南蔵王、不忘山



【期日】     平成1627()
【メンバー】   坂野 (単独)
【天候】     風雪
行動     2月7日  白石スキー場リフト終点10:20〜不忘山12:20 12:50〜白石スキー場13:20  (行動時 間 3時間)

【概要】

 今回は悪天候の為何となくスキーはパスしてもいいと思っていたのだが、前の日の晩になってみると何となく落ち着かない。昨日の天気図では西高東低の気圧配置が緩みだし、太平洋側の低気圧にゆっくり覆われてくると、蔵王山系の天候は安定してきて風が弱まり、何とか行動可能な状態になる。このような時には慌てることも無く遅い出発の方が良く、天候の回復様子を見てゆっくり自宅を出発する。

 何時もの時間より3時間も遅い出発の為、白石スキー場のリフトの終点に立ったのは10:20AM。風はあまり無いものの、相変わらずの降雪が続き周りはすっかり深雪の状態で、スキーを履いていても膝下までもぐるような状況。しかしながらもう既に先行パーティのトレールがすっかり出来上がっていて、もう夏ならば遊歩道というような感じで実に楽。

 視界は200m程でそんなに悪い状態でもなく、出だしから快調にスキーを走らせると間もなく、トレールは直登ルートと右の尾根コースに分かれる。今まで尾根コースしか登った事が無いので、今度は直登コースを取って調子よく高度を稼いでゆくと、間もなく先頭でラッセルしていた単独のスキーヤーに追いつく。ラッセル泥棒をしている様で気が引けるので、挨拶をして先頭を替わってもらいトップに立ちラッセルを始める。次第に急になってくるのと、今回の大雪でスキーでも膝下まで沈み、シールの効きが悪くなり後ろに滑ってしまい登りにくい

 上部はジグザグ登高で高度を稼ぎ、ようやく稜線に出ると先行していた2人パーティーが、稜線を外れた木陰で小休止を取っていて、その先は誰もいない。稜線に出ると風が強まり、小休止したい気分にもなったが調子が良い感じなのでこのままトップにたってラッセルを続ける。風が強く視界もあまり無い状態なのだが、むしろ先頭を切って深い雪の尾根上を登ってゆくのが心地よい。不忘山の直下では岩稜帯になっており、スキーを脱ぎたくなる所だがここはそのまま右の斜面に入り、上部で左の岩混じりの斜面をシールをいためないように慎重にトラバースし、最後はジグザグ登高で不忘山のピークに立つ。

 山頂では強い風にあおられるが、少し下がったところでザックから缶ビールを取り出して乾いた喉を潤す。前方の南屏風方面はさっぱり見えず、沢筋は深雪に埋め尽くされている様で、このままコガ沢に下降すなどというのは論外だろう。予定どうり下降の準備を始めても、下の稜線に後続のパーティーの姿は無く、どうやら途中で下降した模様で姿が見当たらない。シールを外し体制を整え滑降を開始。

 山頂からはコガ沢側の急な雪壁をトラバースしながら下降し、間もなく稜線に戻って忠実に下降を続けるが、何しろ膝くらいまで沈んでしまってスキーの操作が重い。稜線を外れ直登コースに入り込むと傾斜が増し、やっとロングターンが楽しめるようになる。上部の斜面は潅木が少なく、快適なターンで深雪のパウダーを楽しむには充分な斜度で気分が良いが、やがて深く沈んだ板はやがてスピードを失ってしまい、ビデオで見るような絵になるパウダースキーという様には行かない。こんなんだったらセミファットタイプにしとけば良かった等と思ったりしたが、この深雪ではどれも同じかなどと考えてしまう。試しにスキーを外してツボ足になってみると、へそのあたりまですっかり埋まってしまい、このまま前進するのは容易なことではない。傾斜が更に緩くなるとスキーは止まってしまい、手漕ぎの状態になり登ってきたときのトレールに戻って滑りつづける。間もなくスキー場のリフト終点の戻って、残りは一気にレストハウスを目指す。

 今日の夕方のテレビで大長山で遭難した、関西学院大学ワンダーフォーゲル部の部員14名が救出されたと言う報道があり、無事で何よりだった。東北の我々にはあまり馴染みのない山だが、標高が低い割にはアプローチが比較的長く、退却が容易ではない山のようだ。たかだか1000mクラスの山といえども、吹雪かれて大雪に遭遇してしまえば、3000mクラスの山、またはヒマラヤ並みの困難を伴うと言う事を示している。状況判断の誤りと経験不足が原因とも言えるが、無線による経験者のアドバイスに良く従った為か最悪の状態は脱することが出来て良かったといえる。

 今まで自分でも冬山で二度雪洞に救われたことがあるが、雪洞を使ったビバーク訓練は冬山での必須科目という程重要であり、特にスコップを持ていれば実に心強い。今までの長い山行経験ではで軽量化を最優先し、スコップなどの評価は低くまったく持ち歩くことなど無かったが、スキー山行がメインになってくると考えがまるで変わってしまった。特に単独山行時は必携のアイテムといえる。

         

          不忘山の山頂から往路を見下ろす。      不忘山の山頂まで登ってくる人は他に居なかった。 


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