2007年 沢登りの記録

 2007年10月14日(日)
 朝日連峰 祝瓶山 コカクナラ沢

 
 今季最後の沢登りは何処にするか迷ったが、結局、先月は所用で登りそこなった祝瓶山に落ち着いた。登り損ねた北面のコカクナラ沢は11時間以上を要したらしく、、ゴルジュ帯に圧縮された様な滝の連続と、本格的な高巻きを伴う困難な沢の様である。

 今回選んだ沢は祝瓶山南面から頂上に突き上げるすっきりした沢で、まったく記録も見当たらないのが魅力でもあった。地元の長井山岳会の方々はかつてトレースしている様だが、残置ハーケン・シュリンゲも見当たらず、茸取りと釣氏以外最近人の入った形跡は無く、久しぶりで未知の沢に入る時の期待が膨らんだ。

【天候】 晴れ

【コースタイム】 祝瓶山荘5:35〜コカクナラ沢出合〜10m滝高巻6:45〜屈曲点8:20〜ルンゼ〜リッジ10:00〜祝瓶山11:36〜12:20〜祝瓶山荘13:58

【メンバー】 荒井 千田 坂野

【概要】

 
前夜に長ったらしい深い闇の渓谷林道をクネクネと車を走らせ、ようやく祝瓶山荘前に到着してみると、そこにはここで始めてみるような車の数々で、小屋では大宴会たけなわをいった意外な雰囲気だった。過去10回以上はここを訪れているが、今までの殆ど人気の無い奥地と言うイメージは感じられなかった。後で聞いてみると長井市主催の市民登山の方々で、夜遅くまで焚き火をしながらの誠に羨ましい大宴会の真っ最中だった。我々の宴会ははひっそりとしたテントの中で12時には切り上げ、翌朝は5:30AM出発で、まだうす暗い野川本流沿いの道を歩き出した。
 

 吊り橋を渡ってすぐ薮から本流に下降し、少し進むとコカクナラ沢の出合に到着する。ここで登攀具を身に付けて準備を整え、比較的水量の少ない狭い河原歩きを続けると、やがて朝日に照らされた祝瓶山頂南側の長い尾根が目に入ってくる。水は思ったほど冷たさを感じる事もなく、ゴーロ歩きはまもなく終了して両岸が狭まってくる。2〜3m位の小さな滝を3つ越して行くと次第にゴルジュ模様となり、10mほどの滝が現れて立ち止まる。
 何とか登れそうな滝だがしかし、最後の出口のトラバースでシャワークライムとなりそうで、この時期のこの時間での被りは勘弁して欲しいもの。結局左から一部嫌な草付きを越えてブッシュに入り、難なく滝の上にたってクリアーする。

 地図上ではゴルジュ記号になっているが、この先高巻に追い込まれるような箇所もなく、明るく開けてきた5〜6m花崗岩の滝を2本越えて行くと2段20mの滝に突き当たる。トップはただ今絶好調の千田君に任せると、左から取り付いてロープはどんどん伸び、2段目のナメ滝を快調に越えると終了する。
 私は仕入れてきたばかりのタイブロックを試す時が来たので、大げさにユマールまで取り出して登り始める。しかし新品の8.5Φmmロープに体重を掛けるのは流石に遠慮する。結果、ユマール&タイブロックのセットだったら、垂壁のユマーリングも安心感があると実感し、ご機嫌だった。

 滝を越えると沢は左に大きく方向を変え、突然視界が開けて頭上には朝日に輝く岩壁帯が接近する。尾根の向こう側は金目川の右俣のはずだが、こんなに切れ落ちている尾根だとは思わなかった。沢はまもなく右に急に折れ、その先は山頂方向に開けた明るい谷となっており、期待した大滝が出てこないのは少し残念だった。その先は滝もなくなり急ななゴーロ登りで退屈するが、次第に沢は狭いルンゼ状の雰囲気となり、時々出てくる花崗岩の空滝をフリクションで越えて行く。

 途中の二俣から左の明瞭なルンゼに取り付くと、上部右手には岩壁帯が現れてアルパイン的な雰囲気となり、ちょうど紅葉真っ盛りの斜面と青空のコントラストが美しい。ルンゼに入ると行き詰まってリッジに追い上げられ、ここでロープを取り出して上部の様子を伺う。トップはリッジ上のブッシュにランニングを取り、フリクションを効かせてロープを伸ばし、2P目の空滝を越えると傾斜が落ちて解除する。

 ルートは意外にも山頂にまっすぐ進んでいるようで、最後の詰めは15分ほどの薮漕ぎでピラミダルな山頂直下に飛び出す。山頂には先客が8人程いてがくつろいでおり、紅葉真っ盛りの祝瓶山は大入り満員の盛況振りだった。赤鼻尾根の方面にはさらに十数人の登山者が見えるが、祝瓶山荘方面に下降して行く団体さんの姿だった。
 山頂から見る朝日連峰の主稜線は紅葉の最盛期を過ぎたようで、1500m付近あたりがピークの様に思われるが、今年は何時になく鮮やかな紅葉には物足りない雰囲気がある。

 山頂からの下りでは東面のヌルミ沢が一望に出来き、過去3度通ったコースを辿ってみる。また、木地山ダムを見下ろす南面には三体山に至る長い尾根が下り、山スキーのコース取りを考えるのも楽しい。アプローチが遠くて入山困難な地域だが、殆ど人の入らない尾根のトレースもそれなりに楽しいだろう。

 登ってみればあまり悪い箇所やしんどい高巻も無く、殆ど快適に直登出来る手頃で楽しい沢であった。仙台から夜行日帰りで楽しめるこの祝瓶山は、暇なし沢屋にとっても十分楽しめるエリアで、泳ぎがまったくダメな自分にとっては最も好みの登攀的な沢だ。祝瓶山の沢は既に4本遡行したが、西面の金目沢と北面のカクナラ沢の2本がまだ残っており、もう少し祝瓶山詣では続きそうである。



             ルンゼから潅木帯へ

   山頂から三体山方面への長い尾根を見ながら下降

      過去3度訪れた東面のヌルミ沢スラブ群

       ピラミダルな祝瓶山東面の姿が美しい
    


狭い河原歩きの後に尾根が見え始める

朝のウォームアップには手頃な滝が続く。

フリクションが効いて快適な遡行が続く

朝からのシャワークライムはご遠慮の次第

ゴルジュの先には出口が見えている

20m2段の滝は左から直登の後草付へ


次第に気温も上がってくると本調子

屈曲点の先には岩壁帯が連なる

上部は水量が少なくなって空滝が続く


乾いた花崗岩のフリクションは快適

岩壁帯の左のルンゼを経由して山頂へ

ルンゼからリッジ通しにロープを伸ばす



朝日連峰 祝瓶山 コカクナラ沢 ルートMAP

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