神室連峰・大横川左俣遡行
次々に滝が現れる楽しい沢
【期日】 平成15年8月3日(日)
【メンバー】 荒井 坂野
【行動】 新倉見6:30〜林道終点7:00〜二又8:00〜14:20登山道〜槍ヶ先16:00〜
新倉見17:00
【概要】
今回の大横川にはおよそ25年ほど前に登った記憶があるが、滝が連続してただ楽しいという記憶くらいしかなく、沢の様子などまったく思い出すことも出来ない。何しろ5年程前に早出川の釣りに3回入った位で、沢登り等はまったく縁の無い暮らしが長く、とてもまともに歩けそうも無いことは承知のうえの無理な計画でもあった。しかし今回の相方は今でも現役生活を続ける頼もしい男なので、その勢いに乗っかるようにしてここ大横川にやって来た。今回一緒にやって来た柴田氏は新倉見から槍ヶ先経由で火打岳を往復するのでテント場で別れ、我々2人で大横川を目指して林道をトボトボ歩いてゆく。
この山域の沢のはじめはチャラセ瀬、たまに滝があってゴルジュに入り、中間部から急激に傾斜を増してきて滝が次々と出てきて連続し、最後は急峻な詰めから草付き帯を尾彫りつめて稜線に飛び出る。大横川は滝の数は50本以上とも言われているが、神室連邦の沢では最も人気のあるルートの一つである。
林道の終点からは明るく広いチャラ瀬が続き、のんびりとした雰囲気で進んでゆくと、間もなくして二又手前の滝が連続したゴルジュが現れる。狭いゴルジュを水に浸かりながら滝釜を越えてゆくと8mの直瀑が現れ、右側はかぶり気味であきらめ、少し戻って右岸の草付きを登って懸垂一回で沢筋に降り立つ。ここがどうやら下部の核心部のようだ。この先は谷が開け明るくなったので、ザックから竿と毛ばりを取り出して岩魚のいそうな釜の淵に毛ばりを飛ばしてみる。2投目で岩魚が反転し、ちょっと間をおいて竿を合わせると小ぶりの岩魚がかかった。20cmに満たない小物だが、毛ばりで岩魚をかけるのは5年ぶりなのでやはり楽しい。しかしこの後魚信は殆ど無く、早々にあきらめて竿をザックに仕舞い込み、遡行を続ける。どうやら魚影は薄い沢のようだ。
この先はやがて二又になり、左俣に入ると次々に滝が現れて来るが、殆どは直登または高巻で問題なく通過できる。いくつかのゴルジュを越して5m〜10mほどの滝を次々に登ってゆくと、S字に曲がった奥に2段30m?の滝が現れる。滝の真中を突破すれば行けそうだが、水量が多くまともに頭から水流をかぶってしまい、あえなく後退。20m程戻って右岸の草付きに取り付いて高巻いて上段の滝に難なく降り立つ。ここが第2の核心部なのか?
この先の二又を左に進み、間もなくするとスノーブリッジが現れ、その上部は狭いルンゼが2本広がっていて稜線方面に続いていた。スノーブリッジは比較的安定しているようにも見えるが、左岸は雪渓が薄くいやらしそうに見えるので、右岸の草付きにアイスハンマーを打ち込んで雪渓に立ち、上部で右にトラバースして右俣の狭いルンゼに続く不安定な草付きに降り立つ。草つきを右にトラバースしてようやく目的の狭いルンゼに降り立つ。
ここから先は5m前後の水量の少なくなった狭い滝が連続し、今にも稜線に抜け出そうに思えるのだがしかし、黒くぬめった6mほどの空滝が現れ行く手を阻む。両岸の草付きは急で登れず、荒井が中央突破を目指すが意外と悪い。ここでロープを出し、左からハーケンを2本打って無理な体勢で草付きをつかんでクリアー。後続でハーケンを回収しようとしたところ、1本目は指で簡単に抜け、もう一本はハンマーで軽くたたくと1回目で簡単に抜けてきた。とてもこんな真似は自分でしたくはありません。
この先もう一本同じよな空滝が出てきて、苦労しながらハーケンを2本打って登る。予想外に沢の上部でてこずってしまい、時間のかかること夥しい。詰めはヤブ漕ぎも殆ど無く、草つきの傾斜が緩んでくるとようやく登山道に出る。ここは大横川左俣、火打岳と1194mピークの中間部のようだが、以外にも厄介なルンゼに入り込んでしまったようだ。以前に登ったときは5時間位だったと記憶しているので、どうやらルートは雪渓の左俣をたどって稜線に抜けたかもしれない。
早速携帯で柴田氏と連絡を取ったところ、火打岳を登り、槍ヶ先方面に戻ったまま、途中のピークで我々を待ち構えていたとの事。良く聞いてみると4時間半も稜線で待ちつづけたらしく、心配をかけていたようだった。合流後はいつもの儀式のカンビールで喉を潤し、その後中高年の弱点である膝の痛みに耐えながら、へろへろになって槍ヶ先からの尾根を下り新倉見に到着した。
下部ゴルジュ手前のへつり 5m前後の快適な滝が続く
50m程戻り左より高巻く 20m?の快適な滝
30m?2段の滝。水量が多すぎる ノーザイルでどんどん高度を稼ぐ