月山 北月山コース 2009.03


    

      阿弥陀ヶ原辺りからスキーが走る

     

  山 域  月山 北月山コース
  山行日時  2009年3月8(日)
  天 候  風雪のち晴れ   気温 -6℃ (山頂付近)  
  メンバー  木村 高根 荒井 坂野
  行 程  志津5:50〜姥沢7:13〜リフト上駅8:23〜月山10:19〜仏生小屋〜御田ヶ原参篭所12:12〜北月山荘14:30

 この北月山コースは月山〜肘折コースに継ぐロングコースで、月山を代表するクラッシックコースでもある。昨年の4月に続いての2度目の山行だが、今回はこの時期のパウダーを期待しての楽しみもあった。前日には北月山荘への車の回送も済ませ、後は天気にさえ恵まれれば既に貰ったような物で、何の手抜かりもないご機嫌な明日を期待して翌日の朝を迎えた。昨夜からの風雪模様は時折星空が顔をのぞかせ、朝になって見ると湯殿山も姿を現して楽勝気分がみなぎり、昨夜の吹き溜まりが残る車道を姥沢を目掛けて出発した。が、しかし・・・。


【概要】
 車道の電柱下コースを辿って行くと新雪の下には堅いバーンがあり、どうやら最近雨が降った様が伺える。何時もはシール走行で問題ないが、最後の道路に上がる急斜面ではスキーアイゼンをセットして乗り越え、軽いラッセルを続けながら姥沢に到着する。姥沢から見る湯殿山は朝日に輝き、東斜面は素晴らしいスロープが広がっている。だが、姥ヶ岳の山頂には雲が掛かり、強い風が吹き続けて厳しい様子が伺えた。リフト下駅から先は風を避けて左に入って沢筋にコースを取り、ここまでノンストップでリフト上駅に到着する。


志津から姥沢へ 姥沢手前の車道 正面は姥ヶ岳

今日の好天が期待できるか?
姥ヶ岳には雲がかかっている
山頂方面は強風の予感 沢筋からリフトの上駅へ
 
 姥ヶ岳のトラバースコースに入ると山頂方面の視界は無く、時々GPSを取り出して方向を確認しながら前進し、金姥に到着するとやや厳しい表情の月山山頂が姿を現した。尾根に出ると次第に風も強まり、昨夜の降雪も吹き飛ばされて露出したアイスバーンが続き、早くもスキーアイゼンをつけっぱなしの登高が続く。この辺りになるとパウダーの淡い期待などは裏切られ、これから先は厳しい試練が始まりそうな予感がした。

 しかし、天候は次第に回復してきて広大な西面の視界が広がり、遠くには眩い鳥海山が姿を現して登高意欲は強まり、鍛冶小屋跡へと続くアイスバーンの急斜面に取り付く。スキーアイゼンを効かせれば問題は無いが、次第に斜面が硬くなってくると爪も入りにくくなり、ロングタイプのスキーアイゼンでは爪が曲がりそうに感じる。シール走行のテレマーカー氏は直下の斜面でギブアップとなったが、歩行アイゼンに履き替えると一気に斜面を登り切った。

風は弱まったものの視界は不良 アイスバーンが続いてスキーアイゼンを効かせる
ようやく月山山頂が姿を現す スキーアイゼン爪めが曲がりそうな硬い斜面
 
 3月頃になると山頂付近は何時もアイスバーン状態が当たり前で、ガタガタの氷化したシュカブラを越えて行くと平坦になり、ガスの中を少し下って登り返すとそこが山頂だった。山頂直下の小屋の陰に逃げ込むと西風からは逃れられ、ようやく一息つくと風も和らいで天候回復の期待が膨らむ。しかし予報では太平洋側から張り出した高気圧に覆われるはずだが、上空には寒気が残って山頂は春の雰囲気には程遠く、気温は-6℃でガスが晴れる様子は伺えなかった。

