南蔵王 北屏風東壁〜秋山沢

                

                       後烏帽子岳からろうずめ平経由で北屏風東壁へ
 
 
 
【日時】    平成17年2月13日(日)
 【目的地】   南蔵王 北屏風東壁〜秋山沢

 【コース】   えぼしスキー場ゲレンデトップ8:40〜後烏帽子岳9:30〜北尾根11:05〜
          下降ポイント11:30 スタート11:50〜東壁基部12:00〜ハートランド13:50
 【メンバー】  荒井 木村 坂野

 
【天候】    曇りのち風雪  気温-10℃(山頂付近)

        

 南蔵王の屏風山は南屏風と北屏風と2つの山頂があるが、南屏風の東面は馬の神の尾根に遮られて仙台方面からはその姿を見ることは出来ない。しかし北屏風の東面は真東に面した連続した斜面で、仙台市内からも良く見えて名前のとうり屏風を広げた様な山容である。実際に近づいて見るとさほど切り立ってはいないが、遠くから見るその壁は白く輝く美しい姿で、何時の頃からか地元の山屋の間では「東壁」と呼ばれる存在になった。滑降コースとしての歴史は比較的に新しく、1997年頃から白石、仙台などの山スキーヤーによって現在4〜5本のコースが開かれている。

 今回は4回目の北屏風行だが、2月は3〜4月頃と違って天候は安定せず、雪の状態の良い週末はなかなかやって来ない。この4日間ほど寒気が入り冬型が強まったが、ようやく等高線が緩みだした様子なのでトライしてみる。今回はS山岳会所属の木村氏が新しくメンバーに入り合計3名。えぼしスキー場のゴンドラ、リフトを乗り継いでゲレンデトップに到着し、最近の降雪で膝下までのラッセルが始まるが今日は何時になく雪が軽い。アプローチルートは最短時間で山頂に立てる後烏帽子岳経由を選んだが、最近の降雪でブッシュが隠れて後烏帽子の下りも楽で、ろうずめ平までは快調なペースで進む。しかし10:00頃から稜線付近は雲で覆われて風が強まる。


       後烏帽子岳山頂から北屏風                 後烏帽子岳からろうずめ平への下降


       後烏帽子岳から北屏風東壁                 ろうずめ平から北尾根を目指す

 ろうずめ平から稜線までは夏道沿いに急な尾根状の雪壁を登るが、一本とって基部で雪をスコップで掘りハンドテストを行い様子を見る。新雪の30cm下とその下15cmに弱層が見られ、最近の降雪と寒気で不安定な雪の斜面になっている様子が覗えた。上部を見ると雪庇の崩壊に伴う小規模ななだれと、稜線直下の斜面には横に開いたクラックが見える。ここは最もスピードのある荒井君にトップを勤めてもらい、尾根状の深い雪壁どうしにジグザグに高度を稼ぎ約30分で稜線にたどり着く。さすがに最近の正月に飯豊本山、大朝日岳を単独で登頂しただけの力は伊達ではない。先月の1月には単独で中央蔵王の振子沢を滑っており、冬山と沢にはめっぽうに強いパートナーで頼もしい。

 北屏風への稜線はすっかりガスに覆われてしまい、東壁の全体は見えず下降コースの確認は出来ない。当初、目的のコースは北屏風山頂直下のオープンスロープを考えていたが、この不安定な雪の状態と視界の悪さから予定は中止とし、昨年同時期に滑った山頂北側の尾根状のコースに変更する。下のコースは視界が悪く良く見えないが、昨年2月に滑っているいるので大体の様子は把握しており、あまり不安は感じない。問題は雪の状態だが、尾根上の斜面を選んで下降すればそれ程雪崩れの危険性は無いと判断し、荒井 木村 坂野の順番でスタートする。

             東壁の上部斜面                        尾根から下部の斜面へ

 東壁には何本かの尾根が派生しているが、厄介なのは尾根上に縦の雪庇が発生し、しかも北側 南側両方に有る事だ。比較的上部は北側、下部は南側に発生しているようだが、視界が悪く遠近感の無いモノトーン調の世界ではその姿を確認しにくく、スピードを出しすぎると雪庇を踏み抜いてしまう。出だしは緩やかな斜面だがその先は落ち込んでおり、一旦右の急な斜面に逃げてから再び尾根に戻り、反対側の急な雪壁を下降して広い尾根状の斜面を目指してゆく。急な斜面のトラバースは今にでも雪崩れそうで慎重を期して行くが、その後は乾いたデープパウダーの斜面を一気に下ってゆく。まるで頭から被るようなパウダーで、雪まみれの浮遊感はなんともいえない至福の一時。先行した木村氏はさすがにキャリア豊富な山スキーヤーで、細めのカービングスキーでも自由自在に雪を蹴散らして滑って行く。


        予想以上のディープパウダー                   尾根から下部の急斜面へ

 何時もならば壁の中間部で雪質が変わり、後半3分の2程からは湿雪になってターンしにくくなるが、今日に限っては全くその心配は無く深い雪でも雪が軽い。下部の急なルンゼの斜面は雪が深いが最初のターンが決まると後はリズムに乗り、あっという間に壁の基部に到着して終了する。当初予定したコースは滑れ無ったものの、このディープパウダーを楽し無事が出来て充実感を感じる。まだパウダーランのシーズンは充分残されているので、今度はすっきり晴れた日を待っても一度来れば良い。

 但しこのような時の天候と雪の判断は大変に悩む所。基部で上部斜面を振り返ってみると当初の予定したコース付近の上部斜面にはクラックが発生しており、中間部にはつい今しがた自然発生したと思われる雪崩れの跡が見られた。コース取りとタイミングを誤れば危険性は充分に有るという事で、急に身の引き締まる思いを感じた。下りは何時ものように秋山沢の左岸の樹林帯をトラバースし、カラマツの植林地を抜けてから林道に滑り込み、後はハートランド駐車場までノンストップで帰着した。なお左岸をトラバースする時には早い段階で左岸に上がり、子沢を4〜5本ほど大きくトラバースしていった方がよ良く、下部からは一気にハートランド駐車場まで滑り込む事が出来る。


         満足のパウダーが続く                        東壁を振り返って





                          北屏風東面のMAP