月山 北月山コース 2008.04


    

      北月山コースから山頂を振り返る

     

  山 域  月山 北月山コース 
  山行日時  2008年4月20日(日)
  天 候  晴れ
  メンバー  11名 (西川山岳会の皆さん他) 
  行 程  姥沢7:30〜牛首8:59〜月山10:40〜佛生池小屋10:48〜弥陀ヶ原から登り返し12:00〜佛生池小屋12:50(西川山岳会Pと合流)〜弥陀ヶ原13:30〜三角峰14:00〜鶴間池〜北月山荘15:05  滑降高度差 1687m  GPS計測距離 25.0km(上り返しを含む) 

 自分にとっての北月山コースはこの界隈で最後に残されたコースで、今年こそは是非完走しようと思っていた。しかしながら北月山荘に車を回すのは容易な事ではなく、今回は北月山コースを途中から登り返すしか無かった。このコースは月山から真北に伸びる長大なコースだが、あまり登り返しの無いロングランコースは魅力的で、月山の山スキーを語るには外す事の出来ないクラシックコースだ。


【概要】
 早朝に仙台を出発して志津のゲートに着いてみると、道路凍結の為7:00AMまでクローズされてガックリきてしまう。志津からの歩きも考えたが、仕方なく1時間半の朝寝を決め込んで横になると、同様な車が次々に上がって来た。姥沢の駐車場を出発すると前方には単独のボーダーが先行し、その先には2人の山スキーヤーが金姥を目指していた。
 
 ボーダーを追い抜いて山スキーヤーに追い着いてを話をすると、山頂は目指さずに湯殿山方面にコースを取る様で、この先の山頂方面には先行者は誰もいない様だった。今日は比較的気温が高いのかザラメ質で歩き易かったが、牛首を過ぎる辺りから斜面はクラスとしており、スキーアイゼンをセットして月光坂の斜面に取り掛かる。しかし強風の為か斜面は硬く、アイゼンの爪に慎重に体重をかけ、フラット斜面の中央にコースと取って高度を上げる。この時間帯だとスリップすれば谷底までサヨナラという雰囲気で、このコースで今シーズンでは最も緊張するひと時でもあった。


リフト上駅への登り 先行する山スキーヤー

金姥方面には誰もいない
牛首〜月山方面へ向かう
田麦川の源頭 鍛冶小屋跡へ続く斜面はクラスト斜面
  
 斜面を登り切ると今度は強烈な風が吹き付け、ガタガタのシュカブラを通過して山頂直下の小屋で体を休める。ウインドブレーカーと安物フリース手袋では寒気が辛いが、小屋の陰に隠れると次第に落ち着いて体もリラックス。早々とカンビールを取り出して何時もの儀式を済ませる。再びシールは付けっ放しで山頂を超えて北月山コースを目指すが、今日はスタート時間が1時間半ほど遅れてしまい、この先何処まで降りられるか解らないがとにかく下降する。

 風は強いが好天には恵まれ目指すコースは一目瞭然で、まもなくシールを剥がしてどんどん先を行く。しばらくはガリガリのアイスバーンが続くが、シュカブラカラから解放されるとスピードオバー気味となり、誰もいない広い尾根をもう存分滑り込む。ほぼ真北に高度を落すこの尾根はあっという間に距離が伸び、間もなくすると
オモワシ山を通過して佛生池小屋に到着する。振り返る月山の山頂はかなり遠ざかっていた。

山頂付近は強風 遥かなる北月山コースを目指してスタート

 小屋で風をよけて小休止の後やや登り返し、1758.4mピークを巻いて滑り込むと前方には広大な弥陀ヶ原が出現し、まるで地平線を行くような月山特有の世界となる。このなんとも形容しがたい光景は感動的だが、ただ距離感がつかめないので登り返しがし心配になってくる。尾根の西側はすっかりブッシュが露出しており、膨大な積雪量を誇る東面の大雪城をはまったく異なっている。あとは雪はすっかり柔らかくなって滑り易く、ショートターンを刻みながら至福のひと時を過ごす。

 このまま何処までも降りて行きたいところだが、12:00を過ぎた頃なので残念ながら御田原参篭所で登り返しと決める。(1450m付近)再び山頂の強風との挌闘は勘弁して欲しいものだが、おにぎりを1個押し込んで再び山頂を目指して歩き出す。1時間ほど歩いて行くと佛生池小屋に戻ったが、そこには10名のパーティーは小休止していた。そのメンバーとは毎週のように活動する西川山岳会の皆さんで、柴田氏からは嬉しい同行のお誘いを受ける。勿論断る理由などなく、この先はすっかりお世話になって終点の北月山荘を目指して行く。

オモワシ原方面も魅力のコース? 山頂からはあっという間に距離を稼ぐ
西川山岳会パーティーに拾われてお世話になる 3羽のイヌワシが頭上を旋回する
 
 佛生池小屋を出発すると間もなく、兎でも追っているのだろうか、頭上には3羽のイヌワシと見られる大きな鳥が旋回していた。全国でも5〜600羽しか生息していないと言われる絶滅危惧種だが、3羽も揃っているとなると極めて珍しいと思われる。食物連鎖の頂点に立つイヌワシの存在は、素晴らしい大自然が残っている証でも有り、それだけ大事に保護する必要があると言える。

 ザラメ質の雪は板も良く走り、パーティーの足並みも揃っている様でペースも良く、多少の登り返しも殆ど苦にしない様にして先を行く。ディアミールのシャフトが折れる災難にあった柴田氏だが、なんちゃってテレマーカースタイルでもまったく動じずどんどん先頭を行く。三角峰下の斜面でいったん雪が途切れるが、左からブッシュを越えると雪が繋がり、結局鶴間池キャンプ場まではスキーで快適に降りる事が出来た。

gamou氏の跡を追う 何処までも続くロングコース
 こんなラッキーな日もめったになく、思いもかけずこのコースを完走出来た喜びは大きい。これでようやく月山のメジャーコースはほぼトレースした事になり、地元?山スキーヤーとしては1つケジメが付いた思いもする。しかしまだアプローチの困難な尾根筋もあり、マイナーコースマニアとしてはまだその余地は残っている気もする。また、厳冬期でも好天を摘めば山頂に立つ事も不可能ではないし、まだまだ遊び方はいろいろ有るだろう。まあ、へそ曲がりな山スキーヤーの独り言ですが・・・。

快適ザラメは板も良く走る 月山山頂は遥かに遠くへ・・・
三角峰下の疎林帯を下る 終点の北月山荘で温泉へ


鳥海山 鳥越川〜千蛇谷コース MAP