村山葉山 畑〜葉山〜南面1本 (1461.7m) 2013.04.13




1428mピークから葉山山頂方面









 山 域  村山葉山  葉山  (1461.7m)  
 山行日時  2013年4月13日(土)
 天 候  快晴
 メンバー  単独 
 行 程  畑9:00〜分岐10:45〜葉山山11:45〜南面の沢12:30〜1143m12:42〜分岐13:38〜畑14:05

 
村山葉山にスキーで通い始めて8年になるが、今回はじめて南面の畑〜葉山山頂へのコースを訪れた。市民登山にも使われているこの尾根コースは、畑までの除雪が完了する3月後半からがスキーの対象となるが、適度な傾斜の尾根を辿って最短時間で葉山山頂に達するコースだ。

 村山葉山は月山の東側に位置する比較的地味な存在の山だが、富並川を源頭とする馬蹄形の山並みが続く特異な形をした独立峰で、東北では珍しい内院を形成した個性的な山だ。内院といえば、ネパールヒマラヤのアンナプルナ南壁のアンナプルナ内院や、ナンダデビィを盟主とするナンダデビィ内院がよく知られているが、遠征でたまたまネパールのアンナプルナサウス(7210m)とインドのトリスル1峰(7120m)を訪れたことが有り、その光景を目にした為山のスケールこそ違うが村山葉山は興味深い。

 葉山は沢登りなどの記録は余り見当たらないので、沢登りや釣りには魅力が少ないかもしれないが、月山に負けない積雪量を誇るこの山は山スキーヤーにとって特別な存在で、樹間の広い美しいブナの疎林帯を擁し、パウダー時期には連続した急斜面に数多くの刺激的なコースが存在する。

 また、畑から山頂を目指して内院の稜線に達すると素晴らしい展望が開け、そこから俯瞰する急峻な東面の富並川源頭の光景は、1400mの山とは思えないような風格が有る。南面や北面の斜面をトライするのも面白く、稜線歩きのロングコースを歩く春スキーも興味深い。



【概要】

 
すっかり寝坊してしまって仙台発が遅れ、畑の駐車場からのスタートは9:00を廻っていたが、スタート直後に近くで準備を整える2人のスキーヤーの姿があった。先行して登山道沿いに進んで行くと大きな雪庇が現れ、1021m付近からなだらかな尾根を北に進んで行くとカラマツ林となり、やがて左手に葉山山頂方面の内院の稜線が近づいてくる。

 昨日の降雪が残っていて10cm位の新雪が残り、晴れているとはいえまだ寒気が残る尾根は雪が締まり、後続する二人の姿も無く静かなツアーはのんびり気分で心地良い。間もなく西側には山頂付近に雲が掛かった月山が見えてきたが、風も強そうで今回は標高の低い葉山が正解に思われた。

 森林限界を過ぎると間もなく稜線に達し、富並川を挟んで葉山山頂から烏帽子岩に連なる稜線が目に飛び込んでくる。今までの穏やかな尾根の光景は激変し、山頂付近の急峻な東斜面には大きな雪庇が張り出し、大きなクラックが生じて斜面は寸断され、今年の豪雪を物語るような光景が広がっている。。

 とても1400mの山とは思えないような光景は迫力があり、左手に月山を眺めながらの雪庇の尾根コースは変化に富み、快適で高度感の有るツアーコースは何か品格を感じる。3月の高温続きで急激に雪庇の崩壊が進んだようで、あちらこちらに大きく開いたクラックは斜面の不安定さを予感させる。

 しかしアクシデントは突然やって来て、快適に稜線歩きを楽しみながら1407mピークの登りに差し掛かった時、一瞬に後ろに転倒してしまい尻から背中まで沈んでしまった。何の事か分からなかったが、板のトップとテールが雪の端部に引っ掛かり、体の3分の1位が尻から斜面の隠れたクラックに落ちてしまった。

 なんとか落下は免れてようやく雪面に戻ると、そこは新雪に覆われた深さ5.0m、幅1.0m位のクラックで、横切っった際に落下しそうになっていた。下まで板を付けたまま下迄落ちると厄介で、そこからの脱出は結構しんどいだろう。6年くらい前の5月に以東岳に向った時の帰りに3.0m程クラックに落ちた事があるが、幸い段差が生じていて穴から脱出出来たが、今度の場合そんな幸運は有りそうにもない。

 雪庇には十分気をつけて迂回しているいるつもりだったが、新雪を被った斜面はどこにクラックが有るのか検討がつかない。この時期の飯豊・朝日などの雪庇の尾根歩きには要注意で、雪庇の崩壊の激しい4月から5月上旬頃には特に警戒が必要だった。

 その後、どこがピークなのか解りにくい稜線を進んで行くと山頂の標識が有り、風が強いのでそのままUターンして1460mピークまで戻りランチタイムとする。雄大な内院の光景を動画に納めて南北の沢筋を眺めるが、内院側の斜面は雪庇の崩壊とクラックが開いて滑降ラインにはなりそうもなく、南面の沢に検討を付けて1本トライしてみる事にする。

 ようやく後続のスキーヤー2人の姿が有ったが、急な斜面から飛びこんでショートターンで降りて行き、後はやや狭い沢筋を300m程どんどん下りて行って終点とする。パウダーとはいかないがワックスが効いていたのか板は良く走り、久しぶりの快適な滑りを楽しんですぐに登り返す。

 稜線の分岐迄戻って今日2回めの休憩を取りながら景観を楽しみ、後は往路の尾根を快適な滑りで降りて畑に帰着した。時間が有ればもっと沢筋をトライしたかったが、本音を言えばモチベーションが下がって自分に言い訳していたのも事実。ピークに立ってしまえば後は降りることしか頭になく、余り滑りに執着がないのは何時もの通り。