飯豊連峰 文覚沢〜門内沢 2009.05


    

      門内沢下降 中央は梅花皮岳より本石転び沢

     

  山 域  飯豊連峰 丸森尾根〜文覚沢〜門内沢  
  山行日時  2009年5月16(土)
  天 候  晴れ     
  メンバー  単独
  行 程  5:10飯豊山荘〜7:08丸森尾根の雪渓〜8:52丸森峰〜9:56地神山〜10:03文覚沢滑降〜11:30扇ノ地神〜11:40門内沢滑降〜温身平〜14:30飯豊山荘

 飯豊連峰の魅力はその雄大さと積雪量の豊富さに有るが、今年の暖冬の影響は石転び沢方面にも及び、山スキーヤーにとっては悲観的な雰囲気が漂っていた。ルンゼの滑降コースは岩肌が露出し、斜面にはクラックが走って沢床にはブロックが散乱し、アプローチの雪渓は開いて後退しているイメージが有る。

 確かに梶川出会い付近では今まで見た事の無いような光景で、何時もはのんびり雪渓の上に乗っているはずが激流が走り、へつりの夏道では板を枝に引っ掛けてストレスの溜まる事おびただしい。こんな暖冬だからと諦めもつくが、今シーズン余りパットした山行が無かった自分にとってやはり恨み節。

 しかし、最近降った雪はブレーキになって少し邪魔だが、沢筋には豊富な雪が残って広大な斜面が広がり、ブロックや落石なども殆ど見らない。最後の石転び沢出合付近を別にすればデブリ・縦溝も見られず、長大かつフラットな斜面の連続は流石飯豊連峰で、やはり今年もやって来て良かったと満足感に浸る事が出来た。



【概要】


 飯豊山荘についてみると意外に駐車場の車は5台ほどで、余りパットしない明日の天候を嫌ってか登山者は意外と少ない。今回は文覚沢で少し遊んでjから門内沢を目指す為、女性の単独行者が先行して温身平方面に向かった後、スキーを担いで反対側の丸森尾根に向かった。

 丸森尾根の取り付きは急峻で岩が露出し、兼用靴で登るのも難儀だがまだ下るよりはマシだろう。朝から薄曇りで天候は下り気味でも、今日いっぱいは持ってくれるだろうを期待を込め、歩き出しは何時もの様にスローペースで登りだす。カタクリは最盛期を過ぎてツツジの咲き誇る頃だが、気温が低い性なのかまだ開き切ってはいない。薄いピンクの石楠花も姿を見せるが数は少なく、間もなくカタクリの大群生ロードとなるが、やはり寒いのか地面にお辞儀をしていて元気は無い。

 丸森尾根は最初は急な尾根が続くが間もなく傾斜を落とし、後は比較的登り易い尾根が続いて間もなく雪渓が出てくる。気温は低めで汗をかく事も無く快適だが、雪が堅いので兼用靴で慎重にステップを刻み、広い斜面になった所でシール&アイゼンに切り替える。スキーを履けばこっちの物だが、アイゼン・ピッケルを持たない山屋さんだったら難儀するだろう。また、視界不良時の下降は雪渓でコースを外し易く、下降の際には慎重な天候判断が必要だ。


丸森尾根に最近のトレースは無い 気温が上がらず兼用靴のキックステップで通過
文覚沢には2日前に降った新雪が・・・ 杁差岳方面の主稜線は雪が少ない
 
 明日の雨模様を嫌ってかこの尾根を続いて上ってくる人は誰も無く、最近誰も上った形跡の無い静かな丸森尾根だが、丸森峰を過ぎると風が強まってジャケットを着込んから前進する。尾根の南側は広大な雪の斜面が続き、スキーアイゼンをしっかり効かせてジグを切って進み、暫くして杁差岳が見え出したら間もなく主稜線に辿り着いた。

 主稜線には門内岳方面に向かった単独行者の足跡が有るが、何処にも人影は見られず貸切状態で、意外な静けさは何か得したような気分もして少し嬉しい。文覚沢の源頭は広大な斜面が広がって傾斜が緩く、のんびりムードで楽しめるお気軽なコースだ。文覚沢への下降点を探して地神山のピークに立ち、一旦下った雪のコルをスタート地点とする。

