月山 本道寺コース 2006.03




牛首付近の斜面を行く。



 山 域  月山 (1975.9m) 本道寺コース 
 山行日時  2006年3月26日(日) 
 天 候  曇り 強風 
 メンバー  荒井 坂野
 行 程  志津〜月山〜清川行人小屋分岐〜地蔵森分岐〜本道寺登山口 累計行
 動距離25.5km (GPS表示)

 今回は西川山岳会の「大井沢の豆腐を食う会」に参加せてもらい、翌日は皆さんと別行動で本道寺コースに出かけた。コースは月山山頂から南に延びて本道寺登山口に至る尾根だが、記録もなかったので何も知らないままに降りてみた。コースは長大で多くのギャップが連続して手強いが、ツアーコースとしてはスケールが大きく手ごたえ十分なコースの様だ。この時期に入る人は少ないようだが、昨日1本西隣の尾根から登ってきた単独後者のトレースが有り、行人小屋に泊まって今日同じコースを下降した様だった。

 月山には東西南北に4本の素晴らしいツアーコースがある。東に最も人気の高い月山〜肘折コース、西に品倉コース、南に本道寺コース、そして北に北月山荘コース。品倉尾根コースを除けばいずれも長大なコースだが、足に自身の有る向きならば1日で走破する事も可能だろう。ただし月山スキー場のオープン前だと志津〜姥沢の歩きが加わり、ツアーは一段と手強くなる。

3月26日 志津4:35〜姥沢小屋6:00〜リフト終点6:45〜月山山頂8:30 8:50〜清川行人小屋分岐10:50〜地蔵森分岐11:45 12:10〜本道寺登山口13:45



 本道寺登山口の本道寺口之宮湯殿山神社に駐車場に1台デポし、志津で準備を終えて出発したのは4:35AMだった。志津周辺は上り始めるとそこら中にスキー、スノーシューの跡だらけで、昨日は多くのスキヤー、スノーボーダー、スノーシューの皆さんで賑わったようだ。姥沢へのコースは石跳川には入らず、ネイチャーセンター手前から左岸の尾根に取り付き、最短距離で姥沢を目指して行く。斜面はクラストしているが傾斜が緩く、シール登行で順調に登って行く事が出来る。ブナ林を上がって行くと上部にはブロックが散乱しており、そこは除雪車が飛ばした雪の塊が落下してきた跡だった。

 除雪が進んだ姥沢はロッジが殆ど露出しているが、雪がなくなってみるとその雪の多さが際立って見える。ひっそりと静まり返った姥沢だが、前日入って宿泊しているスキーヤーもいるのだろうか?姥沢小屋前で一休みして姥沢岳方面を目指して行くが、空は次第に雲で覆われてきて先行きが怪しい雰囲気となってくる。ただ気温は比較的高く、クラストしているもののシールだけで快適に高度を稼いで行く事が出来る。リフト終了点から先は次第に斜面が固くなり、姥ヶ岳トラバース地点で限界となってスキーアイゼンを付ける。

  
 
 
除雪の進む姥沢 姥沢小屋でようやく1本 リフト終点から牛首を目指す
 
 姥ヶ岳周辺は大変な賑わいでそこら中トラックだらけの様だが、牛首、月山方面には昨日のスキーとスノーシューの跡が続いている。昨日ならば快晴で風も無く素晴らしい世界が広がっていたろうが、今日は毎度の様に天候は下り気味。午前中までの勝負と思って朝早く出発したが、気持ちは何か追い立てられる様にして頂上を目指す。しかし斜面はクラストしていても小気味よくアイゼンを効かせてどんどんと先に進んでゆく。

品倉尾根も興味深い 月山山頂へ最後の斜面 牛首を越えて月山へ
 
 牛首から少し高度を下げると後は最後の山頂への斜面。風は次第に強まってくるが比較的気温が高く、フリースの手袋だけでも冷たさを感じない。汗ばむことも無いので気分は快調で、4月頃にはアイスバーンで苦労する斜面も右から迂回して容易に登り切ることが出来る。しかし鍛冶小屋跡を過ぎ山頂の直下になると月山は容赦しない。強烈な西風が我々を待っていたかのように吹き付け、風上に向かうと風雪となって顔面が痛い。どうやら秋田沖の低気圧から前線が東進し、心配したような悪天候パターンにはまった様だ。今日は本道寺コースのルートをGPSに入れてきたはずだが、気がついてみると誤って削除してしまい使い物にならない。電池切れ、故障、紛失、単なるポカなど、GPSに頼り切るのは止めたほうが良い。反省。

 歩きづらいシュカブラを強風にめげずに進んでゆくと頂上に到着するが、猛烈な風が吹き付けてとても景色を楽しむ余裕など無い。北面の金剛沢を覗き込もうとするが顔を向けることが出来ず、満足に写真も取れない様子ですぐ諦める。山頂付近には昨日のものと思われるスキーとスノーシューの跡が残っていた。こんな山頂でゆっくりしている事も出来ず、視界が利いているうちにさっさと下降したほうが良いのでシールを剥がさず下降する。
 
