中央差王 坊平スキー場〜馬の背



 ほとんど視界が利かず、コンパスだよりのスキーツアーとなる。

【期日】   平成14年3月10日(日)
【メンバー】 柴田 坂野
【天候】   曇りのち風雪
【行程】   ライザスキー場830〜馬の背1015〜山頂リフト駅跡1100〜ライザスキー場
1120

【概要】

 柴田氏と山形のヤマザワ駐車場で7:00二待ち合わせ、車を相乗りにして蔵王坊平を目指す。30分ほどでスキー場に到着したが18年前のスキー場の面影はほとんど無く、きれいで立派なレストハウスと大型の高速リフトに少し驚いてしまう。少し時間が早すぎて未だリフトは動いておらず調子が狂ってしまったが、ゆっくり身支度を整え830AMの運転開始時間を待つ。

 暫くするとスキー場の上のほうから山スキーヤーが降りてきたので様子を聞くと、あまりの強風のためリフトの終了点上部からあきらめて引き返してきた様子で、今日は早々に引き上げるということだった。確かにその人の言うとうおりで風がますます強くなり、視界は駐車場付近で100mくらいしかなく天候は悪化の兆しの模様だ。ちょうど寒冷前線が奥羽山脈を通過している頃なので今が最悪の状態かも知れないが、まだ諦めるにはちょっと早過ぎるので行けるところまで行って見ようということになり、まずはリフト乗り場に急ぐ。

 今日はスキー大会があるらしく、リフト乗り場にはレーシングスーツとヘルメットに身固めた20人ほどの地元の高校生が十番待ちしていた。ようやく8:30分にリフトが動き出し、2本を乗り継ぎ投稿を開始すると、ツアーのルート沿いに短管パイプに赤いスプレーを施した標識が立っている。50m程の間隔で雪面に打ち込んであるが、何しろ風が強くそして視界が悪く510mほどしかないので標識をなかなか見つける事ができない。

 コンパスを取り出してただひたすら東の方向に登ってゆくと、標識が出てきて確認できるという状況が続き、ルートを外さないように慎重に進んでゆく。途中で赤布を雪面に打ち込んで目印にしてゆくが、ところどころ強風で吹き飛ばされてしまい、あまり役にはたっていない。一息ついて周りを見回すと見事な樹氷原の中に居ることに気が付き樹氷見物をする。ここの樹氷は西吾妻山で見た樹氷と比べ規模が大きく、いかにもモンスターらしい風格を持っているようだ。

 暫くすると単管標識は無くなり、赤布がついた竹の標識沿いにスキーを走らせると古びたリフト小屋の跡にたどり着き、ここではじめて休憩を入れる。中はすっかり雪に覆われているが、強風から逃げられるので格好の避難場所で実に都合が良い。ここは30年以上も前に山形県と宮城県との間で県境を巡る争いがあり、結局敗訴した宮城県側の開発業者がリフトの建設を断念し、そのまま廃棄されてしまった歴史上の産物である。何でこんな物がいまだに撤去されずに醜い姿をさらしているのか疑問のあるところだが、これがまた東北の山の中では極端に開発の進んだ蔵王連邦の縮図を見る思いがする。

  廃棄されたリフト小屋跡は格好の避難場所になる。

 今日は寒冷前線が蔵王周辺を通過しているので、天候は益々悪化する方向だが、とりあえず行けるところまでということでさらにスキーを進める。リフトのケーブル沿いに上ってゆくが、さすがに風が強くなり前進が難しくなってきてスピードが落ちてくる。ケーブルの終了地点で平坦になりその先は下りとなったので、どうやら馬の背に着いたのだろうか。天候が良ければ刈田避難小屋から南蔵王方面に足を伸ばすつもりでいたが、この状況では如何ともしがたくここから戻るしかなかった。晴れてさえいればまったく楽しいハイキング気分でこれる場所なのだが、今や厳冬期の冬山登山という雰囲気でこれもまた実感が伴って悪くも無い。一旦下のリフト小屋跡に戻り缶ビールを空けながら一服して、その後は一目散にもと来たルートを滑り降りてライザスキー場に戻った。

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