2007年 沢登りの記録

 2007年8月26日(日)
 神室連峰 大横川右俣 

 
 神室連峰の大横川は沢全体が花崗岩で形成され、岩もガッチリしていて滝は比較的登りやすい。左俣の本流筋は大小滝が50本以上は有る登攀的な沢で、自分でもお気に入りの沢で今度が3回目の遡行となる。

 仙台の沢屋サンなら一度は訪れた事有る人も多いと思うが、その殆どは左俣の記録で右俣となると訪れる人は少ない。その訳は新倉見からの林道歩きと、稜線に突き上げてからの縦走が待っており、1日で抜けるとなるとロングラン山行が必須となるからだ。山岳会在籍の頃はあまり苦労した記憶は無いが、今の自分ではバランス・体の切れは悪く、しかも最近ろくに山にも行っていない現状では辛い1日となりそうな予感が・・・。この夏、朝日連峰の荒川東俣をやっつけて来た荒井、千田の2人は絶好調で、自分は殆どお客様状態でただ後を付いて行くだけだった。

【天候】 曇り

【コースタイム】 
新倉見4:10〜大横川入渓点4:57〜下部ゴルジュ帯6:06〜右俣出合6:44〜30m滝8:00〜三俣9:29〜10mシャワークライム〜稜線11:30〜火打岳13:02〜新倉見15:38

【メンバー】 
荒井 千田 坂野

【概要】

 ガラにも無く早々と宴会を切り上げて翌朝は4:10AMに新倉見をスタートする。立派な杉の植林地の林道をトボトボ歩いて行くと、50分程で林道終点の大横川の入渓点に到着する。今まででは考えられないような早立ちで、こんな真面目な沢登りのスタートも初めてかもしれない。

 初めはありふれたチャラ瀬が続いて平凡なゴーロ歩きだが、沢をクネクネと進んで行くと両岸が狭まってゴルジュとなる。今日は水温も適度で気温も高く無くて沢歩きには快適で、早朝とはいえ最初の深淵も胸まで浸るが、気持ちよく通過して先を急いで行く。次第に狭いゴルジュとなって暗くなり、デジカメを構えて何枚かを納める。しかし後でパソコンに取り込んだら、とんでもない手ぶれの駄作ばかりだった。

 ゴルジュの中の滝はあちこちで倒木が掛かり、沢床には以前は無かった様な土砂と岩石で埋まっており、おそらく大水で滝が埋められて様子が変わっている様だ。おまけに雪崩で落ちて来た様な枝が散乱し、全体的に沢が荒れているような印象が残念。後で4年前の画像と比べると同じ滝の印象があまり無く、沢床が埋まって下部ゴルジュ帯の雰囲気は様変わりしているようだ。
 
 4年前の8月3日に左俣を遡行したが、当時と比べて水量は少なく半分ほどに思え、下部のゴルジュで苦労した面影は何処にも無い。両岸が狭まったゴルジュをクネクネと進み、小滝を何本か越して行くと右側が大きく被った10m程の滝が出てくる。右側には顕著なバンドが滝口に続いており、ハーケンが5本程連打されて古いシュリンゲがぶら下がっている。前回はここを登った記憶が無いので、水量が多くて諦めて手前の左から高巻いて懸垂1回で越えた様だ。

 最近是好調の千田君が右のバンドにロープを伸ばし、最後を豪快なシャワークライムで越えて滝口に立つ。次に出てくる滝もロープを伸ばして越え、ゴルジュを右に左に進んで行くと突然右俣出合の二俣に辿り着いた。意外とスムーズに来て少し拍子抜けしてしまったが、シャワーを気にせず直登できる快感は今の時期こその醍醐味だ。

 右俣は左俣の3分の1位の水量で出合は意外と貧相な印象があり、これから本当に滝が連続するのか不安になるようにに思えた。まもなく狭いゴルジュが現れて滝が出てくるが、やはり倒木が引っかかった様な姿ですっきりしない。続く小さな滝は直登可能でどんどん進んで行くと、2段8mの狭い滝が出て来て荒井君が空身で取り付く。2段目の出口がツルツルのチムニー滝になっており、ツッパリとバック&フックでクリアーしてザックを吊り上げる。

 次第に谷が開けて明るくなると滑滝が続き、水量がさらに少なくなって沢は急激に稜線に向かって高度を上げて来る。その後5〜10mの滝が出てくるが、3回ほどの気持ちよいシャワークライムを経て進んで行くと、開けたところが三俣だった。右が枯れ沢で水量は左と真ん中が同程度だが、ここで3回目の休憩を取った後、進路は真北に向かう真ん中の狭い沢にコースを取る。

 途中1回のシャワークライムでロープを伸ばし、さらに高度を上げると2段の逆くの字の滝が現れ、2段目10mが苔で滑っているのでロープをつけて慎重に越えて行く。4年前の左俣では黒く滑った空滝に手を焼いたが、幸い嫌らしい箇所も無く順調に上り詰めると、100m程の薮漕ぎで1071mピーク手前の主稜線に飛び出した。稜線上は意外と涼しい風が吹き、既に秋の雰囲気が漂う静かな山並みが続いていた。

 久しぶりの山行で火打岳への登りは流石にしんどかったが、大尺山〜中岳〜槍ヶ先へと続く縦走路は快適で、久々の縦走登山も味わえるお楽しみが付いて充実感いっぱい。山頂には宮城県からやって来た中高年の5人パーティーが休んでいたが、今日あった唯一の山屋さんだった。東面の急斜面を見ながら冬場の斜面を想像し、槍ヶ先からの下りも綺麗に整備されたコースを下って、2時間30分程で新倉見に舞い戻った。左俣と比べると多少物足りない沢だが、あまり人の入った気配の無い沢のトレースも悪くは無い。しかし最後はやはりくたびれてしまった。


       沢は狭いがどんどん高度を上げて行く

     2段目左壁の滝はコケで滑ったシャワークライム

       1071mピーク付近に飛び出して終了

     火打岳(1238m)を振り返る神室連峰の縦走路


まもなく出てくる深淵も冷たさは感じず

狭いゴルジュをクネクネと進んで行く

沢床は土砂と岩石で埋まった雰囲気

ゴルジュ出口10mの滝は右のバンドから突破

右俣の出合で1本


右俣の狭いゴルジュ帯を行く・

釜の突破・シャワークライムも楽勝気分

ツルツルのチムニー滝をツッパリでクリアーする

30mの滝は左から今回唯一の高巻き

殆ど直登できる快適な滝が続く

豪快なシャワークライムは今の時期が最高

沢が開けてしばらくすると三俣に到着



神室連峰 大横川右俣 ルートMAP

^