 
牛首から山頂へ。後ろは品倉尾根 牛首から山頂へ
      
 
斜面は以外に登り易く右から登る 巨大なエビのしっぽ
頂上へは風との戦い 山頂は長居無用の所
  
 しばらくしてシールを外すが、こんな平らな頂上付近では地図とコンパスだけが頼りとなる。本道寺方面の真南方向にコンパスを振って進むが西風は強烈で、スケートリンクのような斜面を流されながら進んで行く。こうなるとバックカントリースキーなどと言う面影は無く、厳冬期登山となんら代わりがない。ただ先週の朝日連邦のような滑落の危険性は無いので、ただ耐えるのみの修行を思えばちょうど良い。ガタガタのシュカブラを過ぎるとフラットな斜面になり、快適なターンを描こうとすると突然足を取られる。エッジシャープナーで磨いてきたはずなのにまったく歯が立たず体は風下の東側に流され、気がつくと東に200m程登山コースを外れていた。大雪城辺りは素晴らしい斜面に見えるのだが、実際この時期はどうなっているのだろうか?好天に恵まれれば東面の斜面を遊びたいところだが、この1ヶ月は殆ど後期に恵まれずまともなパウダーにはありつけない。

ようやくフラットな斜面が 調子に乗って飛ばすと突然のアイスバーン 快適な滑りで下降する
 
 次第に傾斜が出てくると目指す本道寺に至る長い尾根が見え、何処までも続くようなツアーコースがの全貌が見えてくる。風は強いものの視界は良好なのでここまではまったく問題は無い。次第に斜面はフラットになってきて快適にスキーを回せるが、油断するとアイスバーンに足を取られて転倒しそうになる。何処までも続くシュカブラにうんざりしながら、やがて清川行人小屋との分岐に到着し、やっと落ち着いて小休止とする。周りを見るとスキーのトレースが残っていて意外だったが、どうやら昨日この尾根を上り詰めて行人小屋に入り、今日になって同じコースを下降していったようだ。

 ここから先は適度に締まった行くでスキーも良く走り、多少の登りも苦にせず先を急ぐ。尾根の東側には雪庇が連続しているが、比較的安定している様子なので雪庇下の斜面をトラバースしてショートカットして行く。1339.8mピークの手前の鞍部で再びシールを付け、何度もアップダウンを繰り返しながら下降を続ける。

本道寺へい至る長い尾根 月山南面の斜面
ようやく雪も柔らかくなりスキーも走る ひっそりとたたずむ清川行人小屋

尾根の東側をトラバース 何度もトラバースを繰り返す 月山を振り返ると強風模様

 1250mのピークで尾根は2本に別れるが、本道寺コースは左に折れて地蔵森山方向を目指し、途中で右にコースを変えて後は本道寺めがけてまっすぐ南下して行けば良い。1250mピークから八ッ楯山を経て月山湖に至る尾根は明瞭で、大きな上り返しは有るものツアーコースとしては興味深い。先行者のトレースはこの方向に付いており、どうやら月山湖から行人小屋を経て山頂を目指したようだ。

 1219mピークを過ぎると後は下り易くなり、なんとか最後のめどが付いてきた。ここで初めて缶ビールを取り出し初めての大休止。ここから見る月山はかなり遠くに見えるが、その東面は実に美しく何か疲れが吹き飛ぶ様で心地よい。この先はシールを外しいよいよ尾根の後半の下降に取り掛かる。雪はザラメになる前の状態でスキーは良く走り、多少の登りもさほど気にならず快調なペースで登り下りを繰り返すが、しかし何処まで行っても終点の本道寺登山口は見えない。いい加減疲れが溜まってきた頃にようやく月山湖が右手に見えてきた。国道112号線が見えて来ると尾根の傾斜は急に増し、測量用の標識を過ぎると後は下の杉の植林地を目指して降りて行く。

 後ろを振り返ると月山の山頂は遥か彼方にあり、本当に遠くへ来たもんだと思ってしまう。まだ予想以上に積雪が多い為末端まで滑ることが出来るが、4月に入れば標高の低いこの辺は藪だらけになりそうだ。末端の尾根は見通しがあまり効かないので解り難いが、地図とコンパスで検討をつけて降りてゆくと林道に出る。さらに林道を適当にショートカットして杉林を降りて行くと、ちょうど湯殿山神社の裏に到着して終了となる。後から西川山岳会に方に聞いた所、標識が見えてきたら右の斜面を降りて行くと簡単に国道に達するそうだ。

  このコースはGPSの累計距離数による志津からと25.5kmあり、月山からから肘折温泉に抜けるコースと同等の距離になるようだ。この時期あまり訪れる人もいないのか記録も少ないが、地元の山スキーヤーが時々訪れているコースの様だ。

1250mピークより月山湖に至る南西の尾根 本道寺コース後半の尾根が続く
月山の南面がどんどん遠くなって行く ようやく本道寺登山口へのラストラン
 
 
月山 本道寺コース 志津〜月山〜本道寺登山口