葉山 大鳥居〜葉山(烏帽子岩コース)敗退 2008.02




1050m付近から烏帽子岩〜葉山方面




 山 域  葉山 (山形県村山市) 大鳥居〜烏帽子岩〜1388.1mピーク往復 
 山行日時  2008年 2月11日(日)  
 天 候  晴れ  気温 -6〜0℃ 
 メンバー  木村 坂野
 行 程  大鳥居6;45〜三枚平7:23〜1217mピーク11:10〜大雪庇〜12:10烏帽子岩12:22〜古御部屋山〜1388.1m地点12:52 13:16〜烏帽子岩13:41〜三枚平〜大鳥居15:37  ( GPS計測距離 20..2km) 

 葉山(1401m)は西面(寒河江市)と東面(村山市)では大きく山容が違っており、なだらかな西面に対して東面は富並川上流部が壮大な内院を形成している。無雪期ならばアプローチも楽で地元登山者なども良く訪れているが、この時期は殆ど訪れる人は無く山スキーなどの話もあまり聞かない。どうしても月山の東側に位置する地味な存在でもあり、特に東面の一般道の尾根は積雪が多く、複雑な雪庇が行く手を阻んでとても登路にはならない。

 西面は春先に時々山スキーの記録を見るが、東面から山頂を目指すとなれば北側の烏帽子岩経由となり、スキーでは尾根の末端に取り付いて長大な尾根を目指す事になる。2年前の4月に一般道に取り付いて退却して以来だが、今回はパウダー狙いで内院の滑降を目指ししてやって来た。内院の壁は標高差550mほど有り、南蔵王のコガ沢と同じくらいのスケールを誇っている。2年前の3月にこのコースを走破し、内院を滑っているAさん同様勝算を持って望んだが・・・。

【概要】
 早朝に車を飛ばして大鳥居に到着すると、今まで立ちこめていた低い雲の間から葉山方面が姿を現す。気温は低めで若干モナカっぽい雪だが、次第に姿を現した葉山内院を目指してスキーを走らせ、橋を渡って直後に右に入って三枚平の林道を進んで行く。人目のない牧場にはスノーモービルのトレースが有り、どうやらこのあたりはモビラーのプレイランドとなっている様だ。

   
          大鳥居から葉山の内院方面                        三枚平の牧場を進んで行く

 杉林の林道を進んで行くと鉄塔の下の尾根末端となり、手前の杉の伐採地跡の斜面に取り付いて高度を上げ、ブナ2次林の急斜面を右にトラバースすると目的の尾根上に出る。急な尾根上のブナ斜面は意外と広く、積雪も充分な格好のパウダーランコースとなっている。次第に傾斜が増してきてラッセルがきつくなって来るが、パウダーランにはまたとない疎林帯が続く。927mピークを過ぎるあたりから頃に次第に視界が広がり、広大な村山盆地から新庄方面を見渡せる素晴らしい光景が飛び込んでくる。

    
       杉林を過ぎて急なブナの2次林を行く               豊富な積雪は素晴らしいパウダー斜面の連続
  

    
         
膨大な量の雪が形作る雪庇                    意外と広い尾根が続く
   
 傾斜が落ちて来ても尾根上には雪が豊富で斜面が開け、快適にシールを効かせてどんどん距離を稼いで行く。一般的には月山の前衛峰のようであまり人気の無い葉山だが、この積雪の多さは朝日連峰の赤見堂を凌ぎ、標高だけでは優劣を付けることが出来ない、なんと言うか山の品格のようなものを感じる。この尾根はまさに山スキーの為にある尾根と言っても過言ではない。

 気を良くしてどんどん進んで行くと富並川源頭の内院が現れ、この先の烏帽子岩から続く遥かなる尾根が葉山山頂へと続く。内院の急峻な壁にはヒマラヤひだ状の雪壁を成し、リッジにはこの東北ではあまり見掛けないキノコ雪がへばり付き、とても標高1400mの山とは思えない光景。1217mピークで快適な無木立の大きな斜面が現れ、大きくジグを切って上り詰めると、いったん下がったコルを通過した辺りに大きな雪庇が登場する。その雪庇の先は小さなコルになっていていきなりのナイフリッジとなる。

