吾妻連峰 大平コース




出だしからノントレースのラッセルが待ち受ける


期日】     平成17年1月10日
【山域】     吾妻連峰
【コース】    大平コース
【メンバー】   坂野 荒井
【行程】     天元台 第3リフト9:30〜人形石10:30〜藤十郎11:55〜間々川渡渉点13:00〜不忘閣下の林道14:20〜大平17:30
【天候】     曇りのち風雪


 最近の雪不足には全く困ったもんだが、北海道を除いて全日本的な状況なのでこれも仕方なしと諦める。しかし比較的標高の高い吾妻連峰だったらと考え大平コースを下ってみる事にした。何時もは多くのお客さんで賑わっている第3リフト付近だが、悪天候を嫌ってか他に下から上がって来る様子も無く我々のみ。天候は回復基調で少しづつ明るい空が広がり、風も弱まってきてさい先は良い。

 出だしは膝上までのラッセルだが、久しぶりの雪の感触を楽しむ感じで深い雪でも苦にもならずどんどん先を急ぐ。この2日間で1〜1.5m程の積雪が有った様だが、樹林帯の雪は下が空洞になっており踏み抜きがあると転倒してしまう。我々には恵みの雪のはずだがこれは結構厄介な代物。しかし人形石に到着した頃には風も殆どなく、視界がかなり開けて主稜線どうしに東大巓まで見通しが効いて気分は良い。どうやら冬型の気圧配置が少し緩み、藤十郎から下る我々の予定コースは容易に確認する事が出来、尾根末端の大平温泉付近まで見渡す事が出来る。
 人形石からはシールを外して早速パウダーを満喫しようといたものの、膝下までの雪ですっかりスピードは奪われ、浮遊感を楽しむような気分の良いターンができるような状態ではなかった。せっかく新調したファットスキーでもどうにもならず、ただ黙々とスキーを前に進めるのみ。こんなはずではなかったのにとがっかり。 藤十郎のピークで北方向に大平温泉方面を確認し、広く傾斜の緩い尾根を下るとやがて樹林帯に突入する。

 樹林帯に入ってしまうとここから吾妻連峰特有の解りにくい地形が待っており、視界の効かないコースを地図とコンパスそれに高度計頼りの下降が続く。風雪の時には主稜線からの下降ポイントが解りにくく、その後の広い樹林帯の尾根も目標が無いので慣れた人でも難儀しそうだ。樹林帯に降り積もった雪はフカフカの雪で傾斜も緩く、殆ど歩きの状態で間々川への渡渉点を目指す。しかしつかの間のこ好天はすぐに崩れだし、風も横殴りの風に変わって主稜線方向は雲に覆われる。

  予定より早めに下って間々川への下降地点を間違えてしまい、上部1500m付近から降りて対岸の尾根をシールを貼りなおして登り返す。狭い尾根を乗超えてから急な藪の斜面を下降し、不忘閣に至る広い尾根の登山道に向かってをトラバースする。途中の斜面で深い藪パウダーにトライしてみると何時になく調子が良い。スピードに乗ると浮力が増し板の切り返しも楽で早い。何時もはボーゲンでごまかしながら下った斜面でもショートターンで楽に切り抜けやすい。何かスキーが急に上手になった様で何か楽しい感じ。相変わらず視界の効かない樹林帯の斜面をコンパス頼りで慎重に下り、不忘閣に至る北方向の不明瞭な尾根を目指してスキーを走らせる。結局不忘閣は知らない間に通過してしまい、1100m付近で大平に至る林道にたどり着く。

 林道にたどり着いても膝下のラッセルでスキーは滑らず、殆ど歩きで時間の掛かること夥しく次第に膝の疲れが出てくる。3月頃の締まった雪ならばあっという間に大平に到着しそうだが、延々と続く林道にうんざりしながら我慢比べのような雪の行軍が続く。結局大平の公民館前に到着したのはすっかり暗くなった5:30PM。

 このコースはす滑りが楽しい人気の大沢コースとは異なり、歩き中心のツアーコースと言えそうだ。但し悪天候に見舞われるとコースの標識は雪に隠れて殆ど見えず、地図とコンパス頼りの下降となり慎重を要する。当初の見通しは全く甘く大幅に遅れての帰着だったが、それでも何かしばらくぶりのさわやかな疲労感を味わい、誰もいない静かな山でそれなりに満足の行くツアーであった。