朝日連峰 古寺山



古寺山から小朝日岳


【山域】       朝日連峰 古寺山(1500.7m)
【山行日時】    2004年12月11日(土)
【天候】       曇り
【登山形態】    冬山登山
【メンバー】     単独
【行程】       古寺鉱泉(7:00)〜ハナヌキ峰〜古寺山(11:15)〜ハナヌキ峰〜古寺鉱泉(13:20)



 12月の前半になっても雪の便りは聞かれず、せっかく新しく仕入れた板のテスト山行は何時までたっても実現不能。標高が2000mに満たない東北地方の山では、スキーが可能なところは殆ど無い。今週の週末も一時的に高気圧が入り込んで弱い西高東低の気圧配置になるが、南から低気圧が入り込んですぐに崩れてしまい、肝心の寒気が入らない。

 こんな訳で潔くスキーは諦め、急遽朝日連峰の小朝日岳を目指した登山計画に方向転換する。ちょうど夏のブランクですっかり体が鈍ってしまい、今回は体力テストと調整にはちょうど良いと考え、しばらくご無沙汰していた登山靴を引っ張り出して用意を整える。仙台を発って古寺鉱泉に到着して見ると全く人影は無く、古寺鉱泉の建物も雪囲いがなされて実にひっそりとした感じであった。天候は曇りで今ひとつぱっとしない天候だが、風はなく気温は高めであまり寒さを感じることも無い。

 すぐに身支度を整えて7:00AMに古寺鉱泉を出発。出だしの斜面を登ると後は朝日連峰では珍しいなだらかな尾根がハナヌキ峰まで続く。合体の樹を過ぎると1100m付近から雪が出てくる。よく見ると2〜3日前のものと思われる登山者の足跡がある。出だしは極めて快調なので、小朝日岳は楽勝、大朝日岳だって射程距離等と勝手に思い込んでいるが、上部の空はどんよりとした雲で頂上方面の視界は全く効かない。そのままハナヌキ峰下の服清水に到着してみるとその先に先行者の足跡は無く、どうやらここから引き返した様だった。

 ハナヌキ峰の分岐を過ぎた辺りから古寺山への斜面は積雪が増し、次第に膝下くらいになって急にペースが落ちてくる。今日はわっぱを持たないで来たが思った以上に苦戦し、なかなか思うように足が上がらずもがく様にして少しずつ高度を稼いでゆく。雪は表面が2cm程クラストしていてその下は固めの雪で重く、ツボ足では膝までの雪が引っかかってなかなか前には進めない。やはり最近サボっていたので体がすっかり鈍ってしまい、今からのスキーシーズンでのコンディションが思いやられる。

 ふと周りの斜面を見るとそこは兎の遊んだ足跡がそこら中に見られ、まるで運動会でもやっているような賑わいの跡。カモシカの足跡も見られるが、この時期は人間様のいない間の自由気ままな世界なのか?エサになるような物は無さそうなのだが、野生動物のたくましい活力を感じる。

 ようやく古寺山にたどり着いたがいっこうに寒さを感じることが無く、風もあまり無くジャケットを着込んでいなくても全く平気なので、早速缶ビールを取り出してごくっと喉を鳴らす。それにしてもこの天候はどうなっているのだろうか?大朝日岳方面は厚い雲に覆われて姿を見せず、ここからは遥かに遠い彼方に思える。わっぱがあればこの先小朝日岳までならピストン出来そうだが、ツボ足ではそういう訳にも行かずここでギブアップするしか無い。そうと決めれば後は用が無いので早速下山に取り掛かる。途中の服清水で後をついて来た単独の登山者にあったが、この方もやはり諦めて下山にかかっている様子。

 今回は何か消化不良のまま終了した感じで物足りないが、ここ最近はスキー山行ばかりで雪の尾根を歩いたのは実に22年ぶりだった。スキーはラッセルも殆ど無くスピードがあり、ピークに立った後はあっという間に下山しまい、好天を狙った速攻登山にはこれ以上強力な武器は他に無い。しかしラッセルのような雪との格闘を久しぶりに体験すると、山と直に対決したような何か久しぶりの手ごたえを感じる。今日はいい汗をかいたと言うことで満足としよう。