境尾根を目指すのが正解の様だった。疲れていたのだろう。しかし、地図無しのワンダーランドも結構楽しい。

シールを付けたままで堅い斜面をロングターンで降りて行き、その先の尾根斜面を斜上してオオシラビソの小ピーク下をトラバースする。その快適なブナ疎林帯の先が栂峰のピークに思え、後は緩い斜面を一気に登り詰めて最後に左に斜上し、ようやく前方には高い所が無くなってそこが目指す山頂だった。

山頂からは見事なコントラスト山容の飯盛山が美しく、左手には大峠トンネル方面の山並みが続いていた。厳冬期にはこの周辺にも意外なパウダーランドが潜んでいる様な気もする。

ここからはシールを剥がして快適な滑りが待っているが、あえてシールは付けたままでそのまま下降に取り掛かる。アップダウンの時間的ロスを考えると滑りへのこだわりなど無く、短時間に下る事だけを考えるのが何時ものパターン。ちょうど下りはややザラメ質でシールの滑りも良く、ロングターンならそれなりに楽しんで降りられる。滑りより見事な景観とスピードを取りたい。

1102mPから先のダラダラ尾根はくたびれるが、最後にシールを剥がして尾根斜面を降りて行く。1001mピークを巻いてトラバースすると後はブナの尾根斜面を通過し、最後の杉の植林地を下って行くと林道の終点に辿りついた。その後は推進滑降を交えながらダラダラと降りて行き、小屋集落の除雪終了点に戻った。

それにしても飯豊連峰の本山は輝いている 栂峰山頂直下のブナの疎林帯
栂峰山頂から見る大峠トンネル方面の山並み 飯盛山も素晴らしいパウダー斜面が眠っているらしい
帰路の1197mピークへの登り返しも辛い 戻るのも少しくたびれるのがこの北面コース
どっしりとして存在感の有る山並み 下降はシールを着けたままどんどん降りて行く
この迂回アップダウンコースは往復プラス1時間のアルバイト? 1101mピークを巻いて杉の植林地へ
 

飯豊連峰 栂峰北面コース MAP