 意外と風はやや和らいで余り寒さを感じる事も無く、もう山頂に立ったからには引き返すことなどは考えられない。小休止の後シールをつけたまま山頂を通過する。しかし、少し下ってみるとその先は期待を裏切るガスの中で、この先はGPS頼りの下降を決めてシールを剥がし、視界が10m程のモノトーンの世界を下って行く。しかし、このアイスバーンは意外と堅く、エッジが簡単に流されそうで下降には苦労する。メンバーが逸れてしまっては厄介なので、スピードは殺しながら横滑り混じりの下降を続け、時々立ち止まってラストを迎えてさらに下降を続ける。

テレ組は硬い斜面に難儀な様子 山頂で風を避けて小休止

 視界があれば山頂から先の西面の山岳景観を堪能出来るが、このガスではまったく台無しとなって楽しみは半減以下で、あとは迅速に下降する事のみが目的のスキーは味気がない。しかも、昨年4月の頃と比べてもコースにはブッシュと岩が露出し、3月だというのにこの状況とは如何なものか?4月以降の状況が心配になって来る。

 眼下には時々青空が伺えて回復基調の様だが、月山北コースは普段から北西の風に叩かれ、シュカブラロードとなるのも当たり前だろう。大峰からオモワシ山に掛けてはピークを東側にまいて通過し、多少のアップダウンを繰り返すと広い斜面となり、GPSで探すと雪に埋まった仏生池小屋に辿りついた。例年なら4月上旬でも小屋が埋まっている位らしいが、今年は3分の1が露出していて雪不足を物語っている。

北月山コースの出だしから視界は不良 GPS頼りの下降が続く
風に叩かれ続ける北側はクラスト斜面の連続 それでもテレポジションを決めようとする
 
 昨年のツアーでは仏生池小屋からは快適な緩斜面を楽しんだが、今日はアイスバーンに薄い吹き溜まりがへばり付いた斜面で、スピードを出すとエッジが流れて余り快適とは言えない。しかし、この先はフラットで広いな斜面が続き、次第に視界も広がって阿弥陀ヶ原の広大なスロープとなり、ゆっくり流してゆくと御田ヶ原参篭所に到着する。このコースは尾根というより平原の様な光景で、他では見られないこのコースを象徴する景観だ。
 
 志津方面の月山では周りを山々で囲まれた光景だが、前方180度は日本海へ続く平野部となり、独立峰の鳥海山がより立派に見えるのはうなずける。 後ろを振り返ると山頂方面は相変わらず雲で覆われ、潅木には霧氷がへばり付いて上空には寒気が残った様子を思わせる。

ようやく1600m付近の阿弥陀が原付近から視界が広がる 御田ヶ原参篭所で大休止
月山の山頂は姿を見せない 下降コースの尾根が続く
何処までも続きそうな尾根 月山の山頂は相変わらず厳しい様相
 
 無木立の快適な尾根を通過して樹林帯に入ると、最近のものと思われるトレースが残っており、北月山荘から上って来たスキーヤーのものと思われた。983mピーク手前には鞍部になって池があるが、この先は広い尾根上のブナの疎林帯が続き、雪質もややパウダーぽくなって滑り易い。昨年の4月頃にはブッシュが露出してコースが解りにくかったが、今は斜面が連続しているので迷わす快適なターンで降りて行く。まさにテレ向きのツリーランコースで、テレマーカーの2人はにわかに元気が出できて飛ばして行く。

 尾根上には十分な雪が残っていて滑りは快適で、忠実に尾根を辿って行くとやがて鶴巻池に到着した。あとは車道を少し登ると下り斜面となって北月山荘に到着した。アイスバーンの山頂とは異なり、すっかり春めいた陽気となってまるで4月の様な気候だった。

ワラタハゲ山? 次第にスキーも走る
尾根の末端はテレ向きの疎林帯 やや重いがようやくパウダーの感触
鶴巻池周辺はすっかり春模様 ひっそりとした北月山荘


月山 志津〜月山〜北月山コース MAP