月山〜品倉尾根 2007.03



    

      月山 山頂直下の斜面から品倉尾根を目指して

     

 山 域  月山 品倉尾根コース 
 山行日時  2007年3月24日(土)
 天 候  曇り
 メンバー  千田 石井 荒井 坂野 
 行 程  志津〜石跳川〜紫灯森〜月山〜紫灯森〜品倉尾根北尾根コース〜湯殿山スキー場

 今日は低気圧と前線が接近する中、予定を変更して月山の品倉尾根に的を絞った。4月になると月山スキー場のリフトが稼動し、多くのスキーヤーが訪れる品倉尾根だが、この時期に山頂を踏んでから下降するパーティーは少ないだろう。静寂を好む自分としては、3月中のトレースと共に、今シーズン5回目の月山行で山頂に立ち、けじめをつける事にあった。

 今シーズンは月山でも雪が少なく、何時に無く姥沢までの除雪もかなり進んだ様子で、静かな山スキーを楽しめ日々もあと僅かに思える。月山は東に肘折コース、南に本道寺コース、北に北月山コース、そして西には品倉尾根コースと言う素晴らしいクラシックコースが有る。その何れのコースをとっても長大でしかも落差が大きく、その雄大さと品格においては郡を抜き、無木立斜面の連続する尾根は美しく素晴らしい。

 いづれのコースも4月初旬のスキー場オープン後ならリフトを活用出来、比較的ロス無く短時間で高度を上げる事は出来る。しかし、本当の月山の魅力を体感するとなれば、この時期、志津から出発して自らの足でて山頂に立ち、
雪の豊富なコースを豪快かつ快適に下降するのが一番だろう。確かに健脚向きのスケジュールだが、全てを自分で走破して滑り降りた後の充実感と感動はきっと倍増するでしょう。
  
【3月24日】 志津7:20〜石跳川1200m地点8:50〜金姥10:20〜紫灯森〜月山11:45 12:15〜紫灯森〜1619m分岐12:55〜湯殿山スキー場リフト終点2:25〜駐車場14:40
 

 西川道の駅で各自合流し、車2台に分乗して湯殿山スキー場に車を回し、志津の駐車場で身支度を整えてから出発する。午後からは雨の予報だった為か駐車場の車は意外と少なく、石跳川方面を目指した先行トレースはあまり無さそうに思えた。今日は天候との駆け引きとなる為、最短コースの石跳川を遡って紫灯森に至り、月山の山頂を踏んだ後に品倉尾根を速やかに下る計画だ。

 ネーチャーセンターを過ぎるとまもなく、石跳川を下降してくる3人パーティーとすれ違う。朝の2時に志津を出発し、写真を撮影して下降して来た模様だった。朝は青空も顔を見せていた空模様だが、次第に曇りがかって来てどんよりとした様子で、気温も高めで今ひとつぱっとしない感じだった。しかし風も殆ど無く、ジャケットを脱いでちょうど良い位でペースはどんどん上がり、やがて右岸から眩いばかりの湯殿山の東斜面がどんどん近づいて来る。今日の東斜面なら雪は適度に締まり、急斜面ながらフラットで綺麗なコンディションで、きっと湯殿山山頂からの豪快な滑りが可能に思えた。残念ながら時間に追われる我々にとってそんな余裕など無く、恨めしい気持ちを引きずりながらひたすら月山を目指す。

石跳川を遡る 湯殿山の東斜面が眩しい 東斜面は絶好のコンディションに見える
 
 普段は姥ヶ岳から下降するばかりの石跳川だが、静かで雪の豊富なこの時期の登行は雄大で開放的。登ることに生きがいを持つ山屋さんならきっと感動物の光景だろう。コースは装束場手前の斜面から姥ヶ岳の東側をトラバースして斜上し、最短コースを目指して金姥から紫灯森を目指す。2年前の2月にはアイスバーンでさんざん苦労した斜面だが、今日はシールの効きも良く、順調なペースでトップはどんどん先行して高度を稼ぎ、北側斜面を斜上して金姥を経て紫灯森方面に姿を消した。

月山で無ければ味わえないこの開放感 紫灯森を目指して姥ヶ岳の北斜面をトラバース

品倉山方面の尾根 姥ヶ岳の北斜面をトラバース 金姥まではもうう少しだが・・・
 後ろを振り返ってみると湯殿山が次第に眼下になり、限りない位の無木立の大斜面の広がる世界で、静寂の中なかで別世界にトリップした様な錯覚に陥る。天気予報では今頃から雨模様となる筈だったが、高気圧の張り出しが強かったのか悪化する気配は感じられない。こうなると当然月山の山頂も射程距離に入り、次第に気持ちが少し高ぶって来てさらにペースは上がって行く。

