朝日連峰 大朝日岳周遊 2009.10





小朝日岳から大朝日岳の間の紅葉は素晴らしいの一語に尽きる




 山行日時  2009年 10月4日(日)  
 天 候   晴れ
 メンバー  単独
 行 程  6:10日暮沢小屋〜8:25古寺山〜大朝日岳10:17〜竜門山〜12:40清太岩山〜14:35日暮小屋沢

 
 毎年この時期になると紅葉の朝日連峰を訪れたくなるが、今回は少し欲張って日暮沢小屋から大朝日岳の周遊をもくろんだ。10年位前に同じコースを歩いた記憶はあるが、最近殆ど歩いていない為はたして調子良く廻れるかは少し疑問だった。

 日暮沢小屋に到着してみると意外に車は少なく、4人程が竜門山方面を目指して出発準備の最中だった。しかし、ハナヌキ峰から古寺山方面を目指す人はいない模様で、手早く身支度を整えて出発して車道を歩き出す。最初のハナヌキ峰の取り付きからはややスピードを落とし、調子が上がって来るまでは無理をせずに高度を上げる。

 次第に日がさして来ると暑くなり、Tシャツ姿になって登り続けると傾斜は落ちて、間もなく古寺鉱泉からの登山道と合流する。既に早朝に古寺鉱泉を出発した登山者が先行し、挨拶して道を譲ってもらってどんどん先を急いで行く。何時もこの時期には地下足袋を愛用しているが、裸足感覚に近い足底の感触はお気に入りで、朝日連峰などの山歩きでは手放せないアイテムとなっている。会った人は地下足袋が珍しいのか、皆さんの視線は足元を示していた。

 古寺山に到着するとそこでは団体さんがくつろいでおり、古寺鉱泉から上がって来た人と大朝日岳から降りて来た人が交差し、紅葉シーズン真っ盛りと言う雰囲気に満ちていた。ここから見る主稜線は今が最盛期の様子で、青い空と緑・赤のコントラストが美しい。

古寺山からの小朝日岳 大朝日岳 左より大朝日岳 中岳 西朝日岳
熊越え過ぎから見た小朝日岳の紅葉は最もお気に入り 古寺鉱泉から上がって来たお客さんが続々
 
 古寺山の山頂で休んでいると大きなザックを背負った集団が次々に降りて来たが、彼らは昨年の12月28日に遭難した会員の捜索に入ったわらじの仲間の皆さんだった。今日は多くのメンバーが装備の荷下げにやって来た様だが、度重なる捜索の結果9月1日に遺体はようやく収容され、皆さんの顔には安堵の様子が伺えた。

 グループの一人に話を伺ったところ、27日に
古寺鉱泉から取り付いて大朝日岳をアタックした後、下山中の4:00PM頃に大朝小屋から200m程下がったケルンの辺りで強風にあおられ、ガンガラ沢に滑落した模様だった。現場は雪庇は発生しないが午後には風が強く、斜面はカリカリのシュカブラになっていていたと思われる。このクラブは厳冬期の飯豊連峰の主稜線を走破する程のエキスパート揃いですが、思いもかけない事故に遭遇し大変辛い1年だったと思います。2006年の1月1日に自分は幸運にも同じ大朝日岳の山頂に立てたが、何か他人事とは思えない気持ちです。合掌。

 古寺山を出発して小朝日岳のトラバースコースを辿り、熊越えを通過して振り返ると鮮やかに紅葉した小朝日岳の南斜面に見入ってしまう。朝日連峰の紅葉では最も好きな光景で、今年はやって来て良かったと納得する。この先はすっかり紅葉した大朝日岳がどんどん接近し、素晴らしい光景に空中散歩をしている様な気分。古寺鉱泉からのコースではここがメインエベントの様で、登りと下りの数多くのツアー客が交差して行く。

 古寺鉱泉を早朝に出発した日帰りの皆さんは、ナップザックを背負ったのみの軽装な人も多く、中にはまったくの空身で降りてくる女性客も何人かいるのには驚く。誰が代わりに担いでいるか知らないが、今やこれが当たり前・常識だとは知らなかった。

大朝日岳山頂から平岩山〜祝瓶山 荒川源頭の中俣沢から西朝日岳
竜門山方面への主稜線には人影がほとんど無し ガンガラ沢源頭からの銀玉水方面
 
 大朝日小屋に到着してザックをデポし、空身で山頂を往復した後にようやく昼食とするとする。風も余り無く天気も良いので小屋には入らず、テント場の隅に陣取ってビールで喉を鳴らし、カップラーメンを流し込んで一息つく。しかし誰も顔見知りの人も無いので間もなく出発し、竜門山を目指して殆ど人影の無い主稜線を進んで行く。しかし、中岳を通過する辺りから日がかげりだし、西面の三面川方面から雲が流れて来て、遠く以東岳の山頂は次第にガスに覆われて来た。
 
 主稜線では途中4人の登山者とすれ違ったのみで、後は大朝日岳界隈の賑わいとはまるで異なる静寂の世界となり、何時もの世界に戻ったようで嬉しくなる。主稜線上の真っ赤に色付いたナナカマドをデジカメに納め、鮮やかな紅葉に見とれていると何か元気が出て足も速まり、緩やかなアップダウンを繰り返して竜門山に立ち、そのまま歩き続けて清太岩山に到着する。小休止の後は4人の登山者を追い抜いて下り、ようやく日暮沢小屋に到着してこのパチンコルートの1日は終わった。

主稜線には殆ど人影の無い静寂の世界 ナナカマドの鮮やかな光景