朝日連峰 以東岳 2010.06





残雪の残る大鳥池は静寂




 山行日時  2010年 6月4日(土)  
 天 候   晴れ
 メンバー  単独
 行 程  6:17泡滝ダム駐車場〜8:07大鳥池〜1055以東岳〜オツボ峰〜12:00三角峰前〜13:43大鳥池〜16:03泡滝ダム駐車場

 
以東岳を最初に訪れたのは37年前のワンゲル在籍の頃で、五味沢からの朝日連峰全山縦走をやった時以来だった。4月に入部して8月の夏に飯豊連峰の全山縦走の合宿山行を行い、その勢いで個人山行だが朝日連峰の全山縦走をやった。まあ、先輩2人の後を付いていっただけの気楽な山行だったが、その当時の装備は実にかさばって重く、76cm幅のキスリングには35kg以上の荷物が入っていた。

アメリカ軍放出の様な大きな6人用のビニロンテントに太いアルミのポール、大きな鍋・2.0Lの水ポリに2.0Lのガソリンポリタン。生米に生味噌とジャガイモ・ニンジンなどの生野菜。夕食はまったく同じ野菜でカレーと豚汁の繰り返しで、昼食はミソおにぎりに魚肉ソーセージときゅうりだった思い出がある。もちろんカレーに肉など入っていない。

今思えば滑稽だが、テント場でフライシート下に排水溝を掘る為、キャンプ用の重い鉄の折りたたみスコップが必需品だった。その当時は環境破壊の感覚など希薄だった。しかし、あまり辛い思い出はなく、楽しかった事と達成感しか覚えていない。山の中ではビールはもちろんの事酒など皆無で、今となってはとても暮らせない異次元の世界にも思える。自分もすっかり古い山屋だと実感する。

【概要】

2:30AM起床で仙台を出発した筈が登山口の到着は遅れ、6:17AMにようやく出発となる。泡滝ダムの登山口の駐車場には10台前後の車が有り、朝日連峰の北の盟主は流石に人気コースの様だ。出発してから間もなく先行の3名を抜いて行くと、その先にはハイペースで先行する単独の方がいた。何かペースを乱すようで恐縮だったが、有り難く道を譲って頂いて先を急ぐ。

暫くして気が付いたのだが37年前のコースの面影は無く、どうやらその後新しく切られた登山道の様だった。その当時は急な右岸の斜面にへばり付いた様な悪路が続き、アップダウンもあって結構きつかった様な思い出がある。後で古い地図を確認してみると、今の登山道の100mから150位上部の斜面を通過していた。今では立派に整備されて歩き易く、快適なトレッキングコースで人気も有るだろう。

今日1日は好天が約束されており、この時期以東岳を周遊するにはでは又とないチャンスで、シーズン最初の足慣らしとしてはちょうど良い。つづら折のコースを辿って行くと間もなく大鳥池が現れ、タキタロウ山荘で一休みして朝食とする。

七ツ滝沢橋吊り橋 東沢でミャク釣りやルアーで狙う釣屋さん
直登コース左の沢には残雪が豊富 竜門小屋からやって来た方に1枚お願い
 
小屋には管理人さんいるのみで廻りは静寂そのもので、まだ残雪の残る山並みが大鳥池に映り、暫くはノンビリしていたい誘惑に駆られる。先客は水門付近でイワナを狙う3人の釣屋さんで、浮き釣りで楽しまれている様だが釣果は如何に?湖畔のトラバースコースを更に行くと東沢出合いとなり、ポリ袋にイワナを詰め込んだ釣屋さんがやって来た。

ルアーでヒットした様だが、入漁料を取っているからには放流しているのだろうか?天然物と養殖物の交配は問題が有るので、その辺がどうなっているのか興味深い。その先の東沢出合いでミャク釣りを行う人が2人いて、目の前で吊り上げられると何となく釣屋の血が騒ぐ。

以東岳への 直登コースは東沢を徒渉して進み、低い潅木帯を通過して急なコースに取り付く。湖畔には名前の解らない花が咲き揃い、新緑の時期特有の明るい日差しが心地よい。取り付きから暫くは視界が無くて鬱陶しい雰囲気で、意外と視界が利かないのが残念だ。

暫く上り続けると上から降りてくる登山者がいて、話を伺うと泡滝ダムを早朝4:00出発で、既に以東岳の山頂を踏んで下山して行く様だった。盛岡から毎年こられている様だが、自分よりも先輩と伺えるがかなりの健脚の持ち主の様だ。

大朝日岳山頂方面は例年より残雪が多い雰囲気 オツボ峰を経由して三角峰方面へ
大鳥池にスキーで滑り込んだ時にも登り返しが800m 快適な主稜線歩きが続く
2年前の5月に滑り込んだ東沢には豊富な雪渓が残る 泡滝登山口手前でもこの雪渓の量
 
1500m辺りから森林限界を過ぎるが、この先の草原の登山道は雨で流されて塹壕状態となり、大きな所は畳2畳位はありそうな大きな洞窟になっていた。登山者の増加が原因だろうが、この先いったい何処まで荒廃するのか不安になる。

以東小屋は中々姿を現さなかったが、草原の斜面をモクモクと進んで行くとyがて到着した。一人だけの先客は竜門小屋からの往復らしく、今から竜門山小屋から更に大朝日小屋を目指す様だった。普段は撮ってもらった事の無い記念写真をお願いし、岐路はウツボ峰経由の周遊コースを選ぶ。

残雪の多い主稜線は4月から5月の低温続きが原因で、今年の沢筋には多量の雪渓が残っている様だ。今年の飯豊・朝日連峰の沢登りは雪渓の処理が難儀で、かなり手強いのではないだろうか?

三角峰前の分岐で単独行者とスライドし、雪渓を通過して潅木帯に入ると3パーティの登山者が次々に登って来たが、皆さん以東小屋宿泊の様子だった。次第に薄曇となって天気は下り気味の為、今日は意外と登山者の数は少なかったのかも知れない。

タキタロウ山荘に戻って小休止を取り、後は泡滝ダムへ休み無しで歩き続ける。しかし、七ッ滝沢橋吊橋を通過する辺りからスピードがダウンし、何時までたっても辿り着かないイライラでなお更疲れる。駐車場に到着して間もなく雨が降り出し、jジャストタイミング゙での快適山行は終了した。