 金姥にたどり着いて一休みしようとした所、紫灯森方面の斜面を登ってゆく単独のテレマーカーが先行していた。どうやら姥沢方面から上って来た西川山岳会のYさんらしく、ハイペースでどんどん我々から遠ざかっていった。ここからはスキーアイゼンをセットし、テレマーカーのchidaさんはアイゼン歩行に切り替え、先行者を追って黙々と山頂を目指す。紫灯森から先の斜面はアイスバーンになり易いが、今日は適度にクラストしてシールも効き、スキーアイゼンで最短距離をとりながら高度を上げて行く。
 

湯殿山は次第に眼下となる 金姥から紫灯森方面を望む
紫灯森付近の斜面をアイゼン歩行 鍛冶小屋跡の下部から紫灯森方面

鍛冶小屋跡から山頂方面の斜面  山頂には先客のYさんが・・・
 今日は曇りの天候ながら意外と視界は良好で、朝日連峰、蔵王連峰、神室連峰、そして北側には鳥海山の雄姿を望む事が出来るただ曇り空ですっかり覆われてしまい、モノトーンで写真写りはまったく期待できない雰囲気で残念だった。でも、まったく期待しなかった今日はは本当に得した気分で、ようやく月山も今シーズンのけじめをつけられそうで嬉しかった。

 鍛冶小屋跡付近は何時もアイスバーンで苦労させられるが、今日は斜面もフラットでうるさいシュカブラも気にならず、快適シール登行で順調に越えて行く。頂上稜線になると北西からの風にさらされるが、何時ものような我慢の時間でもなくそのまま山頂を目指す。山頂に到着してみると先行のYさんが休憩を取っており、今すぐスタンバイOKの状態でやる気マンマンの雰囲気だった。
鍛冶小屋跡下の斜面は以外にフラット パワフル&テクニカルなテレマーカーのchidaさん
紫灯森までは思いっきり飛ばして行く 1619m地点に至る品倉尾根を登り返す
 まもなくシールを剥がして紫灯森を目指してスタートし、鍛冶小屋跡直下の斜面を豪快に飛ばして下りて行く。テレマーカーの2人も適度な硬さの斜面で快調らしく、比較的フラットな斜面を思う存分堪能し、あっという間に紫灯森に到着する。ここで姥沢を目指すYさんと別れ、我々は目標の品倉尾根にコースを取って下降して行く。石跳川側から見る品倉尾根はボリュームのある雄大な尾根だが、尾根を辿ってみると意外と左右に切れ落ち、北側に雪庇が張り出した緊張感のある尾根だ。南側の谷底は遥か下の奈落の底で、こんな無木立の尾根は東北らしからぬ素晴らしい光景だ。

 尾根の1619mのピークで小休止をとり、3つあるコースの中で右の大斜面の続く北尾根を選択し、ビール・梅酒で体をゆっくりとほぐしてからスタートする。斜面は意外と広く豪快かつ快適で、山スキーの為にある様な三ツ星レベルのコースだ。後ろを振り返ると雄大で白く輝く月山が聳え、左手には今シーズン滑り損ねた北月山コースの長大な尾根が見える。

左側は奈落の底の様に切れ落ちている 右の北尾根コースを選択する
1619m地点から下の北尾根コースは大斜面 今日は沢コース(左)でも北尾根コース(右)でも良い
 殆ど登り返しの無いこの北尾根コースは、もしパウダーの時期だったらと思うと期待が膨らむ。品倉山を経由するコースは登り返しが辛く下りには難儀だが、逆に湯殿山スキー場からの登りコースで紫灯森を目指し、下りは北尾根コースを取ると快適な周遊コースとなるだろう。

 1302mピークから左の濁沢を目掛けて下りて行き、傾斜の緩い斜面をトラバースして対岸に取り付く。まもなく杉の植林地が出てくるが雪が重く疲れる。品倉山のピークには2〜3名のスノーボーダーが見られ、我々の下降コースには彼らのものと思われるトレースが残っていた。重くて滑らない雪にうんざりしたが、このトレースは疲れの見え始めた我々には有り難い。平坦な杉の植林地をダラダラ進んで行くと、ようやく終点の湯殿山スキー場に到着した。

次第に重い雪となるがめげずに下降 尾根の末端はまだ遠い




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