朝日連峰 御影森山〜大朝日岳 2010.10





平岩山からの大朝日岳




 山行日時  2010年 10月2日(土)  
 天 候   晴れ
 メンバー  単独
 行 程  6:40朝日鉱泉駐車場〜8:22上倉山〜9:45御影森山〜11:44平岩山〜13:03 13:33大朝日〜16:00二股吊り橋〜17:30朝日鉱泉駐車場

 
 この御影森山から平岩山経由の大朝日岳コースは今度で3度目だが、最初は地下足袋を忘れてしまうというポカをやり、2度目は御影森山手前の強風に撃退されてしまって何か相性が悪い。

 朝日連峰のコースでは御影森山から葉山までは未走破で、朝日鉱泉から取り付くこのコースも「朝日連峰コレクター」としては見過ごす事は出来ない。ここから遠い葉山まではともかく、いつかは実現したいと思っても意外とチャンスは少なく、涼しくなった10月になってようやく機会が訪れた。

【概要】

 仙台を早朝に出発したつもりが到着が遅れてしまい、身支度を調えて出発したのは6:40AMとなった。朝日鉱泉そばの駐車場には5台の車があったが、皆さん大朝日岳を目指したのか既に人影はない。今頃はマイタケ取りのシーズンだが、それらしい車も見当たらなかった。

 朝日鉱泉を通過して吊り橋を渡り、しばらく進んで中ツル尾根との分岐を左に入り、再び吊り橋を渡って御影森山方面へと続く登山道を上って行く。道は幅3〜4mほどに刈り払いが行われて歩き易いが、まもなく急登コースになってスピードが落ちる。最近の運動不足で息が上がりそうになり、少しペースを落として小幅な足取りで登って行く。

 しばらく進むと登山道すぐそばにある便利な水場を通過し、やがて名物のクロベの群生地にさしかかる。巨木人気のせいか大クロベの入り口には標識があり、けっこう多くのファンが訪れている様だった。この時期となると登山道は枯れ葉で覆われ、所々苔むした絨毯を歩く様な感じで地下足袋ファンにとってはたまらない。素足感覚を楽しみながらの歩きは軽快で、足首の負担も少なく通気性抜群の地下足袋は、東北の山歩きには実に適している。

 上倉山を通り過ぎて尾根下の斜面を通過していると、左上のの尾根上からガサゴソと物音がして「クー」という鳴き声と、時々身を震わせる様な音がした。昨年のこの時期に同じ場所で子連れ熊に遭遇しているので、ラジオを鳴らして右手にはあまり役に立ちそうもない枯れ木を握りしめ、キョロキョロ上を見ながら足早に通過して行く。

 今日はほぼ快晴の恵まれた日で、半袖になると暑さに弱い自分でも程よい汗で、ブナ林の景観を楽しむ余裕も出てきて快適だ。しかし、登山道にトチの実くらいは落ちているが、ブナの実はほとんど落ちていないのは気にかかる。今年の異常な夏は熊にとって辛い冬の到来となるだろう。

地下旅足袋での歩きが楽しい登山道 ブナ林の中から御影森山の山頂が姿を現す
御影森山から大朝日岳の山頂はまだ遠い ヒマラヤのジャヌー峰(ネパール)のイメージが・・・。
 
 ようやく辿り着いた御影森山の山頂で一本とると、平岩山から大朝日岳・小朝日岳の見事な眺望が開ける。この先は意外と距離はある様だが、三角の大朝日岳の山頂は象徴的なゴールの様で登高の意欲も出てくる。南側には大玉山方面から先の祝瓶山の姿が遠いが、ここから見る姿は「東北のマッターホルン」ではなく、ネパールヒマラヤの「怪峰 ジャヌー峰」といった方が合っている。

 御影森山を通過すると単独の女性登山者に遭遇したが、足取りもしっかりしていて歩き慣れた方の様に思えた。平岩山までは多少のアップダウンを繰り返し、途中で尾根から100m程下った途中の水場で水を補給して先を急ぐ。平岩山を通過後に単独の男性登山者と出会ったが、軽装スタイルで遠い祝瓶山を目指して降りていった。

 大朝日岳の勇姿が近くなると地下足袋では岩混じりのコースとなって歩き憎いが、ジグザグにコースをゆっくり辿って山頂に近づいて行く。見上げる山頂には多くの登山者の姿があり、今までの静寂の世界からタイムスリップした様な喧騒の世界にも思える。

 大朝日岳の山頂までは意外にも6時間以上かかり、余り急ぐ旅でもないのでこれでも良いが、欲張った計画の小朝日岳から鳥原山経由の周遊プランはあっさり没になった。たどり着いた山頂にはツァー風のお客さんが次々に訪れ、眼下の小朝日岳から大朝日岳の登山道には多くの登山者の姿が見られた。

平岩山から御影森山を振り返る 袖朝日の急峻なルンゼに雪渓は見られない
大朝日岳の山頂には多くの人影が見える 祝瓶山に至るこの稜線が気に入っています
意外と遠いコースだが最高の天気に恵まれた 中ツル尾根周辺の紅葉は鮮やか
 今年の紅葉は少し遅れているのか夏の酷暑のせいか、主脈付近の余り色付きは今一つの様で、楽しみにしていた小朝日岳の真っ赤な紅葉は見られないのが残念。特に今年はブナ枯れが全般的に見られる様で、グレーがかった尾根筋の景観には少しがっかりもした。いつもの鮮やかなナナカマドやモミジの紅葉が見られない。

 山頂では缶ビールを開けると少し酔いが回ってしまい、しばらくのんびりしていると登山者は降りていって誰もいなくなった。下降路の中ツル尾根には男女二人が先行していったが、下降は意外と早くその後を追って降りて行く。中ツル尾根の紅葉だけは意外と見事で、振り返ると青空に生える大朝日岳の山頂は見事だった。

 ガンガラ沢源頭には朝日連峰では数少ない白樺が立って美しく、大朝日岳の山頂を見送りながらの下降も気分が良い。しかし、ブナ林に突入して視界が奪われると、膝に掛かる負担が次第に強くなってスピードが出ない。ようやく二股にたどり着いて吊り橋を渡ると、すでに歩き始めてから9時間20分が経過していた。

 二股から朝日鉱泉までは意外と距離があり、途中のアップダウンと支流の回り込みに時間が掛るが、何とか足下の明るいうちに駐車場に辿り着いた。紅葉のベストシーズンに晴天に恵まれ、意外と静かな山歩きが出来たのは嬉しい。

静寂な中ツル尾根を下降して行く 朝日連峰では数少ない白樺
御影森山〜大朝日岳 MAP