 出だしからザラメの斜面が連続するが所々新雪が残り、それを避けて加速しながらロングターンで降りて行く。縦溝も余り気になる事も無い程度でフラット斜面が続き、途中で1回立ち止まった後はい一気に沢床を目指した。450m位下って今日は打ち止めとし、手早くおにぎりを1個押し込んでから登り返す。梶川尾根が合流する広い扇ノ地紙のピークを踏み、門内沢の斜面を観察しながら下降点を伺った。

文覚沢は緩い傾斜でウォーミングアップ向きの斜面 快適ザラメの斜面を降りて行く
450mほど下降して文覚沢の沢床に立つ 胎内尾根も小雪で完登は至難の業?
何処からでもスタート可能な門内沢 フラット斜面が連続する
 
 門内岳への主稜線上の雪庇は例年に無く小さく、門内沢なら何処からでも下降できそうに見えるが、下部の状態が気になって100m程主稜線を下ってから身支度を整える。主稜線直下の斜面は傾斜があるが、その後は適度な斜面をショートターン降りて行く。ただ、多くの新雪が残った主稜線直下の斜面は滑りが悪く、ザラメ雪を繋いで降りて行くが斜面はまだまだ続き、降りても降りても二俣はまだ遠い。
 

 やや狭まった中間部では毎年の様に少し落石が有り、スピードを落として板を傷付けない様慎重に降りて行く。二俣手前梶川尾根側のルンゼは10m位の滝が露出しているが、50m程右にトラバースすると隣のルンゼ斜面が連続し、途中の狭くて急な斜面を通過すると二俣に到着した。暖冬で雪不足とは言いながら、門内沢で滑りに不自由する事は無く、ブロック・落石・デブリに悩まされる事の無い、比較的フラットでダイナミックな滑りはこのコースの醍醐味だ。

 二俣からは傾斜も緩んで緊張感も無くなり、そのままダラダラと降りて行くと石転び沢の出合手前となるが、醜い大きな縦溝と広大なデブリが行く手を阻む。しかし、20mも逃げると右岸の斜面に出るので問題は無く、間もなく石転び沢出合に到着して一休みとする。

何時見ても本石転び沢は見栄えがする 新雪斜面はブレーキで邪魔
広大な斜面は門内沢の魅力 二俣までは比較的フラットな斜面が続く
中間部には毎年石ころが少し 石転び沢出合付近は広大なデブリと縦溝
 
 石転び沢の下部にはやはり大きな縦溝が走っており、その上部は広大なデブリが広がってかなり荒れ模様に見えた。石転び沢にはまったく人影は見られず、下から誰も上がって来る様子も無いので、暫く北股沢の斜面を観察しながら遅い昼食とした。

 北俣岳の東斜面は何時に無く黒々と岩場が露出し、石転び沢も本石転び沢出合まではデブリで荒れて後退している雰囲気で、やはり暖冬の影響は免れなかった様子が伺える。ただ、北俣岳
山頂の雪庇がまだ崩壊していないのは意外だった。毎年この時期には多くの山スキーヤーが石転び沢を訪れるが、下部は余り滑りにならない様で落胆するかも知れない。むしろ門内沢は邪魔な新雪が消えれば快適ザラメ雪の斜面となり、晴天に恵まれれば今度の週末辺りは狙い時の様に思える
 
 下りは上つぶて石までスキーで降りたがその先は雪渓が開き、後を板を担いでの下降となるが枝に引っかかる事は実に不快で、梶川出合から下のへつりは今日の疲れが出てしまう。しかし、幸運にも小国山岳会の皆さんによる夏道整備の最中で、チェーンソーで枝を払って頂き、その後は楽に下る事が出来た。自分は何時もお客の立場ばかりで恐縮ですが、毎年整備して頂き有難うございます。

石転び沢の下も大きな縦溝 気温が上がらずツツジもまだつぼみ
?・・・・ 石楠花の花がチラホラ

飯豊連峰 文覚沢 門内沢 周辺MAP