吾妻連峰、二十日平〜若女平コース



西大巓直下の斜面


【期日】      平成16年3月14日
【メンバー】    坂野、荒井
【天候】      晴れのち曇り
行動】  
天元台リフト終点9:50〜西吾妻山11:20〜二十日平12:40〜グランデコスキー場13:00〜リフト終点13: 50〜西大巓14:50〜若女平15:40〜スカイバレー(白布温泉)16:20

【概要】
 今シーズン初めての吾妻山行は12月の家形山だったが、その後は最も身近でお手軽な蔵王山系に集中してしまい、すっかり吾妻連邦はご無沙汰していた。もうすでにシーズン後半に差し掛かる3月の中旬となっており、今年こだわっていたパウダースノーなど期待できないだろうと思っていた。

 今回のコースは西吾妻山から二十日平を下ってグランデコスキー場に滑り込み、ゴンドラ、スキーリフトで登返してから西大巓のピークを踏んで、その後若女平コースを下るという計画で、天候さえ恵まれればあまり無理のないようなコースに思われた。つまり「一粒で二度美味しい」という昔のフレーズのような、実に都合の良いお楽しみの計画である。しかしこの広い稜線のなかでガスに巻かれてしまえば、慣れたパーティーでも行動は難しく、樹林帯の中でも方向を見失ってしまい易く楽ではない。このような計画で快天を選べると言うのも、地元スキーヤーの特権と言えるだろう。

 天元台 のリフト終点にたったのは9:50分で、もうすでに多くの先行パーティーが通ったトレースが遊歩道のように付いていった。トレースは途中で左右に分かれるが、多くのパーティーは大沢コースを目指すのか人形石方面に向かっており、西吾妻方面にはスノーシューの団体さんらしき跡が続いていた。天狗岩手前の緩斜面でそのグループを追い越したが、メンバーは12人前後の中高年の女性が大半のパーティーで、かなり元気な様子。

        
             天狗岩から西吾妻山へ                 西吾妻山頂付近を行く

 西吾妻山の山頂で二十日平方面のコースを追ってみるが、山頂から4〜500mほど下ると樹林帯に突入し、意外とデコ平スキー場まではあまり視界が利かないようだ。ここ先は訪れる人も居ないだろうと思っていたが、以外にも山頂からは二十日平方面に3〜4人でスキーで下った跡があった。おそらく昨日のものだろうが、この西吾妻ダブルコースも意外に定番コースとなっているのか。滑り出しは広い山頂から南東方向に下り、快適なパウダーとモナカ雪が混じる広い斜面を楽しみ、その後に尾根筋の樹林帯に突入する。高度を下げるに従い、雪は次第に重くなりトップエッジが引っかかってターンしずらくなる。悪雪、モナカ雪、深雪をこなし易いもう少しセミファットタイプの板が欲しいところだが、ここで道具の性にしてもしょうがなく無いので、ただ我慢の滑りを続ける以外に無い。しかし体力の無いのは明らかで、下るに従がって足が言うことを効かず疲れがたまる。

 中間部辺りになるとデコ平から今日登ってきたと思われるスキーの跡があり、二十日平方面に向かって所々赤布が打ってある。しかし思ったより西吾妻山から距離があり予想以上に時間がかかってしまったが、下りすぎに気が付いて30m程登り返した後、1100m付近でようやく中沢をトラバースしてデコ平スキー場のゲレンデに入り込んだ。これより下は沢が深くなっていてゲレンデに戻るのは骨が折れそうに見えた。ゲレンデに立ってみるとゲレンデの規模の大きさ、ゴンドラ、リフトなどの設備の良さに驚いてしまった。まるでバブル全盛期そのままの姿のようで、天元台スキー場とは対照的な感じがした。

        
        磐梯山を正面に見ながらグランデコを目指す     二十日平には多くのトレースが見られる

 南面の重い雪でちょっと疲労気味の為、グランデコスキー場のレストハウスで一本取りたいところだが、午後からの天候が気になってすぐさまゴンドラに乗り込みリフトの終点を目指す。ゲレンデ最上部でスキーのシールを貼っていると、ゲレンデスキーヤーに声を掛けられ、これから何処に行くのかと聞かれる。ずいぶん遅い出発だと思われてもしょうがない。この先西大巓に向かってはこれまた立派なトレースがあちこちに見られ、多くのスキーヤー、スノーシューを履いた登山者が西大巓を目指した様子が見て取れる。頂上付近の斜面は赤布が短い間隔で打たれており、氷結した桧原湖、磐梯山のピラミダルな勇姿を眼下に見ながら約1時間ほどで西大巓に到着する。

 ここから望む西吾妻山の山頂は既にガスに覆われ、主稜線も見えなくなってきていたがこれ以上天候が悪化する様子も無く、若女平コースの入り口となる沢の源頭を目指した最短コースを確認し、シールを付けっぱなしで広大な斜面を滑って行く。
沢の入り口でシールを外して滑降を開始し、沢筋に入ると雪質はパウダースノーとなり、狭い沢筋を忠実にショートターンを織り交ぜながらと樹林帯に導かれて行く。今日の若女平コースは大入りだったらしく、7〜8人のシュプールがあちこちに刻まれている。あまり慣れない樹林帯のパウダーランの為、ちょっとタイミングを取るのが難しく、油断しているとスピードオーバーでランアウトしてしまうこと度々。これでもこの3月中旬としては極上のパウダースノーであり、浮遊感を充分に味わいなが高度を下げて若女平を目指す。1500m付近から右岸にトラバース気味に若女平の登山道に戻り、コースの標識が出て来たところから少し下がって若女平に到着する。ここでようやく大休止とし、ザックのお荷物となっていた缶ビール2本を取り出して乾いた喉を潤す。

        
         西大巓へはメジャーな冬山入門コース          西大巓下のパウダースノー斜面

 この先は名物の雪庇になった痩せ尾根を下り、やがて杉の造林地帯の急な斜面を横滑りをひんぱんに交えながら、堅いガタガタの斜面を慎重に下降して行く。尾根の下部になって急な堅い斜面の下降となり、ちょっと油断すると3〜40m程樹林帯の斜面を滑落しそうで、疲れた足腰にはちょっと辛い。エッジをガリガリ言わせながら我慢の下降を続けて行くと、杉の植林地を経て沢筋の登山道に到着し、間もなく白布温泉スカイバレーに到着する。

 今日のコースは天元台 とグランデコスキー場のゴンドラ、リフトを最大限に利用するので、体力的にきつくは無いが、どうしても後半の若女平コースは午後になってしまうので、何より天候の安定している時でないと少し辛い。西大巓から若女平に抜ける辺りは吹雪かれると沢の源頭が確認しにくく、地形に慣れた人でないと苦労しそうなので、天候が安定する日を狙って行動した方が良いかもしれない。

        
             西大巓から若女平へ                 パウダーの林間コースが続く 

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