南蔵王 北屏風(1825m)東壁〜秋山沢




北屏風の直下中央稜(仮称)右手の斜面からドロップイン



【日時】   平成17年3月6日
【山域】   南蔵王
【コース】  烏帽子スキー場ゲレンデトップ8:40〜後烏帽子岳9:30〜ろうずめ平11:00〜北屏風11:30〜スタート12:15〜東壁基部12:50〜ハートランド駐車場15:10
【メンバー】 荒井 木村 坂野
【天候】   快晴


 今シーズン2度目の北屏風東壁は北屏風直下のオープンスロープンスロープを狙ってみた。この斜面は山頂に伸びる中央稜(仮称)の右手のコースで、壁全体の中央部に位置して大変目立ち、スキーヤーにとっては実においしそうなパウダー天国に見える。今まで東壁で他のコースを3本滑っているが、このコースを外しては何か北屏風を滑ったという実感が沸かない。今回の面子も山スキーのキャリア豊富な1名を加え、何時ものように車を1台デポの為にハートランド駐車場へ向かった。

 しかし現地に着いてみると既に先客がおり、話を聞くと同じく後烏帽子経由で北屏風を目指す若者たちで、スノーボーダー4名、テレマーカー1名のパーティー。今までここで人に会ったのは過去一度しかなかったので予想外だったが、やはりスノーボーダーの方がやって来たかという印象だった。そのまま車を烏帽子スキー場へ走らせ、ゴンドラとリフトを乗り継ぎ、ゲレンデトップに立ったのは8:40AM。気が付くと我々の後ろには山スキーヤー二人が続いており、何か急に賑やかな様子になって来た。

   
       後烏帽子岳から望む北屏風山                      後烏帽子岳からっろうずめ平へ
 
 何時ものように我々がトップを切って後烏帽子を目指してゆくと、昨日に団体さんが歩いたと思われるトレースが観光周遊道路のように頂上まで続いていた。後烏帽子頂上からみる北屏風は雲一つ無い快晴で、もう既に厳冬期の面影も薄くなり、何となく春を感じさせるのどかな雰囲気であった。東壁を良く観察すると、中央稜左手のルンゼは昨日の好天で雪崩れており、高度差250m以上はある大きなデブリが見られ、上の斜面にははっきりとした破断面が見える。またこれから登ろうとするろうずめ平の右手の斜面には、何本かの表層雪崩れの跡が生々しく残っていた。斜面の取り付きでピットを掘って雪の状態を確認してみるが、雪は良く締まっていて問題になる様な弱層は無いようだった。しかし東壁の斜面には複雑に風が渦巻いており、吹き溜まった雪はその場所ごとに大きく変化すると思われ、あまり鵜呑みにするの良くない様だ。

    
       ろうずめ平からの斜面は意外と深い               北尾根の斜面にも表層雪崩れの痕跡が 
 
    
       北屏風の北側斜面は樹氷原の世界           刈田岳、熊野岳、月山、遠くはは鳥海山まで望める

 北屏風の山頂付近に到着すると、早くも澄川スノーパークから刈田峠を経由してやって来た4人パーティの先客がおり、これから往路を引き返すという事だった。年代は我々よりなお上の方々だが、中々のハイペースぶりに関心する。山頂直下でエントリーポイントを探してみると、比較的例年より雪庇の発達は小さい様で、ピーク手前で2箇所程のドロップポイントが確認された。今年は積雪が多い割には宮城蔵王特有の強烈な風の吹き荒れる日が少なかったのか、雪庇の発達は例年の3分の一以下のように思われる。

 昼食の後シールを外して滑降の準備をしていると、二人の山スキーヤーを追い越して5人パーティが早くも上がってきた。なんかどこかの有名スキー場のように、ファーストトラック争いをしている様で落ち着かない感じだが、まあ今回は我々が年の功だけお先に失礼という事にする。今回のオーダーは荒井 坂野 木村の順番とし、慎重にコースを確認してから斜滑降で次々と斜面に飛び込む。

    
       直下の雪は固くモナカ質で難儀する                見た目以上に手強い雪質

    
      中間部になるに従いパウダー状態                 3人目で直下の斜面が流れる

    
      ここまで来るともうご機嫌状態                 雪質に慣れて来るが、結構くたびれる

  トップの荒井君は固い雪に足をとられて四苦八苦している様子だが、後発は様子を覗って後を追うので楽な物。ファットタイプの板はこんな悪雪でも強い見方となり、ターンが楽で安定しているような気がして調子は良く、10cm位の固めの雪を割るようにしてショートターンで降りてゆく。しかし3人目が直下の急斜面を降りた時この雪が表層雪崩れとなり、足元からはるか下まで流れていった。
少しひやっとしたがバランスを崩す事も無くクリアーし、左のオープンスロープ目掛けて降りてゆく。
 
    
      壁の基部から見上げる東壁は大きい                続いてスノーボーダーが次々に降りてきた

 壁の3分の1位を過ぎると後は適度な傾斜のパウダーランをなり、後はじっくり滑りを楽しみながら壁の基部を目指して行くのみ。昨日の好天で気温がかなり上がり、一部モナカ混じりの雪で2月ほどの快適さは無かったが、それでも終わってみれば満足のパウダー満喫で嬉しいもの。何かしら北屏風で最後に残された課題をクリアーした様で、ようやく一区切りが付いた気分になる。後で気が付いたが、2人の山スキーヤーの方々はショルダーピークから下降し、秋山沢を下って先に我々と合流していた。

 上部を眺めて一息ついていると、後続のスノーボーダーが次々とスプレーを派手に飛ばしながら降りてくる。我々のようにチマチマとしたショートターンと違い、スピードど躍動感があって一気に頂上から基部まで滑り込んでくる。やはり我々オッサン山スキーヤーとは一味違うような雰囲気でした。

 今回は好天に恵まれてけ結果はオーライという事だったが、雪質の判断はやはり微妙な所。壁全体を振り返ってみると、昨日の雪崩れの痕跡がはっきり見え、そして北屏風手前のショルダーピーク付近の斜面はつい先程雪崩れている。この様子を見ると雪崩れやすい斜面のお手本を見るようで興味深い。雪崩れ個所は中央稜の左のルンゼ、右のオープンスロープの上部斜面、そしてショルダーピークの左のルンゼの3箇所であった。

 最後はなかなか滑らない秋山沢左岸をトラバースし、何時もの1.5倍の時間を掛けてハートランド駐車場に到着して終了した。






北屏風東壁 MAP