     
        
遥か彼方に思える葉山の山頂                      ヒマラヤひだ状の斜面とキノコ雪

    
         
快適な雪壁を通過して行く                        大きな雪庇が行く手を阻む
 

      
         烏帽子岩手前の痩せ尾根を通過              烏帽子岩下の急斜面トラバースを経て再び尾根上へ

 急峻な斜面を慎重にトラバース降りてコルに立つと、その先はこのコースのシンボルである烏帽子岩が立ちはだかる。左手はすっぱりと切れ落ちているので、右から斜面をトラバースして巻こうとするが結構傾斜がある。セカンドと距離を保ちながら慎重に斜面を伺って通過するが、降雪中とか直後には雪崩れる可能性がある。その後斜面にジグを切ってギャップに上り返し、烏帽子岩の通過を完了する。

 烏帽子岩からは壮大な内院の全貌が見渡せ、その先には葉山山頂へ続く尾根が続いていた。今日は内院の滑降を目的にやって来たが、山頂直下の沢コースは幅が狭いシュートになっており、意外とあまり快適そうには見えない。平坦な広い尾根を進んで行くと、右斜面には大規模に雪の斜面がずり落ちた様な異様な光景だが、こんなのは今まで見かけた事が無い。


 古御部屋山を通過して時計を見ると既に12:30を過ぎていた。山頂を舐めていた我々には山頂はまだ遠く、この先の葉山神社を超えて山頂へ立つには、さらに往復2時間以上は掛かるだろう。山頂にガスがかかって来た事を言い訳に、残念ながら今回は退却とするしかない。もし山頂を狙うと成なれば早朝に出発し、出来れば3人くらいでラッセルを交代したほうが良さそうだ。

      
        巨大な雪壁がずり落ちた異様な光景                1388.1mピークから葉山山頂方面を見る

      
         山頂は諦めてパウダーコースを下降                 烏帽子岩下の急斜面を下りて行く

 結局1388.1mピーク付近で断念して小休止の後、途中登り返しが有るのでシールは付けたまま下降する。晴天だが気温が低めの為板は良く滑り、素晴らしい眺望を満喫しながら烏帽子岩に戻る。北側の急斜面を巻いて慎重にトラバースして通過し、1318mピークでシールを剥がして体制を整える。緩斜面でもパウダーでは板が良く走り、途中3ヶ所の上り返しもシールなしで問題は無く快適。1318mピークの無木立斜面で勢いをつけるともう止まらず、ロケーション抜群の開放的な尾根の滑りも豪快そのもの。

 次第に傾斜をまして来るとポケロケの本領を発揮し、素晴らしい浮遊感とリズミカルなターンで疎林帯を下りて行く。急斜面では斜滑降で斜面が流れたが短く、そのままショートターンでスピードをコントロールしなが滑り降りる。少し興奮気味だったのでデジカメを取り出すのを忘れ、肝心のショットを取れなかったのは残念だった。下ってもまだまだパウダーは続き、急峻な斜面を通過してから杉の伐採地へトラバースし、まったく薮こぎ無しにスムーズに林道に到着する。林道から先は先ほどまで活動中のスノーモービルのトラック跡を滑り、あっという間に出発点の大鳥居に帰着した。

 今日の好天の割には殆ど尾根上はパウダーが連続し、標高1400m程の山でこれ程滑り応えの有るコースとは予想もしなかった。標高が低いので3月になると望み薄だろうが、2月のパウダーコースとしては素晴らしく、東北では変化に富んだ第一級のツアーコースだと思います。山頂を狙うとなると容易では無いが、1217mピークの往復でも十分の満足できるコースです。メジャーなコースに食傷気味の方には是非お勧めです。

     
           絶好調のエクストリマー氏                      抜群のロケーションで板は良く走る

     
           急なパウダー斜面を豪快に滑る               ブナの2次林斜面を下降して杉の伐採跡地へ




葉山 大鳥居〜烏帽子岩〜1388.1mピーク MAP